001 猫を拾いました。
息抜き&不定期更新作品です。
気を抜いて読んで頂ければ幸いです。
人生、猫に始まり猫に終わるとは良く言ったもので、正にその人生を体現した。
生まれて直ぐ、それは赤ちゃんの頃だったと思う。
真横にいましたよね?
モフモフが。
特質すべきは、ぬいぐるみではなく生きていた事。
猫ばかりが飼われている、猫屋敷に育ちました。
実家は六匹の猫飼い屋敷で、まあ、トラだとかブチだとかミケだとか…。
いるわいるわ。
社会人になっても、猫とは縁があり、黒猫とさび猫を飼っていた。
まあ、ぶっちゃけ、毛色に関係無く猫ならなんでも可愛かった。
黒とサビは世間一般ではあまり人気がない毛色で……
もらい手が付かずに困っていたので、貰うことにしたのだ。
こんなに可愛いのに。
溺愛。
そして猫だけに囲まれた猫人生は、野良猫を助けた事によって終わった。
車の前に飛び出しちゃった訳よ。
猫が……。
ほって置けなくて助けたら、車に跳ねられ即死。
凄い衝撃でしたよね。
アラフォーでしたが、猫に始まり猫に終わる人生の終焉です。
ええ? 悔いはありません。
猫を愛でまくったので満足していますけど、何か?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もふりたい。
とぼとぼと道を歩いていた。
道と言ってもアスファルトで舗装された道じゃない。
土だ。
砂埃が舞い上がる、細い村の道。
左右は草が生い茂り、石もゴロゴロ。
そこで猫を見つけたのだ。
捨て猫。
森と村を繋ぐ道で、猫が落ちていました。
拾う。
一択だ。
迷いなし。
そもそも前世では、猫をこよなく愛していた愛猫家。
しかしボランティア活動などは勇気がなく出来ない引っ込み思案。
異世界に転生したら、森で自給自足をする魔女でした。
『魔女』
魔女とキタか。
しかもお一人様。
しかしー
前世でもそうだが、魔女といえば猫だ。
猫のいない魔女は絵的に少し物足りない。
しかもお誂え向きの黒猫。
拾う。
なぜ捨猫かと言われれば、箱に入っているから。
箱ごとがっつり頂く。
弱っているのかな?
鳴く力がないのかな?
心配だな?
いつもはゆっくり歩くのに。
気持ち早足。
ちょっと前のめり。
魔女の得意技は薬作り。
急いで家に帰ったら、取り敢えず全身隈無く診断。
薬作って、猫ミルク。
普通のミルクじゃ、お腹を壊してしまうので、薬を入れて猫用に酵素を調整。
首に大きな赤い宝石を付けている。
飼い猫?
宝石を取らずに捨てるなんて奇特な。
今日は一日寝かせて、明日は暖かいうちにタライで全身を洗おう。
首元に虫除けの薬を付けて、いざモフる。
もふもふ。
もふもふ。
もふもふ。
暖かくて、
柔らかくて。
魔女は涙が滲んでしまった。
この世界に来て初めての温もり。
人恋しかったんですね。
猫がいて良かった。
ずっと独りぼっちでしたからね。
魔女の宝物。
今日は一晩かけて名前を考えよう。
魔女は、猫と一緒にベッドに潜り込むと、幸せな眠りについた。