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僕たちは  作者: 猫眼鏡
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【42話】緋月の努力と変化


 企画書提出から数週間後。

 

緋月「よし。」

 

 エプロン姿の緋月。

 

緋月「マーリンさん、よろしくお願いします!」

マーリン「ふふ、任せて。」

 

 宿のキッチン。緋月はマーリンに木の実の調理を教わろうとしていた。

 タルトをつくるには、木の実を調理するところから始めないといけない。そう考えた緋月は、マーリンに教わることにした。

 

マーリン「木の実のタルトは、ガラムの実でいいわね?」

緋月「はい!」

マーリン「ざっと教えるから、メモしていってね。1人でもつくれるように、覚えておくのよ。」

緋月「はい!」

 

 マーリンは、ガラムの実が入った入れ物を取り出した。

 

マーリン「まず、ガラムの実。中が甘くて、皮が酸っぱいのが特徴よ。だから、生地に練り込ませると甘いけど、そのまま食べたら酸味が合わさっていい味が出るの。」

緋月「へぇ。」

 

 緋月がメモをしながらマーリンの作業を見ていた。

 

マーリン「木の実のお菓子を作りたいなら、まず最初に木の実のことを知ってあげる事ね。それが大事よ。」

緋月「木の実のこと?」

マーリン「木の実の一つ一つには、味だったり色だったり、違うのよ。いかに美味しさを引き出すかが勝負だわ。」

 

 そのあとも、マーリンのいうことをすべてメモしていった。

 

聖雷「頑張ってるね。」

小夜「うん。」

 

 ドアの隙間からキッチンの中を覗く聖雷と小夜。

 

小夜「思っている以上に頑張る子なんだ。」

聖雷「だね。」

 

 二人とも、楽しそうに調理していた。

 

小夜「あれなら、大丈夫そう。」

 

 

 それから数日後。文化祭まで、1週間を切ったところだった。

 緋月は学校から帰ろうとしていた。


小夜「ひっきー。」

緋月「あ、小夜っち!」

 

 鞄を持った小夜が緋月にちかづいた。

 

小夜「最近、がんばってるみたいね。」

緋月「うん!木の実タルト、つくれるようになったよ。聖雷っちと一緒に練習した。」

小夜「もうつくれるんだ!」

緋月「うん!あとは準備だけ。これから、ガラムの実を大量収穫しにいく。」


 緋月はこの後、宿のみんなに手伝ってもらって木の実の大量収穫をするところだった。


小夜「へぇ、大変そうじゃん。…暇だから行こうか?」

緋月「まあ、連れてくつもりだけどね。」

小夜「えへへ。」

 

*

 

 

緋月「よし!やるぞ!」


 緋月の合図で、ガラムの実の収穫を始める聖雷と影楼。下で籠を構える緋月。

 小夜は新しい籠を準備していた。

 

小夜「どれくらい採るの?」

緋月「一応、この籠いっぱいまで。でも、あまり取りすぎると森の生態系が大変なことになっちゃうからね。」

小夜「タルトの量も木の実は少なめって言ってたもんね。」

緋月「うん。」

 

 木の実をとっている聖雷と影楼。

 籠を構える緋月。

 どんどん籠の中に木の実が溜まっていく。

 すると、4人のところに胡蝶がやってきた。

 

小夜「あ、胡蝶。」

胡蝶「がんばってるか。」

小夜「うん。すごくはりきってる。」

胡蝶「…緋月、変わったな。」

小夜「え。」

 

 ガラムの実をもぎ取り、上から落とす聖雷。

 緋月は必死に籠を動かしていた。

 

胡蝶「昔の緋月はビビりで、よく泣いてた。ずっと笑顔で強がって。でも、本当に強くなったんだな。」

小夜「…。」

胡蝶「一生懸命なのは変わらないけど。」

小夜「そうだね。」


 影楼が木の実をどんどん落としていく。

 籠が追いつかず、地面に落ちてしまう。

 

影楼「おい、てめぇ落としてんじゃねぇぞ。クソガキ。」

緋月「ごめんなさーい。」

影楼「チッ…今度こそはちゃんと拾えよ。」

聖雷「あはは。ひっきーがんばって。」

 

 失敗しながらも、3人は木の実を収穫していた。

 

小夜「…前よりも、明るくなったね。」

胡蝶「そうだな。」

小夜「ひっきーも、影楼も、聖雷も、胡蝶も。全員変わったね。」

胡蝶「…そうなのか?」

小夜「うん!」

胡蝶「…小夜もだな。」

 

 胡蝶は新しい籠を持って緋月の手助けをした。

 小夜も駆けつけ、みんなで収穫をはじめた。

 

 そして、いよいよ本番の時を迎えた。

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