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2 追及
「まずい。対象者の浮気相手は知り合いだ」
俺はすぐに相棒に連絡した。
「すぐに交代要員を送る」
「頼む」
俺は車の中で代わり調査員の戻りを待った。
俺は自分の見たことがまだ信じられなかった。
艶やかに化粧した妻は自分が見たことのない顔をしていた。
車の窓ガラスが叩かれた。
「お疲れ様」
「お疲れ」
「で、どうだった」
「ばっちりだよ。二人でラブホテルに入って、二時間後に出てきたところを写真に撮ったよ」
同僚が俺にデジカメを渡した。
それを確かめた。
妻がラブホテルから出るところが写っていた。
深夜に帰宅した。
妻はまだ起きていた。
「遅かったのね」
「なぜだ」
「何が?」
「浮気をしているだろう」
「何を言っているのよ」
「しらばくれても無駄だ」
プリントしたばかりの写真を投げた。
「これが証拠だ」
妻の顔が紙のようになった。
「ごめんなさい。だって、あなたがいつも遅いから」
「夫の帰りが遅いなら、浮気をしてもいいのか」
「寂しかったの」
妻は泣きだした。
「でもあなたのことを愛している」
「何をしらじらしい」
「お願い。信じて」