プロローグ 唐突な巡り合わせ
妖精の隠れ家プロローグ
世界は度重なる戦争がまた起こり貧富の差が明らかになった。飢える人間は増え続け人々は希望なんてものは抱かなくなった。
政府は自分の椅子を守るのに必死だし、警察は民間人を守ることしなくなり、己の欲満たすために権力を振りかざした。
そして世の中に不幸なヤツが増えた。私もその一人だ。
親に捨てられ若干10歳で私は世の中が不公平だと悟った。本当なら学校へ行き、友達とか作って楽しく平和に健やかに育っていっただろう。
でも私の現実は全然違っていたんだ。裏路地で欲望を剥き出しの男に襲われ、これから何をされるかもわからない状況で私は溝鼠が徘徊する汚い裏路地の地面で押し倒された。
喚き散らしても声なんか誰にも届かなかった。届いたとしても誰もボロボロの服を着た子供なんて助けやしない。
世界は私には辛くて悲しくて悔しくてなんで捨てられたのだろうと親を恨んだ。
それが私が生きている世界だった──────。
涙が溢れ出し負の感情は沸くものの抵抗もする気も起きなかった。ただただ、されるがままだった。
ズボンを脱がされそうになった時、男は急に倒れ込んで来た。なにが起きたのかと男を横目でチラと見ると男の頭から血が流れていた。
私はその血に驚き必死に覆い被さっている男退けようともがいていた。少しの隙間が出来た間から向け出した。
呆然と座り込んで血塗れの男を見ていると、人影がそこにあった。
私はゆっくりと顔あげると女が拳銃を持って立って私を見ていた。
その女の人はゆっくりと近づきしゃがみこんで私の頭を優しく撫でてくれた。
「もう、大丈夫だからね」
そう一言優しい声で震える私を包んでくれた。
それが彼女との最初の出会いだった─────。