隣人にはご注意
俺はとある住宅街のアパートに住む会社員だ。
起床し、朝御飯のトーストとコーヒーを召し上がる。
テレビを付けてニュースを見る。
───先日、男性が行方不明になる事件が発生しています………。
この事件は2週間も続いており被害者は10名。物騒なニュースだなと、朝御飯を食べた後は歯を磨いてからアパートを出る。階段を降りて道に出る。今日は良い天気だと、空を見上げる。
「あら、おはようございます」
隣の一軒家の女性は物静かに挨拶する。彼女は2週間前にここに引っ越してきた。
「おはようございます………」
俺はにこやかに挨拶する。
黒髪美人の泣きボクロ彼女、清楚な感じで物凄く好みである。彼女はどのような仕事をしているか、どのような男性が好みか、趣味は?………などと妄想。うまく行けば、結婚して幸せな家庭を………。などと思い浮かべてしまう。
そんなある日の事………。
桜が舞い、季節は春。休日の昼頃、俺はアパートを出てコンビニに行こうとしたところ、隣の自宅の駐車場に車を止めて帰宅する彼女が視界に入った。
トランクから荷物を取り出す彼女、ダンボールに入った大きな荷物は見ていて重そうだ。
「よかったら手伝いますよ」
俺は話しかける。
「ありがとうございます」
黒髪美人の女性は言う。
それから2人はやや世間話を交えつつ、荷物を家にお運び込むのである。
「手伝ってくださってありがとうございます」
「いえ、自分は当然の事をしたまでです」
俺は言った。額から滴る汗をタオルで拭きながら。
「もし、よかったらお茶を召し上がりませんか?」
「えっ?………」
女性の言葉に、俺は思わず吐き出すような声を出してしまう。
ラッキーと思いつつ、お邪魔する。
俺は彼女の自宅に上がり、和室の居間にてくつろぐ。
「お茶を切らしたみたいなので買い物に行ってきますね」
そう言い残し、女性は出ていく。
俺は正座。これが一人暮らしの女性が住む部屋なのかはそんなの関係ない。
───ゴト………。
まるで誰かが入って来たような音、少し怖いが俺は音のした場所に足を運ぶ。
場所は浴室、俺は戸を開く。
「ああっ………」
俺は背筋に冷水を浴びせられたかのように戦慄した。ロープで吊るされた遺体袋に入った遺体。数は10人、ニュースで2週間にいなくなった数と同じだ。嘔吐感、そして震える身体に鞭を打ち、逃げようとする。
あの女性が、犯人だなんて。と、信じられない気持ちになる。
───しかし、俺は意識を失った。