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僕たちは  作者: 猫眼鏡
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【37話】ディスペアー・リユニオン


 桐崎という男は、小学校の頃に緋月を虐めていたグループのボスだった。

 突然の事でパニックになる緋月。

 

緋月「桐崎が初音の友達…?」

 

 すると、倉庫の扉が勢いよく閉まった。今まで隣に居たはずの初音が、扉の前で鍵をかけていた。

 

緋月「…初音?」


 緋月を無視して扉を封鎖する初音。

 

緋月「初音…!初音!なにしてるの!」

初音「…。」

緋月「初音…?なんで…鍵を閉めてるの…?ねぇ、初音。」 

 

 初音は鍵をしめ終えると、桐崎の隣に立った。

 

緋月「初音…?」

 

 緋月は初音の方に行こうとする。

 すると、緋月がある異変に気づく。

 

緋月「…!」

 

 緋月と桐崎の囲むように立つ人々。桐崎の手下のようだった。

 

緋月「…なに、これ。」

桐崎「(笑う)何って、まだわかんねぇのか?やっぱり、藤本はいつまで経ってもバカだな。」

緋月「初音!逃げよう!」


 初音は甲高い声で笑った。

 

初音「馬鹿じゃないの。」

緋月「…え。」

初音「まだ分からないの?自分が騙されてること。」

緋月「え…。」

初音「ちょっとキツかったなー。あんたの相手するの。本当は大っ嫌いなのに、恋人としていないといけないの、大変だったんだよ。」

桐崎「無理な司令をして申し訳無かったよ。だが、いい仕事をしてくれた。」

初音「本当にキツかったよ。あんな奴と手を繋ぐなんて、まじありえないって感じ〜。」

 

 絶望で、膝から崩れ落ちた。

 

緋月「……。」

初音「てかあんた、まわりちゃんと見てないでしょ。逃げられる状況じゃないってわかんないの?」

 

 周りの人々はよく見ると、とても強そうな見た目をしていた。中には、武器を持っている人もいた。

 

緋月「あぁ……。」

 

 そして、桐崎は手下たちに指示を出した。

 

桐崎「やれ。」


 10人くらいの人々が緋月に向かって歩いてくる。

 逃げようとするが、道を塞がれてしまう。

 そして、1人の男に腕を掴まれた。それを機に一斉に攻撃をはじめた。

 

緋月「痛い…やめて…!」

 

 身動きが取れなくなった緋月は、ただひたすらに耐えるしか無かった。

 

緋月「うぅ…。」

 

 涙で視界が薄れた。その中でもはっきりと見えたのは、桐崎と初音の愉しそうな顔。

 

緋月「初音…どうして…。」


*

 

 

胡蝶「すまないな、呼び出して。」

小夜「大丈夫。でも、珍しいね。胡蝶から宿に呼ぶなんて。」

 

 宿の胡蝶の部屋。二人は座って話している。

 

胡蝶「ああ、ちょっと相談がある。」

小夜「相談?」

胡蝶「…実は、最近緋月と喧嘩してしまったんだ。俺の悪い癖が出てしまったんだ。」

小夜「いつもしてるけど…。」

胡蝶「ああ、そうだな。だが、喧嘩が原因で緋月が宿を出ていってしまったんだ。」

小夜「え。」

 

 胡蝶は小夜に全てのことを話した。

 

小夜「…そんなことがあったんだ。」

胡蝶「ああ。それで、緋月の彼女の事なんだが。」

 

 胡蝶は机の引き出しから写真を取り出した。

 

胡蝶「これは、小学校の頃の写真だ。」

 

 それは、集合写真だった。

 

小夜「これはひっきーかな。」

胡蝶「ああ。怪我が酷いだろう?虐められていたからだ。」

小夜「…。」

胡蝶「緋月はいつも男子のグループからいじめを受けていた。他のクラスメイトも見ているだけだった。中には、男子のグループと一緒に緋月へのいじめを見て楽しんでいる奴らもいた。」

小夜「ひどい…。」

胡蝶「…それが、奴の彼女なんだ。」

小夜「え。」

胡蝶「昔いじめを楽しんでいた奴が緋月の彼女なんだ。しかも、緋月をいじめていたグループのボスと仲が良かった。」

 

 胡蝶は、不安そうな顔をして写真を見ていた。

 

小夜「…もし、ひっきーの彼女といじめのボスがまだつるんでいたとしたら、ひっきーはボスと接触する可能性がある。だとしたら、放っておけない。そう言いたいんでしょ?」

胡蝶「ああ。そういうことだ。」

 

 胡蝶は頭を下げた。


胡蝶「頼む。緋月を…助けてくれ。」 

 

*

 


 街の中を走る二人。走りながら、緋月のことを探していた。よく見かけるところから、緋月の家の近く、森の中など、全ての場所を探し回った。

 そして、緋月と初音を見かけた公園の前に来た。

 

胡蝶「…くっ。いないか。」

小夜「ここで見かけたの?」

胡蝶「ああ。さすがに今はいないか。」

小夜「ひっきー、どこにいるんだろう…。」

 

 すると、二人の元に聖雷と影楼がやってくる。

 

聖雷「小夜!胡蝶!」

胡蝶「聖雷?」

聖雷「シユウもいるよ。」

 

 聖雷はシユウを抱いていた。

 

小夜「万が一のことを考えて、影楼たちを呼んだの。」

胡蝶「ありがとう…。」

影楼「事情はさっき教えてもらった。あのクソガキを探すんだろ?」

聖雷「そうだね。」 


 辺りを見回す胡蝶。

 

胡蝶「ここら辺にいないということは…遠くに行っているか彼女の家にいるかだな。」

小夜「そうだとしたら…会えない…。」

聖雷「遠くだったら、すぐ帰ってくるかもね。彼女さんの家は分かるの?」

胡蝶「いや。」

聖雷「さすがに分からないか…。」

胡蝶「だが…嫌な予感がする。」


 間。

 

影楼「クソガキをいじめていたボス見てぇな奴と彼女がつるんでるんなら、ボスから情報を聞き出すのもいいんじゃねぇか?」

胡蝶「…彼女は緋月といるはずだ。もしかしたら、ボスが緋月に目をつけてるかもしれない…。」

聖雷「それなら、ボスを探してみようか。」

小夜「…そうだね。」

聖雷「そのボスって人、なんていう名前なの?」

胡蝶「…桐崎 きりさきかおる。彼女の名前は琴平初音ことだいらはつね。」


 すると、影楼の顔色が変わる。

 

影楼「桐崎…。」

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