表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

1、縁談

 カーリー・ムーアが部屋でくつろいでいると、ドアがノックされた。

「私だ、カーリー。今日は良い知らせがある」

「なんですか? お父様」

 カーリーがドアを開けると、父親のムーア男爵が笑みをたたえて立っていた。


「カーリー。お前の婚約者が決まった。ガレシア侯爵の息子、アレス・ガレシア様だ」

 アレスという名前を聞いて、カーリーの顔が曇った。

「え? あの乱暴……いえ、勇ましいアレス様ですか?」

 カーリーの問いかけに、父親は得意げに答えた。

「ああ、そうだ。……ん? カーリー、さえない表情だが何か不満でもあるのか?」


「……いいえ、お父様」

 カーリーが無理に笑うと、父親は上機嫌で言った。

「さあ、今夜はご馳走だ。カーリー、おめでとう」

「ありがとうございます、お父様」

「来週にはお前とアレス様の顔合わせをする予定だから、きちんと体調を整えておきなさい」

「はい」


「それでは、また後で話そう」

 父親はドアを閉めると、廊下を歩いて行く音が遠ざかっていった。

「お父様……婚約者をきめてくるなんて、突然すぎますわ」

 カーリーはため息をついた。

 窓から眺める風景にも、別れが来ることなど考えていなかった。

「チャーリー様は病弱だけれど温厚で、情が深く優しいと聞いたことがあるけど……」


 カーリーは飲みかけの紅茶を一口含み、ごくりと飲み込んだ。

「……アレス様は乱暴で、口が悪いと言う話でしたわ……」

 憂鬱な表情で、カーリーはベッドに腰掛けた。

「とりあえず、夕食の時にお父様から詳しい話が聞けるでしょう……」

 そう言って、カーリーは目を閉じた。





 

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ