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ある男の何気ない日常

カフェにて 2020 夏

作者: 倉門輝光

 「ちょっと聞いてよ。こないだ友達とみんなでキャンプ行ったんだけどさ」


 休日に近所のカフェでアイスコーヒーを飲みながら、さっき買った雑誌をパラパラとめくっていると、待ち合わせをしていたらしい女の子達の会話が聞こえてきた。

 チラッと見た所、22〜23歳くらいか。後から来た方の子が座るか座らないかのうちに喋りだした。

 

 声は大きいが、まあ、客は他にいないので俺さえ気にしなければ問題はない。

 聞くとはなしに耳に入ってくるだけだ。あんまりうるさければイヤホンをしてしまえばいい。



 「ああ、あのミサキとリコの彼氏が友達連れて来た合コンぽいやつ?」


 「それ!結局8人の所、一人来られなくて7人だったんだけど。男子3人と女の子4人でさ」


 「へえ」 


 「まあ、キャンプは楽しかったのよ。そんでその後ミサキから連絡が来てさ、みんなで映画に行こうっていうからさ、いいよ〜って行ったよ。観たいやつだったし。一昨日ね」


 「ああ」


 「そしたらさ、待ち合わせ場所に行ったらキャンプに来てたケンタってのが一人でいてさ」


 「え?どういう事?」

 

 「結局2人だったのよ。ちょっとアレッとは思ったけど。時間過ぎてからミサキ達が来られないって連絡して来て、やられたって思ってさ」


 「なんだそれ。ミサキもリコもグル?感じわりぃな」


 「グルだよね。でさ、あたしは正直そのケンタって子にはその気はなかったんだけど、急に帰るわけにも行かないじゃん。そんで、友達友達って思いながら普通に映画見て、そんでご飯も食べました。割り勘でね。で、夕方早々に解散してさ、そんで帰って来てしばらくしたらさ、ラインが来たわけよ」


 「ああ」


 「別れようって」


 「は?」


 「いきなり、別れようって」


 「なんだそれ」


 「間違いラインかと思ってさ、スルーしてたのよ。なんか、うっかりそんなの別人に送っちゃって間違いだったっての気まずいじゃん。知らんぷりしてたのよ」


 「え、でもそれ、ちゃんと本当に伝えたい相手に届いてなかったらまずいじゃん。言ってやりなよ。気まずいけど」


 「あたしもさ、少ししてから、やっぱ言った方が良いかなって思って、思い切って送ったの。さっき別れようってライン入ったけど、相手を間違ってない?って」 


 「うん、いいじゃん」


 「良くないのよ。間違いなくあたしに送ったんだって。とにかく別れたいって来たの」


 「どういうこと?付き合ってないじゃん」 


 「おかしいでしょ?おかしいよね?意味分かんないと思って、そんで…あ、すいません!アイスコーヒーお願いします」


 「あたしも、アイスコーヒーフロートを追加で」


 「かしこまりました。こちらお下げしますね」


 「はーい」 


 「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるわ」


 「了解!」 



 (引きが強い会話だな。つい聞き入っちゃったじゃないか。そのケンタって奴は映画誘って食事して、一回デート?的な日を過ごしただけで、もう彼氏彼女って思ってたってこと??アホだろ。てかさ、そのミサキって子が諸悪の根源なんじゃないのか?あ、俺もアイスコーヒーフロート頼もうかな)


 「すいません。アイスコーヒーフロートひとつ」


 「かしこまりました。こちらはお下げします」

 

 「はい」  


 (アイスコーヒーフロートは良いよね。ここのはソフトクリームだから更に良い)

 


 「おまたせいっ。あのさ、あたし今トイレで思ったんだけどさ、そのケンタだっけ?そいつがあんたに気があったんじゃないの?んで完全にデートのつもりだったんじゃないの?そんで、ミサキ達があんたらをくっつけようとして、適当な事言ってケンタを焚き付けたんじゃない?」


 (うんうん、俺もそう思う)


 「やっぱそうだよね。そんな人達だと思ってなかったからビックリしちゃった。そんでケンタがさ、思ってた感じと違うとか、俺達合わないと思うんだよねとか言うわけよ。君には悪いけど、やっぱホノカちゃんにするって」


 「誰だ?ホノカって」


 「キャンプに来てたもうひとりよ。もうさ、あたしからしたら、全然ホノカにしろよ!じゃん」


 「ほいだよねえ。そんで?返事したの?」


 「とりあえず、誰と誰が付き合ってるのかって、一応確認した。そしたら、俺とアオイちゃんだって来たからさ。そっからもう、あたしはGoサインが出たと思ったね。「一体いつあたしがあなたと付き合ったんでしょうか?映画には行ったし食事はした。それはあくまでもただの友人としての行動であり、そこには男女の恋愛感情などは微塵もなかったわけですが、もしやあたしがあなたを好きだなんて錯覚をしていたんでしょうか?」ってね」


 (おお!いいね。そんで?)


 「「そもそも互いに一度も告白も何もしていませんよね?お前したのか、告白、してねえよな。あたしが何か言ったか?みんなで行くと思ってた映画に2人で行くことになって、映画観て、腹減ったからご飯食べて、じゃあねってそれだけだよな。それでなんだ?別れようだ?お前、夢でも見てんじゃねえのか?」って送った」


 「あはは、わかるけどさ、でも、それはちょっとハッキリし過ぎてない?」


 (いや、その位ハッキリした方が良いと思うぞ。言葉遣いは乱暴過ぎるからあれだけど、でも現実を突きつけないと、そういう人って好き勝手に妄想するからな)


 「それがさ、こんだけ送ったのに、君を傷つけてすまない。とか返って来てさ」


 「あ、ダメだそれ。ダメな奴だ。てか、こっちが送ったのちゃんと読んでないんじゃないの?文字数多いと読めないやつなんじゃないの?」


 「もう気持ち悪くなったから、もうそれ以上関わらないようにしようと思って、「傷ついてませんから大丈夫です。とにかくお前に今後二度と会うことはない。さようなら」って送って、速攻でブロックした」


 (連絡つかないようにしたのはグッジョブだと思う。まあ、わからせようとして最後に送ったセリフが余計に勘違いさせてそうではあるけど。

 どっちにしても、あんまり関わっちゃうと、返ってイライラが長く続くだけだからな。スパッと切って、あとはそいつがどうなろうが気にしないのが一番だよ、うん)


 「そしたらさ」


 (え?まだ何かあるの?)


 「その後、ミサキとリコから連絡来てさ!なんかごめんねって言って来たの!」


 「さすがに嘘ついたの悪いって思ったんだ」


 「違うんだって!!ケンタに聞いたけど、良い雰囲気だったから上手く行くと良いなって思ったんだけど、ホノカの方になっちゃったみたいで、ごめんって!」


 「はああ?何だそれ!?ムカつくー!なんか、こう、すげムカちゅく!!すっげえ勘違いしてない?てめえら何様だ?って!」


 (うわっ、わかるー。俺もムカちゅくー!勘違いすんなボケって言ってやれ。本人無視して勝手にくっつけようとして、そんで片方の話だけ聞いて勝手に可哀想な人にすんじゃねえよ!てか、何?ミサキとリコは何なの?バカなの?)


 「あたし、ミサキに電話すっから、今から!マジきもい。あいつら恋愛ボケして頭沸いてるんじゃね?」


 「いや、もういいよ」


 「ダメダメ、アオイが良くてもあたしがダメ!」


 (んだんだ。電話したれ。言ったれ!) 


 言うが早いかその子は電話を掛け始めた。こういう時に繋がらないとムカつきが倍増するから、どうか一発で繋がりますようにと俺は祈った。幸いにミサキはすぐに出たらしい。良かった。



 「もしもし、ミサキ?あたし、ヨーコだけど、今良いかな?うん。あのさ、あんたこないだアオイのこと誘ってキャンプ行ったじゃん」


 (この子達はアオイちゃんとヨーコちゃんっていうのか。ヨーコちゃん、ムカつきながらもミサキの都合を確認するあたり、ちゃんとしてるな)



 「は?そうじゃねえよ。別にあたしも誘えって話じゃなくて!そのキャンプでケンタってのとアオイをくっつけようとしただろ?…いや、アオイが傷ついたとかじゃねえよ!黙って聞けよ!!」


 (…なんか、うちの妹もだけど、女の子って結構口が悪いよね。今はみんなこうなのか?まあ、裏表がなさそうで良いけどさ…。でも、もうちょっとこう、優しくても良いんじゃないかなとは思う。俺は女の子っぽい話し方の方が好みですね。まあ、俺の希望はどうでも良いだろうけど)



 「あんたらも、そのケンタってのも勘違い野郎なんだよ。アオイは全く好きでもないんでもないし、そもそも男として意識なんかしてない!あんたらが勝手に面白がって嘘ついて2人で映画に行かせたんじゃん!」


 (まあ、あれだな。ムカつく勘違いを正したい時って激昂しやすいよな。この子も正義感強いんだろうな。友達の事で一生懸命になれるのは悪くないよね。口は悪くても)



 「…だからさ、聞けよ。アオイはケンタってヤツのことは最初からカウントすらしてないっつの!真実を知ってるからアタシがムカついて仕方ないんだよ!!アオイには彼氏いるからな!」


 (あ、そうなんだ。てか、アオイちゃんさ、彼氏いるならそういう合コン的なキャンプは行かない方が良かったんじゃないの?)



 「ちげーよ!キャンプの後に前から好きだった男に告白されたんだよ!そんでイエスって言ったの!なのにあんたらがケンタってのと2人で映画に行かせたんだよ!」


 (あれ?アオイちゃんて子が慌ててるぞ。あ、もしかしてヨーコちゃんの暴走?勘違いを正したいが為にでっち上げ始まっちゃった感じ?)


 「だーかーらー!アオイには彼氏がいるから、すっげカッコいい彼氏がいるから!ケンタってのはただの勘違い!…え?ああ、知ってるよ。あたしも会ってるし!今も3人で一緒にいますー!ああ?電話に出せだ?今トイレに行ってるから席外してんだよ!とにかく、アオイは全然傷ついてないし、ケンタなんかどうーだって良いから!リコにもちゃんと言っといて!もう余計なことすんじゃねえぞ!じゃあね!!」 


 「…ちょっと、ヨーコ、あたしに彼氏がいるなんて嘘じゃん!」


 「ごめん、でもさ、ミサキのばかが、「そんなはずない!キャンプの時からアオイはずっとケンタにアプローチしてた!リコもそう言ってたし、だからケンタにアオイを勧めたんだもん!」って言ってっからさ、ムカついてさ…。もお、ごめん。だけど、多分納得したと思うから」


 「アプローチなんかしてないし。まあ、いいけどさ。…そんで、ありがと。なんか、すごく一生懸命になってくれて嬉しいよ。あたしもう、それだけで癒やされた」


 「そんなの当たり前じゃん。…まあ、嘘ついちゃったけどさ」


 「あたしが急いで彼氏作ればいいんじゃん?」


 「そうね、出来るものならね」


 「あはは!あ、ラインだ…うぇっ!ミサキだ」


 「マジか?」


 「無視しとく」


 「自分が正しいはずだって、そうじゃないなんて許せない!って感じかな。おさまりがつかないんじゃね?やだねえ」


 「悪気はないんだろうけど、ちょっとね。…あ、また来た」


 「しつこいな。なんだって?」


 「…今彼氏とヨーコの3人で一緒にいるんだって?彼氏カッコいいんだって?写真送って!…って」


 「はあ?何様だ?」


 「疑ってんだ、きっと。キャンプの時、あたし彼氏いないって言ったから」


 「彼氏を電話に出せって言うから今トイレに行ってるって言ったら、写真かよ」



 (そういうのは無視でいいんじゃないの?別に言うこと聞く義理はないんだしさ。…ん?何で俺を見てる?)


 ひそひそ話が聞こえる。「(雑誌読んでるんだから日本語わかるんじゃん?)」「(だよね)」と。そしてヨーコちゃんの方が声をかけて来た。



 「すいません」


 「はい…」


 「一緒に写真を撮ってもらえませんか?」


 「え…(そう来たか!?)」


 「私が撮りましょう」


 (え?お店の人まで…?)


 「ごめんなさいね。さっきから聞こえちゃって。この際だから、スカッとムカつきを終わらせる為にね。すみませんが、お客様、当店からもご協力お願いします!」


 「「「お願いします!」」」


 「あ、でも、そっちの店員さんの方が年が近そうですけど」


 「いいえ!あなたでお願いします。カッコいいって言っちゃったんで!」


 「お願いします!」


 「(それは店員さんに悪いんじゃ…)…まあ、俺でよければ良いですけど」

 

 そして俺はアオイちゃんの肩に手を置き、ヨーコちゃんも入れてお店の人に写真を撮られた。座って撮ろうとしたら、身長差をアピールしたいから立って撮ると言う。何でもいいけど。アオイちゃんは丁度俺の肩よりちょい下くらいの身長だった。


 写真が送信され、これで完了とカフェ内の皆がホッとしていると、ヨーコちゃんの電話が鳴った。


 「…もしもし?うん、だから今アオイが写真送ったじゃん。え?ちょっといい加減にしてよ…」


 そう言いながら、困った顔でヨーコちゃんがこっちを見て、そっと電話を差し出した。


 え?何?


 「ちょっと電話に出て、俺がアオイの彼氏だって言って…ください」


 ごめんなさい、という仕草をしながら俺を見る。

 カフェ内の全員が俺を見て、やれと目で言っている。


 仕方ない、乗りかかった船だ。


 「もしもし?はい、ああ、ミサキさん?アオイのお友達でしょ、聞いてますよ。俺?俺は、その、アオイの彼氏ですけど。今写真ラインしたでしょ。

 え?名前と年?それは君に言う必要があるのかな?ないよね。とにかくさ、もう理解して下さい。君等と行ったキャンプはただの友達同士の付き合いで、別にそこに恋愛的要素は何もないんだって。はい、はい、え?それはちょっと…いやいや、それはだめです。じゃあね、切るよ」


 そして電話を切った。今度俺も一緒にみんなで遊ぼうって言われたが無理でしょう。

 まあ、これで俺の役目は終わった。というか、どういう役目なのか?


 「すみませんでした、急にお願いしちゃって」


 「ありがとうございました」


 「「「ありがとうございましたっ」」」


 「いや、大したことしてないですから」

 

 「ホントに急にすみませんでした。あの、何か飲みます?お礼にごちそうします」


 「いや、本当に、大したことじゃないので、気にしないで下さい」


 「でも、なんか申し訳ない…。彼氏役なんてやってもらって…彼女さんがいたら申し訳ないなって」


 「今いませんから大丈夫ですよ。ええと、俺、もう行かないといけないので。じゃあ、これで…」 


 特に用事はないが、もはやこの場所では落ち着いてゆっくり出来ない。レシートを持ってレジに向かう。レジの人にも「おかげでスッキリしました」と言われ、「まあ…」と薄ら笑いで答える。


 背後で電話の音が鳴ったが、もう俺には関係ない。早い所このカフェから出よう。お釣りをもらって財布に入れているとヨーコちゃんのでかいヒソヒソ声が聞こえた。 


 「捕まえろ」


 ? 何か不穏な言葉だったが、きっと空耳だろう。


 「捕まえろ。彼女いないって言ってた。確保しろ」


 え?


 「アオイが捕まえないなら、あたしがもらう」


 「え?え?待って、でも捕まえるってどうやって?」


 (え?どうやって?てか、何かやだ。捕まえないで。そうだ、逃げよう。走って逃げよう)


 急いで外に出る。これでもかという炎天下だ。サングラスを掛ける。暑くていやだが、俺は走って道を渡ってしまおうとした。

 ああああ、赤になった。どうして、どうしてこんな時に限って信号は赤になる?


 振り返るとあの2人がカフェから出て来るのが見えた。どうしよう。ドキドキしていると俺に声をかける者がいた。 


 「あれ、兄貴なにしてんの?」


 おおおおおおおおおおお!妹よ!!良い所に来た!! 


 「何か買ってやる。俺と腕を組んで彼女のふりしろ」


 「了解っす!何でも買ってくれるならお安い御用っす!」


 何でもとは言っていないが、まあいい。俺は妹と腕を組んで信号待ちをした。そっと振り返るとあの2人がこっちを見て何か話している。 


 「なに?あの2人から逃げてんの?相変わらず兄貴モテるねえ」


 「別にそういうわけじゃない。ただ何となく危険を感じただけだ」

 

 「どんな危険だよ?あ、こっち見てるよ」


 「彼女はいないって言っちゃったからな…疑ってるのかもしれないな」


 「何?詳しく聞こうじゃないの。てか、あそこ行こう、ほら」


 「アップルショップ?なんで?」


 「涼しいじゃん。それに何でも買ってくれるって言ったよな。ヒロトがアップル時計欲しがってたんだよ。最新型のをお揃いで買っておくれ~。エルメス仕様のが良い!」 


 「なっ!お前、いくらになると思ってんだよ?」


 彼女役はもういいよと言おうと、一応背後の2人に目をやると、既に2人ともいなくなっていた。しまった。追い払い契約が完了していた。 


 「行こう、アップルショップ。ほら!青だよ、渡るよ!」 


 明るく俺の手を引く妹。

 

 おかしい。ちょっとだけ人助けをしたはずなのに、何故俺の財布から予想外の大金が出ていく事になるのか。

 結婚祝いと思うしか無いと考え直しながら、俺は釈然としないままアップルショップに連れて行かれるのだった。




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― 新着の感想 ―
[一言] いや、このシリーズいいですね。ひさびさほっこりしましたよ。妹ちゃんも役得でほっこりでしょうね。
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