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10、ハイポーション

 カーリーは家に帰ると、薬草と魔法の本をできる限り読み直した。

 しかし、そこに書かれている内容は基礎的な情報ばかりで、分かったのはハイポーションの作り方と、初歩的な回復魔法だけだった。

 カーリーが、がっかりしていると母のクレアが声をかけた。

「どうしたのですか? カーリー。なんだか元気がないようですが」


「お母様。実は、薬と魔法を使えば、チャーリー様の病気を治すことができると言ってしまったのです」

 クレアは少し困ったような表情で微笑んだ。

「カーリー、確かに貴方は回復魔法が使えるけれど、チャーリー様のご病気は魔女の呪いという噂でしたね。家にあるのは、基礎的な内容の本だけだから、その約束を守るのは難しいかもしれません」


 カーリーはそれを聞いて、クレアに尋ねた。

「お母様は何かチャーリー様のご病気を治す方法をご存じではありませんか?」

 クレアは少し悩んだあとに、答えた。

「そうですね。王宮には薬草と回復魔法の秘伝書が有ると聞いたことがあります。もしかしたら、それを読めばチャーリー様のご病気を治す方法が分かるかも知れません」

 カーリーはクレアの言葉を聞いて、途方に暮れた。


「そうですか……。王宮の秘伝の書では、読む方法がありませんね……」

 クレアはカーリーに言った。

「出来ることをして、出来ないことは正直に伝えるしかありませんよ、カーリー」

「そうですね。お母様」

 カーリーは俯いたまま、自分の部屋に戻っていった。


「私に作れるのは、ハイポーションが精一杯。そのためには薬草を採りに森の中の小川に行かなくては……」

 カーリーは明日、薬草を採りに出かけることにした。

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