【9話】緋月の選択
マーリン「おかえり。あれ、緋月ちゃん?」
マーリンは緋月を怪我を見て驚いた。
それと同時に、胡蝶は緋月を見て驚いた。
胡蝶「緋月?」
緋月「胡蝶…?」
一同、困惑の嵐。
マーリン「まず、緋月ちゃんを部屋に。」
聖雷「う、うん。」
聖雷は緋月を連れて部屋に上がった。
聖雷「胡蝶と知り合いなんだね。意外。」
緋月「何で、胡蝶がここに。」
聖雷「詳しくはあとで。だけど、これは言っておく。胡蝶はこの宿によく泊まりに来るよ。」
緋月「そ、そうなんだ…。」
とりあえず緋月を一旦休ませることにした。
*
聖雷は、緋月を休ませるとマーリンの居るフロアに向かった。
聖雷「とりあえず休ませてきたよ。」
胡蝶「ああ。」
聖雷「緋月と知り合いなんだね。」
胡蝶「そうだな。マーリン様から話は聞いた。緋月もここに来ていたんだな。」
聖雷「うん。」
マーリン「…緋月ちゃんの怪我。」
マーリンは聖雷の目を見て察した。
聖雷「…そういうこと。」
胡蝶「やはり。」
聖雷「街へ出ようとしたら、ひっきーが倒れてたんだ。だから、応急処置をしてここへ連れてきた。」
マーリン「よくやったわ。聖雷。」
聖雷「ひどく疲れてて、怪我もあったから…。」
マーリン「虐待…ねぇ。」
胡蝶「…この前、緋月と話したんだ。まだ虐待が続いているようだな。でも、あいつは弱音は絶対に吐かない。」
マーリン「強がりさんね。」
胡蝶「本当にどうしようもない奴だ。…だが、友達であることには変わりない。支援はしようと思ってる。」
聖雷「うん…。」
全員、緋月のことを心配していた。
マーリン「胡蝶ちゃん。」
胡蝶「?」
マーリン「緋月ちゃんを、今後も見てあげて。」
胡蝶「俺がか。」
マーリン「あなたが最適よ。」
胡蝶「…はぁ。よりにもよってあいつのお世話係か。」
胡蝶は緋月の元へと行った。
聖雷とマーリンはそれを見て安心した。
*
胡蝶がドアをノックする。
胡蝶「入るぞ。」
ドアを開けると、緋月が元気そうに胡蝶のことを迎えた。
緋月「胡蝶。」
胡蝶「全く。心配させやがって。」
緋月「もう大丈夫!」
緋月はニコニコとしていた。
胡蝶「…マーリン様の宿を知っていたんだな。意外だ。」
緋月「そっちこそ。胡蝶みたいな方向音痴が森の中の宿知ってたなんて。」
胡蝶「はぁ。元気は戻ったみたいだな。」
胡蝶が緋月の正面に座った。
緋月は不思議そうに胡蝶のことを見た。
胡蝶「なぁ。」
緋月「なーに?」
胡蝶「マーリン様の命令で、俺が緋月のお世話係になった。」
緋月「…は?」
胡蝶「嫌だろうが、仕方無いんだよ。だから、今から俺の言うことを聞いてもらう。」
緋月「胡蝶の言うこと聞かないといけないの?」
胡蝶「絶対だ。」
緋月「めんどー。」
胡蝶「…これは命令だ。これからマーリンの宿に泊まれ。」
間。
緋月「…え?」
胡蝶「これからマーリンの宿に移り住め。」
緋月「なんで。」
胡蝶「俺からの命令だ。緋月は宿にいてもらう。そうすれば、もう傷を負わなくて済む。」
緋月が少し考える。
緋月「嫌だ。」
胡蝶「なんでだ。」
緋月「母の息子は俺っちだけ。俺っちは母と一緒に暮らす。」
胡蝶「暴力振られてもか。」
緋月「…。」
胡蝶「いいか?よく聞け。貴様の母親は異常だ。緋月のためにも、こっちに来い。」
緋月「胡蝶に言われたくない。異常だなんて。」
胡蝶「…でもな。その傷を見て平気でいられるよう母親は母親じゃない。」
緋月「…。」
緋月が俯く。
緋月「俺っち…。」
胡蝶「無理をしていたんだろう。」
緋月は静かに頷いた。
胡蝶「離れていても親子は親子だ。一度母親の為にも、宿に移ったらどうだ。」
緋月は胡蝶の顔を見れなかった。
緋月「…胡蝶。」
胡蝶「?」
緋月「俺っち、寂しいかも。」
胡蝶「…。」
緋月「ははっ。こんなこと思ったの初めてかもしれない。
緋月が顔を上げ、しっかりと胡蝶のことを見た。
緋月「俺っち、胡蝶たちと一緒にいたい。もちろんお母さんも好きだよ。でも、胡蝶たちとなら安心出来る。俺っち、宿に入りたい。」
いつの間にか、胡蝶が笑顔になっていた。
緋月はそれに驚いたのか、ポカンとしていた。
胡蝶が緋月の頭をぐしゃっと撫でた。