【69話】隠し事
*
桐崎に抑えられる小夜。桐崎は指を小夜の首から離した。
小夜「ぷはっ…。」
桐崎「この女がここに来たってことは、もうじき藤本も来るってことか。」
小夜「聖雷たちも来る。」
胡蝶「…。」
すると、影楼は桐崎兄の隙をつき、足を掴んだ。
桐崎兄「なっ…。」
足を浮かせると、強い力で脛を殴った。
桐崎兄「ぐっ!」
それを見ていた桐崎は再び小夜の首を絞めようとする。
胡蝶「小夜!」
影楼は最後の力で桐崎に突進をした。
桐崎「ぐがっ…!」
桐崎が倒れた。
小夜は影楼に駆け寄る。
小夜「影楼!」
影楼「うぅ…。」
影楼は動けなかった。
小夜「約束…破ってごめん…。」
すると、桐崎兄が小夜を蹴りあげた。
小夜が飛ばされる。
影楼「さ…よ…。」
胡蝶「小夜!!!」
桐崎兄が影楼の前で棒を振り降ろし、影楼の後頭部に直撃する。
影楼は意識を失った。
胡蝶「クソッ…影楼まで…。」
そして、桐崎兄は胡蝶の方に近づいた。
*
どこかからか声が聞こえてくる。
?「胡蝶!」
後ろを振り返ると、ニコニコしながら手を振る緋月がいた。
胡蝶「…緋月!」
緋月の頬は赤く腫れていた。
腕には複数の痣や傷。
胡蝶「どうしたの。」
緋月「なんでもないよ、平気だもん。それよりもさ、今日発売の新しいお菓子、買いに行こうよ!」
胡蝶「…緋月。」
思ったよりも大きな声が出てしまったようで、緋月は驚いていた。
緋月「…なに?」
胡蝶「緋月…辛かったら言えよ。」
俺は少し感情的になってしまっていた。
緋月「胡蝶。」
胡蝶「友達…でしょ。」
緋月は少し黙ったあと、俺の方を見た。
緋月「…僕、友達とかそういうの、胡蝶が初めてだからわかんないや。」
胡蝶「…。」
緋月「僕はね、いつもみんなに友達友達って言ってるけど…本当はわかんないんだ。本当の友達って、一体なんだろうね。」
胡蝶「…そんなの、俺もわからない。」
緋月「…そっか!」
緋月はなにかを閃いたらしい。
緋月「お互いに隠し事をつくればいいんだ。」
胡蝶「隠し事?」
緋月「そうだよ、お互いのひみつ。」
*
胡蝶「うぅ……………。」
胡蝶が目を覚ました。
辺りを見回すと、隣に影楼と小夜がいた。
胡蝶「…おい、小夜!影楼!」
2人が目を覚ました。
小夜「うん…?胡蝶…。」
影楼「いってぇ…。あれ。」
3人は、柱に縄で括り付けられていた。
影楼「クソが…。」
影楼と小夜は傷だらけになっている。
影楼「…胡蝶、小夜。おめぇら大丈夫か。」
小夜「うん…。」
胡蝶「あぁ。」
影楼「…はぁ、俺らも捕まっちまったか。」
絶望的な状況だった。
助けに来た2人と胡蝶は縄で縛られ、身動きが取れなかった。
桐崎兄「よぉ、目ェ覚ましたか。」
すると、桐崎兄が暗闇から姿を現した。
胡蝶「桐崎…。」
桐崎兄「呆気なく捕まっちまったなァ。」
影楼「てめぇ…。」
すると、桐崎兄は縛られたままの影楼を蹴った。
影楼「くっ…。」
桐崎兄「あははははは。」
3人は拘束されたまま、桐崎兄からの暴行を受ける。
影楼「うぐっ…」
胡蝶「桐崎…!暴力をふるって何になる。」
桐崎兄「さぁ、なんだろうな。ただ、再起不能にしてやらァ!!!」
小夜「やめて…。」
桐崎兄「(狂ったように笑う)」
桐崎兄が小夜の腹を蹴ろうとする。影楼が足で守ろうとする。
桐崎兄「……は?」
小夜を庇う影楼。しかし、影楼がもっとダメージを受けてしまう。
小夜「うぅ…ごめんなさい…ごめんなさい…。」
影楼の頭にバットが突きつけられる。
影楼「はぁ…はぁ…。」
桐崎兄「お前はもう終わりだ。その女を庇って死ぬんだな。」
小夜「やめて…!」
桐崎兄「影楼が死ねばお前はすぐに解放してやるよ。そこの桜って奴もな。」
胡蝶「くそ…。」
桐崎兄「それか、俺の女になるか?」
桐崎兄は小夜をからかった。
小夜は桐崎兄を睨みつけた。
桐崎兄「ははっ、冗談だよ。…影楼、死ね。」
桐崎は影楼の頭をバットで殴った。
目と耳を塞ぐ小夜。絶望する胡蝶。
すると、桐崎兄の前に人の影が現れた。
小夜「…え。」
顔を上げると立っていたのは、緋月だった。
胡蝶「緋月…。」
緋月が恐怖で震えながらも桐崎兄の前に立ちはだかる。
桐崎兄「…誰だてめぇ。」
すると、桐崎がやってくる。
桐崎「藤本…!」
緋月「やらせねぇぞ!」
桐崎は藤本に襲いかかる。
緋月は震えながらも、桐崎の前に立ちはだかった。
桐崎「藤本…!」
緋月「俺は逃げないぞ!!」
どんどん近づく桐崎。緋月は1歩も動かなかった。
胡蝶「緋月!やめておけ!」
緋月は思い切り桐崎に立ち向かった。