表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちは  作者: 猫眼鏡
65/160

【59話】聖なる夜に

檸檬「ん?」

聖雷「どうしたんだろ。」

 

 すると、ローズがひとつの箱を持ってきた。

 

ローズ「レモン、聖雷くん。メリークリスマス。」

 

 テーブルの上に箱を乗せた。

 中を開けると…

 

聖雷「ケーキ!」

 

 イチゴがたくさん乗った、クリスマスケーキが入っていた。

 

檸檬「いいんですか、理事長。」

ローズ「本当はマリーと食べようと思ったけどね、二人も一緒にどうかしら。」

聖雷「ありがとうございます!」

 

 聖雷はローズにお礼を言うと、ローズとハイタッチをした。

 

ローズ「ふふ、良かった。」

マリー「聖雷くん!」

 

 次は、マリーが聖雷の前に立った。

 

マリー「これ、プレゼント。」


 マリーは、隠していたものを聖雷の前に袋を差し出した。

 

聖雷「え。」

 

 丁寧にラッピングされた袋の中には、白猫のクッションが入っていた。

 

マリー「気に入るかなぁ。」

聖雷「マリーさん、ありがとうございます!」

 

 聖雷は、笑顔でお礼を言った。

 

マリー「良かった。」

檸檬「本当に、ありがとうな。」

マリー「うん!」

ローズ「よーし、じゃあ…飲むか!」

 

 プレゼントを渡し終えると、クリスマスパーティが始まった。

 

ローズ「(サラダを食べながら)うまい…。」

マリー「良かったねぇ、理事長の好きなものばかり出て。」

ローズ「そうね。レモン、流石。」

 

 3人はワインを、聖雷はジュースを飲みながら、料理を嗜んだ。

 ケーキを4等分に切り、それぞれが食べた。

 

檸檬「…結構大きいケーキだね。」

聖雷「こんなに大きい分け方あるかな。」

檸檬「でも、嬉しいね。」

 

 食事をしながら、マリーとローズは聖雷とも積極的に会話をした。檸檬は、聖雷の楽しそうにする姿を見て安心したようだった。

 そして、散々騒いだ後。

 

聖雷「…。」

 

 机に突っ伏すローズ。ずっと笑っているマリー。

 ずっとワインを飲む檸檬。

 

聖雷「みんな、酔っ払ってるなぁ。」

 

 料理の乗っていた皿はほぼ無くなっていた。

 

聖雷「…今日は楽しかったな。」

 

 テーブルのすぐ隣にある、少しソファで休むことにした。

 

聖雷「…。」

 

 目を瞑り、今日あった楽しかったことを思い出した。

 

聖雷「(僕は、兄ちゃんと一緒に暮らした方がいいのかな…。でもシユウと離れたくない。マーリンさんと、宿のみんなとのお別れも嫌だ。……兄ちゃんは、寂しくないのかな。)」

 

 檸檬は、聖雷と一緒に暮らしたいと思っていた。

 それは、聖雷もそうだった。

 

聖雷「(…また、兄ちゃんの家に遊びに行こう。)」


 聖雷たちは、檸檬の家でクリスマスを迎えた。

 

──────────────────────


 その頃の宿のリビング。

 

マーリン「はい。今夜は、ケーキよ。」

 

 テーブルの上にケーキを置いた。

 マーリンお手製の木の実のロールケーキ。

 

緋月「うわああぁ。美味しそう!!」

胡蝶「ふふ…頂戴する。」

 

 緋月と胡蝶はケーキを分け、食べようとした。

 

緋月「ちょっと待て、胡蝶の方がでかくないか。」

胡蝶「は?貴様が取り分けたのだろう。文句言うな。」

緋月「じゃあ、そっちは俺っちの…」


 すると、胡蝶はロールケーキにフォークを刺した。

 

胡蝶「これは俺のだ。」

緋月「…ずるい。」

 

 緋月が胡蝶のロールケーキを無理やり奪おうとする。それを阻止する胡蝶。

 

胡蝶「貴様…汚いぞ。」

緋月「うるさい!胡蝶のいやしんぼ!」

 

 喧嘩する横でニコニコしながら眺めるマーリン。

 のんびりするシユウ。

 

マーリン「ふふ、相変わらずね。」

シユウ「にゃぁ。」

 

──────────────────────


 小夜の家。

 

家政婦「お待たせしました。クリスマスケーキよ。」

 

 家政婦がクリスマスケーキを持ってきた。

 

音夢「わーい!」


 小夜の家では、音夢たちが集まって一緒にクリスマスパーティをしていた。

 

 家政婦がケーキを箱から出すと、音夢はナイフを持った。

 

音夢「音夢が切る!」

音夢母「ゆっくり切るのよ。抑えておいてあげるから。」

小夜「気をつけてね。」

 

 音夢はナイフをゆっくり降ろし、ケーキを切った。


音夢「やったぁ!切れたよ!」

家政婦「上手ね。さぁ、食べましょう。」

 

 全員で挨拶をすると、小夜は、ケーキを食べようとした。

 

音夢「お姉ちゃん!」

小夜「ん?」

 

 音夢は、小夜の目の前に小さな折り紙を差し出した。

 

音夢「お姉ちゃんに、プレゼント!」

 

 小夜は受け取って、折り紙の裏側を見た。

 そこには、音夢が書いた可愛らしいイラスト。

 

小夜「ふふ、ありがとう。」

 

 思わず笑みが零れた。

 

音夢「大好きだよ、お姉ちゃん。」

 

──────────────────────


 影楼の小屋。

 

影楼「クソッ。クリスマスクリスマスって、調子こきやがって。」

 

 部屋で1人、ベッドに寝転がっていた。

 

影楼「…。」

 

 ふと、目を窓に向けた。外には雪が降っていた。

 

影楼「雪か…。」

 

*

 

 いつかの、どこかの雪の日。

 

 「お兄ちゃん!雪だよ。」

 

 女の子は振り積もった雪を見て興奮していた。

 

 「…あぁ。そうだな。」

 

 雪を触る女の子。少し考えたあと、嬉しそうにこちらへ寄ってきた。

 

 「雪だるまつくろうよ、家族みーんなの!」

 

 「それじゃあ、4つも作らないといけないぞ。」

 

 女の子は俺の手を引っ張った。

 

 「いっしょにつくろう。お兄ちゃんも。」

 

*

 

影楼「…!?」

 

 影楼が勢いよく起き上がる。

 

影楼「夢…か。」

 

 気がつくと辺りが暗くなっていた。

 

影楼「…久しぶりに、夢を見たな。」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ