【58話】クリスマスパーティー
今日は12月24日。クリスマスイブ。
聖雷「すごいね、シユウ!雪降ってるよ。」
シユウ「にゃ。」
僕は、シユウと一緒に部屋の前窓から外を眺めていた。
外には雪。そこまで大粒ではないが、しんしんと降っていた。
聖雷「クリスマスに雪なんて初めて。」
シユウ「にゃぁ。」
すると、携帯電話が鳴った。着信だった。
聖雷「ん?」
僕は、電話に出た。
聖雷「もしもし…。」
檸檬《聖雷。僕だよ。》
聖雷「兄ちゃん!」
相手は僕の兄ちゃん。檸檬からだった。
聖雷「久しぶり。どしたの?」
檸檬《大した用じゃないんだけど…、今夜、僕のお家に来ない?》
聖雷「えっ、いいの?」
檸檬《…実は、クリスマスってことで、チキンが食べたくなったんだ。でも、買ったのが思ったよりも大きくて。聖雷も一緒に食べない?》
聖雷「うん!いく!」
僕は電話を切ると、急いでリビングへ降りた。
聖雷「マーリンさん!今日の夜、お出かけしてくるね。」
マーリンは食器を拭きながら僕の方を向いた。
マーリン「あら、わかったわ。」
聖雷「檸檬のところ行ってくる!」
マーリンさんに許可をもらうと、シユウを置いて、僕は一目散に宿を出た。
聖雷「よーし、クリスマスパーティの始まりだ!」
*
待ち合わせ場所。
良く見かけるカフェの前で聖雷は檸檬を待っていた。
檸檬「聖雷?」
聖雷「あ、兄ちゃん!」
檸檬が来ると、聖雷は元気よく駆け寄った。
聖雷「兄ちゃん!久しぶり。早くパーティしようよ。」
檸檬「そうだね。でも、少し買い物もしないといけないんだ。スーパーに行こう。」
聖雷「うん!」
二人は近くのスーパーに向かった。
スーパー。
檸檬がカゴを持って、聖雷が買うものを中に入れていく。
聖雷「何を買うの?」
檸檬「トマトと、レタス。あとは…ドレッシング好きなの選んでいいよ。」
聖雷「やったぁ。」
檸檬「チキン以外には何を食べたい?」
聖雷「うーん…、フルーツ!」
檸檬「よし、フルーツ詰め合わせを買おっか。」
二人は夜ご飯のことを話しながら買い物をしていった。
そして、檸檬の家へ向かう途中。
?「あれ、レモンくん?」
後ろから声をかけられた。二人は振り返る。
檸檬「ん?」
マリー「レモンくんだよね!」
檸檬「マリー?」
檸檬たちの前には、マリーとローズが立っていた。同じスーパーで買い物をしていたようだった。
マリー「隣は…聖雷くん?だっけ。」
聖雷「はい。(檸檬に)…兄ちゃんの職場の人だよね。」
檸檬「うん。こんな所で何してるんですか?」
ローズ「見たら分かるでしょ、買い物よ。」
ローズは、ビニール袋を持っていた。
マリー「これから、研究室でクリスマスパーティするのよ。」
檸檬「え。」
ローズ「もしかして…レモンも?」
ローズは檸檬の買い物袋を見た。
檸檬「そうだよ、弟と。」
マリー「じゃあ、丁度いいね。」
檸檬「?」
マリーは、檸檬と聖雷の間に入った。
マリー「みんなでクリスマスパーティするのよ。レモンくんの家で。」
檸檬「えぇ!?なんで。」
マリー「どうせやるつもりだったんでしょう?」
聖雷「あわわ…」
檸檬が渋々承諾する。マリーはワクワクしながらついていく。
*
檸檬の家。
マリー「お邪魔しまーす。」
マリーは遠慮なく入っていく。
聖雷「お邪魔します…。」
檸檬は台所に袋を置いた。ソファに寝転がるマリー。
ローズ「(聖雷に)レモンと二人で過ごすクリスマスを邪魔して悪かったね。」
聖雷「いえ、全然。…賑やかな方が楽しいですからね。」
ローズ「結構いい子なのね。」
檸檬「聖雷は僕に似て、いい子だか…」
マリー「レモンくーん!チキン作ってよー!」
檸檬「はいはい…。」
檸檬はご馳走を作り始めた。聖雷も手伝いに行った。ローズとマリーはソファに座り、2人を眺めながらある事を考えていた。
マリー「さっき買ったアレ、どうします?」
ローズ「ふふ、いい機会じゃない。あとであげて驚かせましょう。」
マリー「そうですね!」
*
料理を初めてから30分ほど経った。
テーブルに皿を並べる聖雷。
マリー「わーい!あと少しでできるの?」
聖雷「はい。」
マリー「もう座っていい?」
聖雷「大丈夫ですよ。」
椅子に座るマリー。
マリー「レモンくんって料理できるんだね。」
聖雷「…そうですね。意外かと思われるかもしれないですが。」
マリー「聖雷くんもできそう。」
聖雷「そんなことないですよ。」
すると、檸檬が料理を持ってやってくる。
檸檬「聖雷はいつも手伝いしてくれるからね。よく僕のことを見てくれているんだ。」
マリー「いいなー。こんな弟が欲しい。あたしの弟は可愛くないもん。」
聖雷「えへへ、ありがとうございます。」
テーブルに並べられるチキン、サラダ、メキシカンピラフ。
クリスマス風の味付けのものがどんどん並べられていく。
ローズ「おぉ、すごいね。」
ローズも椅子に座る。
マリー「聖雷くんは、レモンくんと一緒に暮らさないの?」
聖雷「あ…。」
聖雷の言葉が詰まる。
聖雷「…一緒には暮らせないんだ。」
マリー「そうなの?」
聖雷「はい。僕には、相棒の猫がいるので。」
檸檬「一緒に暮らすか考えたことはあったんだけど、聖雷の猫とお別れしないといけなくなっちゃんうんだ。」
マリー「そうなんだね。聖雷くんの生活は大丈夫なの?」
聖雷「はい!なんとか。」
ローズ「レモンから聞いたところによると、友達の宿で働きながら泊まっているらしいな。若いのに、偉いな。」
檸檬がいすにすわり、全員がテーブルの周りに揃った。
檸檬「じゃあ、食べよっか。」
4人は飲み物を乾杯をした。
マリー「理事長、そろそろ。」
ローズ「そうね。レモン、聖雷くん、ちょっと待ってね。」
すると、二人は玄関の方へ向かった。