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僕たちは  作者: 猫眼鏡
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【32話】星に願いを


小夜「よし、…できた!」

 

 リビングの壁には折り紙で作った飾りや、風船が貼られていた。

 

影楼「おれらにしては、上手くできたんじゃねぇの?」

小夜「そうかもね。」


 飾り付けが終わると、いよいよ最終確認にはいった。冷蔵庫を開ける影楼。

 

影楼「ジュースと、木の実はあるな?あとは…。」

小夜「コップもちゃんとある。パイはオーブンの中で保温してるよ。あとはロウソクだけ。」

 

 すると、玄関の扉が開く音。

 

影楼「お?誰か帰ってきたか。」

 

 すると、リビングにすぐに入ってきた。

 そこには、プレゼントを持った緋月と胡蝶の姿。

 

緋月「お待たせ。」

小夜「やっぱりね。」

影楼「…ちょっと焦ったじゃねぇかよ。」

小夜「大丈夫だよ。ひっきーだもん。」

緋月「…本当にごめん。」

 

 すると、胡蝶が緋月からプレゼントを取った。

 

胡蝶「早くしないと帰ってくるぞ。ラッピングするんだろ。」

緋月「うん…!」

 

 4人は、協力して残りの準備を行った。

 小夜がロウソクの準備をして、ラッピングをする緋月と胡蝶。影楼が玄関で見張りをしていた。

 そして、ついにその時はやってきた。

 

聖雷「ただいまー。」

 

 聖雷が帰ると、誰からも返事がなかった。

 人がいなく、静まり返るフロア。

 

聖雷「みんな遊びに行っちゃったのかな。」

シユウ「にゃー。」 

 

 シユウがリビングのドアの前に立った。

 

聖雷「そうだね。リビングでゆっくりしようか。」

 

 聖雷がリビングのドアを開けた。

 

 勢いよく飛び出すクラッカー。それと同時に、4人の明るい声。

 

「「「「聖雷、誕生日おめでとう!!!!」」」」

 

 聖雷は驚いていた。


 

*

 

聖雷「いつから準備してたの?」

マーリン「ふふ。計画してたのは、少し前よ。」

 

 聖雷たちが釣った魚や、木の実のパイを食べながら楽しくパーティをしていた。

 

聖雷「まさか、こんなサプライズがあるとは思ってなかったよ。ありがとうね。」

胡蝶「楽しんでもらえて何よりだ。」

マーリン「みんな、がんばって準備してたのよ。」

聖雷「マーリンさんもサプライズの仕掛け人だったんだね。」

小夜「どうしても、マーリンさんの力も借りたくて。」

マーリン「大したことはしてないけど。」

 

 たわいもない話をしながら、笑い合った。

 

聖雷「それにしてもこのパイ、よくできてるね。」

小夜「影楼と一緒に作ったの。レシピ見ながらだけど…。」

聖雷「すごくおいしいよ。さっき火を消したけど、ロウソクも立っててびっくりした。しかも名前入り。」

胡蝶「さすがに何十本もロウソクを立てるわけにいかないからな。」

聖雷「歳の数って大変だ。」

 

 すると、少し前から抜けていた緋月と影楼がプレゼントを持ってやってくる。

 

緋月「聖雷っち!」

 

 緋月は、プレゼントを聖雷に渡す。

 プレゼントは、綺麗にラッピングされていた。

 

影楼「おめでとう。」

 

 影楼は隠していた花束を渡した。

 

胡蝶「影楼、そんなの持ってたのか。」

聖雷「この花、森に生えてたやつだね。」

影楼「ああ、用意してた。」

 

 聖雷は嬉しそうに笑った。

 

聖雷「ひっきー、影楼くん、ありがとう。」 

 

 聖雷は小夜たちの方を向く。

 

聖雷「小夜も、胡蝶も、マーリンさんも、シユウも。」

シユウ「にゃーん。」

 

 シユウは聖雷の元に寄る。

 聖雷が包装紙を剥がし、中のプレゼントを開封した。

 

聖雷「わぁ!」

 

 緋月と胡蝶は顔を見合わせ、笑う。

 中に入っていたのは、天球儀だった。

 

聖雷「これ、ずっと欲しいって思ってたんだ。」

 

 天球儀は、地球儀のような球体に星座が書かれるもので、緋月が選んだものは少し小さめのものだった。

 

緋月「やっぱり、聖雷っちにぴったりっしょ!」

聖雷「うん!ありがとう。」

 

 聖雷は喜んだ。それを見て嬉しくなる緋月。

 天球儀を隣において、みんなで会話をしながらパーティは続いた。

 

*

 


 パーティが終わると、疲れて寝てしまった聖雷。

 緋月とマーリンと胡蝶は、後片付けをしていた。

 

マーリン「それにしても、よく天球儀を見つけたわね。」

 

 マーリンはテーブルの上を片付けていた。

 

緋月「うん。デパートで見かけて、聖雷っちにプレゼントしたいって思った!」

 

 緋月と胡蝶は壁に貼ってある飾りを剥がしながら会話をしていた。

 

マーリン「鏡で見てたけど、トラブルがあったらしいわね。」

緋月「!」

 

 緋月は苦笑いした。

 

緋月「あはは…。バレてたんですね。」

胡蝶「はぁ…。そりゃ、バレるだろう。あんだけ遅くなっておいて。」

マーリン「ふふふ、でも、無事誕生日パーティが終わって良かったわ。聖雷もすごく喜んでた。」

胡蝶「…そうだな。」

マーリン「パイも美味しかったわ。」

緋月「それは俺っちも!」

マーリン「パイのレシピ教えたのは私なんだけどね、私よりも美味く出来てたわ。」

胡蝶「それを聞いたら喜ぶだろうな。」

 

 小夜と影楼はウッドデッキでくつろいでいた。

 

マーリン「あの二人にも、お礼を言わないとね。」

緋月「そうだね。パイが無かったら食べるものが魚だけになってたし。」


 緋月と胡蝶が部屋の飾りを剥がし終わった。すると、マーリンに呼ばれる。

 

マーリン「緋月ちゃん、胡蝶。」

 

 マーリンは2人の頭を優しく撫でた。

 

緋月「うわっ!マーリンさん?(笑いながら)」

胡蝶「…!」

 

マーリン「上出来よ。さすが、緋月ちゃんと胡蝶だわ。」

 

 二人は少し恥ずかしくなった。

 

緋月「ありがとう。ちょっと照れくさいな。」

 

 3人は笑いながら残りの片付けをした。

 ウッドデッキでは、その楽しそうな声を聞いて影楼たちがくつろいでいた。

 空には、天球儀のような星座が浮かんでいた。

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