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僕たちは  作者: 猫眼鏡
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【30話】9月13日は…?


聖雷「本当にいいの?任せちゃって。」

小夜「うん。掃除とか、全部やっておくね。」

マーリン「ありがたいわ。じゃあ、行ってきます。」

聖雷「行ってきまーす!」

 

 そう言って、宿を出ていった聖雷とマーリンとシユウ。3人は池へ釣りをしに行った。

 

 宿に残された小夜と胡蝶と緋月と影楼。

 

緋月「…よし。じゃあ…始めるぞ!!」

4人「おう!」

 

 緋月の合図で各自、準備を始めた。

 今日は9月13日。聖雷の誕生日だった。この日のために、誕生日のサプライズの計画を立てていた。

 

緋月「小夜たちは掃除とパイをお願い。俺っちたちはプレゼントを買ってくるね!」


 実は、マーリンとシユウはこのサプライズのことを知っていた。マーリンには、聖雷が宿に近づかないように見張る役をやってもらっていた。

 

小夜「胡蝶、ごめんね。追加で買ってきて欲しいものがあるんだ。」

胡蝶「分かった。」

 

 聖雷たちが釣りに行っている隙に、4人がプレゼントを買いに行き、パイをつくり、部屋の装飾をすることになっていた。

 

小夜「影楼、とりあえず掃除だね。」

影楼「あぁ。掃除機かけるぞ。」

 

 小夜と影楼は掃除機をかけ始めた。

 プレゼントを買うために家を出た緋月と胡蝶。

 

──────────────────────


 その頃の聖雷たち。


聖雷「今日は魚、いっぱい食べられるね。」

マーリン「そうね。」

聖雷「でも、珍しいね。マーリンさんが宿を誰かに任せるなんて。」

マーリン「大丈夫よ。あの子たちなら。」

聖雷「そうだよね。」

 

 池に着くと、聖雷が釣りを始めた。暇そうに見ているシユウ。

 マーリンは多少、宿のことを心配していた。

 

──────────────────────


 緋月と胡蝶。二人は街のデパートに出かけていた。デパートの文房具売り場。

 

緋月「あれ、どこだったっけな。」

胡蝶「…おい、まさか、忘れたのか。」

緋月「えへへ。」

 

 聖雷にあげるプレゼントは、すぐに決まった。緋月がデパートを見ている時に、ピンと来たものだった。

 

胡蝶「全く。だから馬鹿なんだよ。」

緋月「なんだと!」

 

 二人は言い合いをしながらも目的のプレゼントの所までたどり着いた。

 

緋月「あった。」

胡蝶「これを買おうと思ってたのか。貴様にしてはいいアイデアだな。」

緋月「胡蝶にはこんなアイデア浮かばないだろうね!」

胡蝶「その頭を勉強で生かせないものか。」

緋月「うぅ…。」

 

 緋月は品物をレジに持っていった。プレゼント用に包装をしてもらった。

 

店員「こちら、品物になります。ありがとうございました。」

緋月「(受け取って)ありがとうございます〜。」

 

 無事にプレゼントを買い終え、フロアの端のスペースで休憩することにした。

 

緋月「ふぅ、疲れたね。」

胡蝶「貴様が走るからだろう。」

緋月「仕方ないじゃん、早く森を出ないと聖雷っちたちに見つかっちゃうから。」

 

 緋月は自動販売機を目にする。

 

緋月「喉乾いた。コーラ買おうかな。」

胡蝶「俺はトイレに行ってくる。確か、2階にあったはずだ。」

緋月「じゃあ、コーラ飲んだら2階に行くね。」

 

 胡蝶は2階へ降り、トイレに行った。

 緋月は自動販売機でコーラを買った。

 

──────────────────────


小夜「…よし、掃除は大丈夫だね。」

 

 リビングから、2、3階まで、床がピカピカになった。

 

影楼「良かったな、雑巾があって。」

小夜「そうだね。掃除機と雑巾だけでこんなに綺麗になるんだね。」

 

 掃除を終えると、キッチンへ向かった。マーリンにあらかじめ許可を取り、冷蔵庫の中のものも使ってパイをつくる準備を始める。

 

小夜「レシピ持ってるから、読んでいくね。えっと…」

 

 小夜が材料を読み、影楼が並べていく。

 

小夜「木の実は、昨日とったガラムの実でいいね?」

影楼「あぁ。足りるか?」

小夜「ばっちり!」

 

 こうして、二人はガラムの実のパイをつくりはじめた。

 

──────────────────────

 

胡蝶「待たせたな。」

 

 トイレを済ませた胡蝶。2階で緋月と合流する。

 

緋月「早く帰ろ。小夜っちたちが待ってる。」

胡蝶「ああ。…そうだ。小夜に買い物を頼まれたんだった。」

緋月「そんなの聞いてないよ。」

胡蝶「さっき言われたんだ。パイの上に乗せるロウソク。」

緋月「それは必要だね。行こっか。」

胡蝶「いや、先に緋月は行っててくれ。買ってからすぐ帰る。」

緋月「おっけー!」

 

 緋月は宿へ帰り、胡蝶は頼まれたロウソクを買ってから帰ることにした。

 全ての物事は順調にいっている。…はずだった。

 

──────────────────────


影楼「こんな薄さでいいか?」

小夜「大丈夫。」

 

 小夜は刻んだガラムの実を鍋に入れ、煮ていた。

 その横で生地を作る影楼。

 小夜は少し不安な顔をしていた。


小夜「…まずい。このまま20分煮るって書いてある。」

影楼「いけねぇのか?」

小夜「そのあと、生地で形を作ったりして、焼くので30分ほど。ひっきー達が帰ってきたとしても装飾に最低でも20分。1時間もかかっちゃう…。」

影楼「帰ってきちゃったらまずいな。」

小夜「釣れ具合にもよるね…。」

 

 すると、緋月が帰ってきた。

 

緋月「ただいまー。」

 

 緋月はキッチンの方に向かってくる。

 

小夜「ひっきーおかえり。プレゼント買ってきた?」

緋月「もちろん!」

影楼「何を買ったかは聞いてねぇ。早く見せろクソガキ。」

緋月「わかったよ。特別に見せてあげ…」

 

 緋月は固まった。

 

影楼「あ゛?」

 

 汗がダラダラと流れ出し、どんどんと焦り始めて行く。


小夜「ひっきー、まさか。」

 

 緋月は震えながら、口を開く。

 

緋月「… 忘 れ て き た 。」 

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