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魂は誰を呼んでいる?  作者: 置き時計スプラッシュ
第3章──立ちはだかるモノと不穏な風
17/58

調達係

「あー、やっと今日の授業が終わったか…」



 授業の終わりのチャイムが告げられた後、俺は机に突っ伏す。体育の後に世界史はキツい…眠すぎる。


『ふっふっふ、アカネ式目覚まし機能は便利だったでしょ?』

「便利だけど…やられてる側は地獄だぞ」


 授業中ウトウトした瞬間アカネが俺の体を奪い、ヘッドバンギングを思わせるような勢いで頭を振りまくる。目は覚めるが、同時に回るというデメリットを兼ね備えた目覚まし機能である。


「他にいい方法あっただろ?頬をつねるとか」

『いやー、あれ以外思いつかなくてねーあっはっはっはっ』

「…お前絶対遊んでるだろ」


 席が1番後ろだったのがラッキーだったな。こんな姿見られてたらどう思われるか…



「荒木…」



 と、アカネと雑談している途中でアキラが話しかけてきた。


「…どうしたんだよ、元気無いな」


 なんだかアキラの声が変だ。いつもなら「また出会ったな我が盟友よ!フハハハハ!」とか言いそうなのに。



「声が…枯れた…」



「…ああ、なるほど」


 ドッジボールの時のアレか。


「まあ、あんな奇声上げたらそりゃ声枯れるよな」

『凄かったよね、あの声。体育館にいた全員が凍りついてたもん』


 歌声ならまだしも、叫び声で鳥肌が立ったのなんて初めてだ。人間が出す音じゃなかったしな…どこからそんな声出たんだか。


「そこでだ…病院行ってくる…から、今日部活…休む」

「ああ、了解。お大事に」

「おう…ゲッホォォ」


 死にそうじゃないか…そこまでしてまでやりたかったか、体育委員。







「連絡事項はこれで全部だ。今日は終わりだ。解散!」



 終礼が終わり、部活の時間となった。今日は部室に集合してこれからの方針を決める予定だ。


「ふぅ…終わった終わった」


 荷物をまとめていると、何やら廊下が騒がしいことに気がつく。


「なんだなんだ?」


 と、廊下を窓から覗いてみると…




「荒木、滅殺すべし!」

「荒木、真っ二つにすべし!」

「荒木、丸焼きにすべし!」




 俺に対する殺意剥き出しの集団が教室に押し寄せていた。




「我らのリーダーの仇!今こそ討つとき!出てこいぃぃぃ荒木ぃぃぃぃ!」




 あいつらが何なのか…そんなの考えるまでもない。



「しつこいなぁ…あの変態集団」



 以前、あいつら…リーフムーンズに拉致されて殺されかけた。それも、かなり一方的な理由で。


『転校して早々に敵作っちゃったねー』

「しかもあいつらってとにかく目立つからな…俺まで教師陣に目をつけられそうで怖い」


 とっととこの場から離れて事態の収拾を図りたいけど…扉の前に陣取られて出れない。出ていったとしても袋叩きに逢うのがオチだ。


「どうしたもんかな…」


 と、1度席につき、頬杖を付いて解決策を考えていると…



「ふふふ、油断したな、荒木雷!これがリーフムーンズの真の団結力よ!」



 松下が勝ち誇った顔で俺を見下しながら話しかけてきた。


「ふっ…俺に勝ったつもりだったのだろうが、勝負はまだ終わっていない!」

「……」


 俺はチラッと松下の顔を見て、すぐに視線を窓の外へと移す。


「お前は俺を確かに倒した…だが!リーフムーンズを全員倒さないと俺に勝ったことにはならん!」

「……」

「考えが甘かったようだな、荒木雷!」

「……」

「詰みだ!お前は終わりだ!チェックメイトなのだっ!」

「……」




「…何か言えよ!寂しいじゃねぇか!」




 松下にバンッと机を叩かれて頬杖がずれてしまった。肘痛てぇ…


「やめろよ!びっくりするだろ!」

「お前が反応してくれないからだろうがぁ!これじゃ俺が痛い人みたいじゃないか!」

「もともと痛い人だろーがお前は!」

「なんだとこのアンチ葉月様がっ!ぶっ殺してやる!」

「んな物騒な!?」


 と、ギャーギャー言い合っていたその時!




 ばちゅん。




「ふごぁぁぁぁぁ目がぁぁぁぁぁっ!」




 何かが弾けた音がしたと思えば、急に松下が目を押さえて悶えだしたではないか!


『これって…』

「もしかして…」


 と、後ろを振り返ると…




「受け取ってくれた?私のプレゼントっ!」




 グッ!と、ドヤ顔で親指を立てている赤坂さんがいた!



「お、おぉ…ありがとう。助かった」

「ふっ…感謝されることは無い。目にゴミが入ってなさそうだったから入れてやっただけさ」

「ただのド畜生じゃねーか!」


 カッコつけてるけど発言の内容は最低だった。


「にしても、凄い実力だよな…」

『うん、あんなに小さな的に向かって正確に…』


 もっと活躍の場はあるだろうに…どうしてオカ研なんかにいるんだろう?うーん、謎だ。



「じゃあ、私は先に部室に行ってるからねー!荒木くんも早く来てよ!」



 そう言った赤坂さんは大きなリュックを担いでさっさと教室を飛び出して行ってしまった。


「え?あ、うん、了解…」


 どうせならあの変態共も狙撃して欲しかったけど…赤坂さんを巻き込み過ぎるのも良くないな。


「さて…どうするかな」


 転がってる松下は放っておいて、さっさと何か策を考えないと。オカ研のみんなを待たせるわけにはいかないし、ここは穏便にこの場を切り抜けたいところなんだけど…


「あ、そうだ」

『何か思いついたの?』

「ああ…って言っても、とーってもシンプルな解決方法だけどな」


 そして、ポケットから端末を取りだし、とある番号を呼び出す…






「早く出てこい!荒木!」

「ぶっ潰してやる!」

「葉月様のために!」

「葉月様のために!」



「「「ウオオオオオオオッ!」」」



 俺が出ていかないことで、だんだんとエスカレートしていくリーフムーンズ。


「ねえ、荒木君、アレって大丈夫なの…?」


 さすがに騒ぎが大きすぎるのか、カイトが心配してくれる。


「うん。多分穏便に解決できる…はず」

「え?どうやって?」

「うーん…もうすぐだと思うけど…」



 と、その時!




「お前たち!何をやっている!」




 キーンと貫くような女の子の声が変態達を一瞬で黙らせた!



「こ、この声…まさか!」



 聞き覚えのある声…それを聞いて、転がっている松下も目の痛みを忘れて動きを止める。


「ねぇ荒木君、これが解決策?」

「うん、女の子に頼るのは情けないけど…穏便に済ませるにはこれしかなかった」


 あいつら相手には、これが1番の解決策だろう。プライドが少々傷ついたが、袋叩きにされるよりはマシだ。




「は…葉月様…!」




「風紀委員として恥ずかしいと思わないのか!公共の場だぞ!馬鹿者がぁぁぁぁぁっ!」



 二ノ宮さんの罵声という弾丸に撃ち抜かれた変態達は次々と撃沈していき…


 


「「「す、すみませんでしたぁぁぁぁぁっ!」」」




 最終的に全員が二ノ宮さんに向かって土下座をすることとなった。


『…てか何で松下君もあの中に混ざってるの?』

「あ、ほんとだ。自分から怒られに行ったのか…?」


 目を潰されてるはずなのに…アホなのか、あいつは。

 



「わかったらとっととこの場から立ち去れ!邪魔だ!」




「「「は、はいっ!」」」


 二ノ宮さんの公開説教が終わると、変態達は流れるように廊下を走り去っていった。


「…凄いね、風紀委員長さんは」

「…うん」


 二ノ宮さんも凄いけど、従順すぎるあいつらも凄い。洗練された変態集団である。





「悪いな、わざわざ高2の教室にまで来てもらって」

「構わないさ。仲間を守るのは当然のことだ」



 そう言って自身の胸をドンと叩く二ノ宮さん。


「さすがだな…それより、あいつらを風紀委員にしてていいのか?風紀を乱す元凶だと思うんだけど…」


 そう聞くと二ノ宮さんは顔を少ししかめた。


「…確かにそれは正しい。そもそも彼らは風紀というものをよくわかっていないし…」

「まあ…そうだろうな」


 あいつらの目には二ノ宮さんしか写ってない。あんな奴らが風紀を分かってるとか言い出したら…この学園終わるぞ。というか風紀わかってない時点でアウトだろ。



「だが、この学園を守りたいという強い気持ちが伝わってくるんだ。だからやめさせようにもやめさせられない」



「…そうなのか」


 どちらかというと学園より二ノ宮さんを守りたい気持ちの方が強いだろうけど…もしかして気付いてない?


「ちなみに…二ノ宮さんってアイツらが何と呼ばれているのか知ってる?」

「ん?風紀委員…じゃないのか?」

「…やっぱり何でもないっす」

「何故途中でやめる!?なあ、気になるじゃないか!」


 自分のファンクラブが出来ていることに気付いてなかったのか…

 そう言えばラブレターの時も殺人予告って勘違いしてたな。二ノ宮さんって実は鈍い…?






「よし、全員揃ったわね!」



 その後、二ノ宮さんと別れてすぐに部室へ移動した。


「遅れてすみません…!」


 すでに俺とアキラと上田先生以外は揃っていた。上田先生は今日は会議で来れないらしい。


「あはは、おつかれー」

「事情は聞いてるわ。またあの集団が余計なことをしたらしいわね」

「…はい。本当にしつこいです」


 そのうち寮にも来るのではなかろうか。そう考えるとリーフムーンズ恐ろしや。



「じゃあさっそく…今後について話しましょうか」


 と、アヤねぇがホワイトボードをガラガラと引っ張ってくる。


「まず、私達がすべきなのは情報収集ね。オカ研が持つ情報だけじゃ全然足りないわ。とにかく『光る箱』と『おっきな球』が何なのかを突き止めて方向性を決めないと…」


 確かに、アカネもそれらが何なのか詳しくは知らないっぽいし…でも、そんな漠然としすぎたヒントだけで見つけられるのか?



「俺は俺のルートで調べてみる」



 と、立花さんはそう言った。


「立花さんのルート?」

『独自のルートってなんかカッコいいねー、響きが』


 元暗殺者のルートってどんなのだろう…?まあ、下手に首を突っ込まない方がいいな。怖い。


「私はバイト先で色々と話を聞いてみるわ。噂話でも思わぬところで役立つこともあるから」


 なるほど…喫茶店で働いていれば噂話を聞くことも簡単そうだ。自然な流れで詳しく聞き出すことも出来そうだし…


「…でも、大丈夫か?直接聞き出すのは危ないと思うぞ?」

「あら、私を心配してくれてるの?立花君」

「…まあな。深く突っ込みすぎるなよ」

「ふふ。ありがとう」


 俺にはよく分かんないけど、お互いに信じられる部分があるっぽい。

 まあ…アヤねぇも立花さんも頼りになるもんな。任せよう。


「あ!私も部活のみんなに聞いてみる!」

「なるほどなるほど、立花君に赤坂さん、それと私が情報収集…と」


 と、アヤねぇはキュッキュとホワイトボードに名前を書いていく。


「じゃあ俺は治隊の方で探ってみますね。何か知っている人がいるかもしれないし…」

「あら、荒木君って治隊で働いていたの?」

「そうですけど…あ、そういえば言ってませんでしたね」

「治隊って…あの道路をぴょんぴょん移動してる人達のことだよね?」

「まあ、うん」

「ワオ!カッコイイ!今度見かけたら手を振ってあげるね!ライ!」


 銃を無くしてめちゃくちゃ恥かいた…ってのは内緒にしておくか。イメージ壊したくないし。



「いや、お前は情報収集はやめておけ」



 すると、立花さんがそう言ってきた。


「え?しゅーごくん、どうして?」

「おそらくだが、謎の組織からは1番お前が監視されている。下手に動くと何をされるかわからない」

「な、なるほど…」


 ちょうど夢の中に出てきたあの蝶を思い出す。もしあれが監視のためのものだったら…もう何をしても怪しまれる気がして落ち着かないな…


「安心しろ。ちゃんとお前に任せたい仕事がある」

「そうなんですか?」


 情報収集以外で…何だろう?


「ああ。そこにはエマと行ってもらう。お前達には調達してきてもらいたい」

「おー、荒木くんとデートだ!」


 相変わらずテンション高いなぁ、エマは。


「で、何を調達してこればいいんですか?」


 すると、立花さんはニヤッと笑ってこう言った。




「決まってるだろ。武器だ」







「武器、か」



 確かに戦いにおいて武器の有無はかなり影響するものだろう。でも…


「俺が武器を担ぐなんて…」


 ガチの武器なんて渡されても扱えないぞ、俺。高1の時に授業で軽く剣道をしたくらいなのに…


『まあ、安心してよ。私が戦うからさ!』

「おー…」


 そっか、俺にはアカネがいた。それならもう荒事に関しては全部アカネに任せるか。


 あと、心配事がもう1つ…



「武器ってちゃんと正規ルートで手に入るんだよな…?」



 「貴方はもう闇を知ってしまいました…逃げられませんよ?」なんてことがあったら人生終わる。比喩じゃなくて、ガチで。


「そんなに心配しなくてもいいよ!」

「そ、そうか?」

「Yes!今から行くところはホワイトだから!」


 そう言うエマはとてもウキウキしている。この様子を見て、俺は安心していいのか…?



『ねえねえ、そういえば私達ってどこへ向かってるんだろうね?』



「あー…さぁ?」


 今、俺とエマはモノレールで移動している。どうやらここからは結構離れた場所で製造しているらしく、電気自動車だと時間がかかるのだとか。


「武器といえば、うちの学園の人たちはみんなスタンガンを持ってたな…それも今から行くところで取り扱っているのか?」

「いや?なんか売店のおじさんが面白半分で売ったら飛ぶように売れちゃったみたい。学園側が止める頃にはほぼ売り切れで、仕方ないから護身用で風紀委員と教師には許可されたんだよ」


 いや、どんな売店だよ!?しかも…


「許可って…学園には必要ないだろ、スタンガン」

「でも、ワタシたちの学園にはモンスターがいるじゃん?それを抑えるのにも役立ってるんだよ!」

「モンスター!?」


 え、そんなのいたっけ!?初耳だぞ!


『あの人じゃない?保健室の…』

「ああ、美智子さんのことか」


 しかし、モンスターで通じる人とは…おっそろしい人だな、美智子さん。





「──まもなく、イーストアイランド中央、イーストアイランド中央です。お降りの際は…」



 しばらくエマと話していると、車内アナウンスが鳴った。


「あ!着いたね!降りるよ、ライ!」

「イーストアイランド?」

「あれ、知らない?新世界島って4つの島に分かれてるんだよ」



 エマの説明によると、上から新世界島を見るとピザを4等分したような形をしているらしい。

 それぞれの島では役割のようなものがあり、例えばウエストアイランドには港や食料などに関するものが、ノースアイランドには島を管理する中枢機関や大病院などがある。俺たちの学園があるのもノースアイランドだ。

 そして、今俺たちが向かっているのはイーストアイランド。そこは主に居住地区としての役割を果たしている。俺は寮生だからあまり行く機会はないだろうが、学園のほとんどの人はそこから学園に通っているらしい。


「でも、居住地区に武器を扱うところがあるなんてな…」

「うーん、厳密に言うと扱ってるのは武器じゃないんだよ」

「え?じゃあ何を?」

「それはね…行ってからのお楽しみ!とってもエキサイティングな場所だから!」


 そう言って荷物を持って立ち上がるエマ。相変わらずテンションは高い。


「なぁ、アカネ、俺たちって武器を調達しに行くんだよな?」

『そうだよ?』

「だよなぁ…」


 何だろう、俺だけ緊張してるのがアホらしくなってきた。これっておかしいことなのかな…?






 駅のホームを出ると、今までいたノースアイランドとは打って変わって、かなり静かな雰囲気だった。公園があり、人工ではあるが川があり、雰囲気はなんだか俺のもともといた街とそこまで大差無いように思えた。まあ道路と建物は相変わらずがっつり高いままだが。


「さあ!ライ!カーステはこっちだよ!」

「わっ、引っ張るな!」


 

 カーステとは、カーステーションの略で、電気自動車を貸し出す施設である。端末があれば無料で借りられるし、目的地を教えれば自動で運転してくれる。なので、免許が不要であり、老若男女問わず誰でも気軽に借りることができる。

 しかも目的地に着けば自動でカーステーションに戻っていくという便利機能付きだ。さすがだな、新世界島。

 ちなみに手動でも運転は可能だが、その場合は免許が必要になる。まあ、そりゃそうか。


 





「なぁ、今更だけど、エマはなんでオカ研に入ろうと思ったんだ?」


 目的地に着くまで暇なので、そう尋ねてみる。


「ワタシ?それはね、アヤコさんに憧れたからなの!」

「アヤねぇに?」

「そう!この島に来てから初めて凄いと思ったのがアヤコさんのバイク!もうびっくり!ゲームみたいだもん!」

「ゲームみたい…か」


 確かにあれはレースゲームのような感じだったな…うえっ、思い出すだけで酔いそうになる。


「ゲーム、好きなのか?」

「もう大好き!FPS大好き!あれ作った人凄い!ねぇ、ライもやりなよ!面白いよ!」


 と、テンションが上がったのか、銃を撃つ構えをとって動き回るエマ。


「パーンパーン!あははは!」

「お、おい、落ち着け!暴れるな!」


 車が左右に揺れてる!酔う!酔うって!


『ねぇ、えふぴーえすって何?』

「ゲームだよ。銃とか撃ったりして相手をやっつけるゲーム」

「あ!もしかしてアカネも興味ある?いいね!今度部室に持っていくからやろうよ!」

「わーいわーい!やりたいやりたい!ババババァン!」

『お前!こらぁ、返せ身体!』


 恥ずかしいからやめてくれぇぇぇ!





 そんなこんなで目的地に到着した。



「着いたよ!ここだよ、ここ!」



 そう言ってエマが指差した先には、10階建ての建物があった。この島ではごく普通な建物である。


「ここが…?」

「そう!ここ!」


 ここで武器が製造されているのか…なんだか緊張する、と思っていると、中から人が出てきた。


「あ、荒木さんだ!」

「あれ?ユイ?」


 なんと出迎えてくれたのは初日にお姫様抱っこをしたユイだった。


「ここで何してるんだ?」

「ん?作ってるんだよ!見る?」

「作ってるって…えっ!?」


 なんだと…!?こんな小さな子が武器を作っていたなんて…!


「ラーイー、何ボーッとしてるの?中入るよー!ほれほれ!」

「うわ、ちょっ、押すな!」


 中へ入ると、そこは…




「な、なんだここぉぉぉ!?」



 

 建物の外見からは想像も出来ないような造りになっていた!おびただしい数のパイプが床や壁に張り巡らされており、煙を出しているゴツい機械がそこら中に並べられていた!



『うおぉぉぉぉ!すごぉぉぉぉぉぉい!』

「うわっ!?急に叫ぶな!」

『あはは、ごめんごめん、テンション上がっちゃって』


 でも、これはテンション上がってもおかしくないな。まるで別の世界に来たみたいだ。



「おっ、来たか、エマちゃん」



 しばらく眺めていると、俺たちの元にゴツい防護服とマスクを装備した人が現れた。


「あっ!おじちゃん!こんにちは!」

「こんにちは。元気にしとるか?」

「うん!元気元気!そっちは?」

「相変わらずじゃよ。ところで、この男の子は…?」

「ああ、新入りのライだよ!」

「おお、そうかそうか」


 そして、その人はマスクを外して身だしなみを整え、俺に手を差し出す…!




「ようこそ、我が『大爆発明研究所』へ!儂は所長の滝本武じゃ!よろしくのぉ!」




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