表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

2、夕食

 夕食の時間になったので、カーリーは食堂に向かった。

「お母様もお父様も、喜んでいるのかしら?」

 カーリーは不安に思いながら、食堂のドアを開けた。


 食卓にはご馳走が並んでいた。

 カーリーが好きな、チーズのオムレツもちゃんと置かれている。

「お母様、お父様、今日はご馳走ですね」

「ええ、カーリーの婚約祝いですからね」

 母親も嬉しそうに笑っている。

「古くから続くガルシア侯爵家と、縁が結ばれるなんて喜ばしいことです」

 母親はそう言いながら、カーリーに微笑みを向けた。


「ああ。カーリーは魔法が使えるせいで避けられることも多いからな。」

 父親がにっこりと笑って、食前の祈りを捧げる。

 母親もカーリーも、父親に従い両手を組んで目を閉じた。

 いつもより少し長い祈りの言葉のあと、父親がぽつりと言った。

「良い縁談に恵まれてよかった」


 カーリーは回復魔法が使えたのだが、口の悪い他人は魔女の子と言って、カーリーを避けることもあった。その度にカーリーは自分の特殊な力を疎ましく思っていた。

「カーリー、好きな物を食べなさい。今日は貴方のお祝いなのですから」

「お母様、ありがとうございます」

 カーリーは熱々のチーズオムレツを食べ、パンを口に運んだ。

「さあ、クジャクの肉もあるぞ」

「ありがとうございます、お父様」

 カーリーは父親が切り分けたクジャクの肉を食べて微笑んだ。



「来週には両家族の顔合わせがある。失礼の無いよう、気をつけるんだぞ、カーリー」

「はい、お父様」

 カーリーは乱暴と言われるアレスと、上手くやっていけるかを考えて気が重くなった。

「きっと上手くいきますよ、カーリー」

 母親が優しく言うと、カーリーは静かに頷いた。


 食事が終わると、カーリーは先に部屋に戻った。

「お父様もお母様も喜んでいらっしゃったわ。……きっと、上手くいきますわ……」

 カーリーはベッドに入っても、中々眠りにつけなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ