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8話目 悪魔と天使と女神と

本日2作目です!

1話目からの設定を大幅に直しました。

曽根も海府も、誰も口を開かなかった。


漆部屋はしんとした。


さて、さすがにこの見も知りもしない少女を貧田として教授に認識させることができるはずがないか······?

曽根は冷や汗をかいた。

もちろん海府先輩には曽根の目的までとっくにばれている、もともと高木をいじめる為だけのゲームだ、所詮お遊び。


例のSM計画もまだ進行していなく、のせた手前なめこ川には悪いが、敏く只人ではない黒島教授をやり過ごすのは難しいはずだ。

大好きな教授には嘘を突き通すのに罪悪感を感じてしまう。

観念して、曽根は教授になめこ川を部屋に遊びに来た他コースの生徒として紹介しようと思った矢先であった。


「4年の貧田です。おっお久しぶりですぅ。就活が忙しくてご無沙汰しました!」


なめこ川はそうおじぎして、自己紹介を大変に堂々とした。


「あ、そうなんだ〜?」


教授は急にそわそわと所在無く席を立ち、個人のロッカーまで歩いて行き、名札を見て生徒の名前を確かめた。


「貧田ね!うんうん·····久しぶり。どう、会社決まった〜?」


海府は知っていた。教授は生徒の名前を覚えきれていないのを。

顔を頻繁に合わせている生徒でさえ佐藤だか鈴木だかと間違える。全部でたった4名の生徒であるまじき事だが、学生は毎年一学年ずつ入れ替わり数年間しかいない、超絶・マイペースな教授のこと、いちいち覚えていられないのだろう。

せめてもの救いはその事実を教授が生徒に悟られまいと慌てているおちゃめなところぐらいか。

院生となった海府は5年目のよしみで、もう情の薄い教授のことをいけずと罵ったりはしない。


「4年生なら今は就職活動が忙しいのは当然だ。困った事があったらいつでも相談に来なさいね〜」


教授はやぶへびと思ったのかそそくさと自分の部屋に入っていった。



高木は夕方戻ってきて、まだ半分以上残っていたピザを女性陣の威圧的な勧めによって平らげた。そして、間もなく腹痛で高木は帰っていった。

皆、彼が風邪をひいて体調不良なのを忘れていたのだ。



高木はその夜、夢を観た。漆部屋の女どもを筆頭に世界中の女性に巨大ピザでいびられる悪夢である。


そこへなめこ川、もとい貧田が子悪魔の姿で現れる。

そして変化して天使の姿になる。


「ひ、貧田!?なんだその格好!?」


どの貧田もなんて薄着なんだ。

高木は顔を赤らめる。


「ネコを探して下さい·······」


貧田は女神の姿になり、両手を組み目を瞑り祈った。


そして、

最終的にはゼウス神黒島教授に変化した。


「さすれば呪いは解かれるであろう。高木!!」


「はあ、呪いですか?」


杖をふるった教授の頭上には後光が指し、辺りは神々しいまでに輝いていた。




朝起きるとまた少し体調が回復したようなので、高木は早く登校して昨夜の漆芸の作業の遅れを取り戻そうと朝霧の中バイクに跨がった。


ブルブルブルブルブルブルブルブル


大学近くの道端に差し掛かった辺り、

道を急ぐ高木の前に、ネコが飛び出した。


咄嗟にネコをかばってハンドルを切るが、バランスを崩し転倒する。

宙に放り出されながら、高木は驚愕した。


「これが·······呪い············!!?」


そういえば、最近悪いことばかり起きている気がする。

高木は瞬間、トラ模様のネコが視界をよぎった気がした。


フギャアアーアーーーー


何とも不吉な響き、

と、なめこ川の顔が脳裏に浮かんだ。


(あいつネコ探してたな······そうだ、ジャン······ジャン•ピエール·········)


高木の身体はスローモーションで宙を舞った。





高木は体を起こせず、青空を見ていた。

意識は朦朧として

バイクは横転したまま。


確実に大怪我はしている、が、

········このまま自力で身体を起こして漆部屋まで行きたいと願った。

裏山を突っ切れば校舎まで近道となるはずだ。

この辺りは早朝人通りがほとんどない。


(痛い痛い痛い痛い痛い·······)

あまりに痛くて、何かを脱ぐように身体を揺さぶった。

すると意外にもすんなり痛みが脱げたように無くなって、高木はほっとした。


(良かった、何とかなりそうだぞ·······)


高木の身体から白い物体が抜け出した。


そして白い物体が、ふんわりと山へ入っていく様子を、トラのブスネコがじっと見つめていた。


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