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ごなじみ。  作者: 依尾
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初日 その後






 『そーいえばさ、何で連絡取れなかったの?』



 片付けが一段落ついてリビングに集結したので、疑問に思っていたことを聞いてみた。半年も連絡がなかったのだ。理由をぜひお聞きしたい。



 「いや、何でって。お前だろ?連絡取れなかったのは」



 俺らに腹立てるのは心外だ、と言わんばかりの表情で雪兄がこっちを見る。



 『え』


 「俺らは連絡取れてたぞ。むしろ連絡つかなくなったのはお前のほう。携帯変えたのか?」



 いや、確かに壊して新しいのに変えたけど。



 『データ全部消えたから、皆に連絡してくれるよう頼んでって周ちゃんに…』


 「あー、なるほど。てかお前が連絡してくれば良かっただろ」


 『だって全員分入れるのめんどくさくて』


 「お前が悪いだろ」


 『…そうですね』



 確かに私が悪いな。

 …勘違いした挙句、勝手に腹立ててすみませんでした。ほんとに。



 「それにしてもこの手紙、俺らまだチビ扱いなんですかね」



 依咲が「これでも大分デカくなったと思うけど」とお茶をすすりながら手紙を見る。

 幼少時から知ってる周ちゃんは、昔から彼らをチビと呼ぶ。

 


 『定着してるから今更じゃん』


 「でも、周さんより身長高いんだけど」


 「依咲、お前それ、絶対周さんの前で言うなよ」


 

 そう、169㎝と、一般の成人男性より少し低めの周ちゃんに身長の話はタブーで。

 怒らせると誰も止められない。ちなみに柔道、空手は黒帯レベル。



 「じゃ、半年も連絡取れなかった柊は罰として今夜の夕食係ね」



 依咲がスマホをいじりながら、こっちも見ずに言う。



 『えー…』


 「就活で忙しいんだろうなっては思ったけど、俺らだって心配はしたんだし。それに、周さんが原因だったとしてももとはと言えば柊がめんどくさがったせいだよね?」


 『う、言い返せない』


 「しかも俺らが悪いと思ってたんでしょ?傷つくなー」



 絶対、傷ついてはいないくせに。まあ、私が悪いのは変わらないけどさ。



 『わかった、コンビニ弁当買ってくるよ』


 「ダメに決まってんだろ。作れ」



 「食材は買ってあるから」と雪兄が冷蔵庫を指差す。

 


 『……準備良すぎじゃない?てか、今日は食べいこーよ、疲れたし。明日、明日絶対作るから』



 さすがに引っ越した初日に作るのは体力が…

 


 「仕方ねぇな、じゃ今日は俺が作るわ」



 そう言ってキッチンに移動した雪兄。え?まじで?



 『雪兄、料理出来たっけ?』



 見たことないけど。



 「おう、結構楽しいぞ。最近ハマってんだよな」



 いつからさらに女子力上げたんだ。元々器用にできる方ではあったけど。お菓子とかは好きで作ってるの見てたし。



 「その代わり、明日はお前な」



 今日出てくる夕食のレベルが高すぎて、明日の夜ご飯が作りづらくなってしまう事を、この時の私はまだ知らない。



 





 







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