【139話】みんなで集まって
*
寮生活を始めてから1週間ほど経つと。
聖雷「…こんにちはー。」
胡蝶「いるか?」
緋月が部屋にいると、玄関から声がした。
緋月「え?聖雷っち!」
ドアから顔を覗かせたのは、聖雷と胡蝶だった。
聖雷「来ちゃった。」
緋月「来てくれたの?」
胡蝶「おう。」
聖雷「遊ぼうと思って。」
2人が部屋に入ろうとすると、緋月が気が付いた。
緋月「…?」
ドアをもう一回開けると、そこにはあの2人がいた。
小夜「…ばれちゃったか。」
緋月「小夜っち!かげろっち…!」
影楼「ははっ。2人だけかと思ったか?」
こうして。緋月の部屋にいつもの5人が集まった。
緋月「荷物、ここら辺においてね。」
4人「はーい。」
来た5人がコートやらカバンを床においた。
緋月「えっへへ。ごめんね。座布団、3枚しかないや。」
聖雷「いいよ。急に押しかけたんだし。」
小夜「わー、結構広い部屋だね。」
影楼「天井低いな。」
緋月「かげろっちがでかいんだよ。」
1つの丸いテーブルの周りに丸くなって座る5人。
胡蝶「ちょっと…。」
小夜「めっちゃ狭い…。」
影楼「押すんじゃねぇ!」
1人1人のスペースがなく、ぎゅうぎゅうだった。
緋月「あっはは。いいじゃない、冬なんだし。」
影楼「暑苦しすぎるんだよ!」
影楼が両手で軽く突き飛ばす。吹っ飛ぶ4人。
聖雷「わああ!」
緋月「あははははは。」
胡蝶「いきなり突き飛ばすな。」
影楼「しゃあねぇだろ。」
緋月「もう、かげろっちったら。」
小夜「…にしても、5人でこの部屋は狭いね。」
緋月は自分のベッドに腰掛けた。聖雷も座るように促す。
緋月「これで大丈夫でしょ?」
小夜「そうだね。」
緋月「…で、皆は何しに来たの?」
聖雷「だから、遊びに…」
小夜「マーリンさんから頼まれたの。」
緋月「え?」
小夜「簡潔に言うと、ひっきーが寮暮らししてから宿に来てないから、心配になって俺たちに見に行くように頼んだんだ。」
緋月「なるほどね。」
胡蝶「もしかしたら寂しくて死んでんじゃねぇかって言ってたぞ。」
緋月「俺っちはそう簡単に死にません。」
聖雷「ついでに、遊びたいなぁ、と。」
緋月「いいね!」
すると、聖雷がリュックからなにやらカードゲームのようなセットを取り出した。
聖雷「見て。」
トランプ、UNO、ナンジャモンジャゲームなどのカードゲームが揃っていた。
緋月「すごい!…なにこれ、カードに機械が付いてるぞ。」
聖雷「それは機械とカードで遊ぶんだ。」
胡蝶「こんなの、どこで手に入れたんだ。」
影楼「俺があげたんだよ。…結構昔に。」
緋月「かげろっち、カードゲームやるキャラだったんだ。」
影楼「〇すぞ。」
聖雷「僕が昔に影楼くんに誕生日プレゼントにもらったんだ。」
小夜「へー、色んなカードゲームができるね。」
聖雷「だから、これで今日は遊びたいんだ。」
緋月「賛成!」
5人は、しばらくカードゲームで遊ぶことにした。
*
機械《ルールを説明いたします。》
カードについていた機械で、5人は人狼ゲームを始めた。
機械《まず、1人1枚ずつ引きます。そのカードの中には、人狼、村人、占い師、騎士などの役職が決まっています。引いたカードがあなたの役職になります。》
聖雷「5人でやるから、人狼は1人、村人2人、騎士か占い師が1人ずつだよ。」
機械《役職の詳しい説明は、説明書をご覧ください。》
胡蝶「人狼は村人を毎日1人ずつ殺して全員殺すか、人狼と村人が1人ずつになったら勝ち、村人は会議で処刑する人を投票で決めて人狼を殺したら勝ち、騎士は毎晩1人の人を守ることができて、村人と一緒に生き残ったら勝ち、占い師は毎晩1人を占って正体を知ることができる。人狼か村人かしかわからないので騎士などは"村人”とでる。」
機械《このゲームは、大きく朝と昼と夜に分かれます。昼では、1日目以外の毎ターン事に人狼と思われる怪しい人を投票によってあぶり出し、処刑します。処刑された時点でそのプレイヤーは失格となります。制限時間は2分で、投票は機械で行い、一番投票が多かった人が同票にいた場合、もう一回その人たちで投票になります。しかし、2回以上同票になった場合、その日の処刑はなくなります。》
聖雷「つまり、処刑する人は必ず1人ってわけか。」
機械《夜では、騎士、人狼、占い師の順で行動できます。人狼は殺す人を1人決めます。》
胡蝶「人狼から村人の身を守れば誰も死なずに済むが、処刑されたらおしまいだ。」
機械《朝では、昨夜に殺された人の発表をします。》
小夜「ここで人狼を処刑できたと知ったら、村人の勝ちね。」
機械《村人は、占い師による占いの結果や騎士などをうまく活用して、生き残りましょう。人狼は、人狼以外を殺すか、村人を1人にすれば勝ちです。》
5人は、1枚ずつカードを引いた。
小夜「…なるほどな。」
聖雷「…う。」
胡蝶「ほう…。」
影楼「ははっ。俺様にピッタリだな。」
緋月「えー、なにこれ。」
みんなの反応はそれぞれだった。
人狼ゲームが始まった。
機械《それでは、会話を始めてください。》
昼。会話を始めた。
緋月「ねぇみんな、カードなんだった?」
影楼「…人狼ではねぇぞ。」
胡蝶「俺も、村人だ。」
小夜「…え。俺もだよ。」
緋月「ってことは、誰かが嘘ついてるね。」
聖雷「…そうだね。僕も村人だよ。」
緋月「おかしいね。村人が5人もいるよ。」
影楼「いや、俺は人狼ではないが、村人でもない。」
聖雷「じゃあ…。」
影楼「騎士だ。…占い師はいるのか?」
緋月「俺っちだよ。夜、占うね。」
小夜「…怪しくないか?」
3人「え。」
小夜「ひっきーと影楼はやけに発言が多い。いつもと違った様子に見えるぞ。」
緋月・影楼「う。」
機械のタイマーがなった。
機械《制限時間になりました。投票を始めます。》
機械のボタンを押して、5人は投票した。
機械《投票が終わりました。最も票数の多かった"カゲロウ"さんは処刑となります。》
影楼「え。」
小夜「失格。」
影楼「お前ら…。」
影楼が処刑されたことに笑う緋月。
影楼「はぁ…村人たちよ、託した。」
夜。
機械《夜になりました。騎士の方は、守るプレイヤーを選択してください。》
皆で機械を回し、特定の人が機械を操作をした。
機械《人狼の方は、殺すプレイヤーを選択してください…》
騎士、人狼、占い師の順で行動をした。
朝になった。
運命の結果。
機械《昨夜の犠牲者は…“コチョウ”さんです。》
胡蝶「…なんだと!」
小夜「あと…3人!?」
聖雷「人狼が生きてるんだ!」
緋月「おおおおおお!!!!!!!」
3人は、昼の会話始めた。
緋月「ねぇ、俺っち、占いしたんだ。」
聖雷「どうだった?」
緋月「…それがね、俺っちが占ったのは胡蝶だったんだ。村人だって。」
小夜「そうか。…無駄な使い方してしまったな。」
聖雷「そうだね。」
緋月「小夜っちも、怪しいんだよね。」
小夜「そう考えたら、ひっきーも聖雷もどっちも怪しい。」
聖雷「うぅ…信じたくないけど、ひっきーは特に怪しいかも。」
緋月「なんでさー!」
聖雷「占い師自体も。胡蝶が占い師なのかもしれない。騎士は影楼くんだとしたらの話だけど。」
緋月「でも、かげろっちみたいな人が本当のこと言えるとは思えないなぁ。」
影楼「おい。」
そしてまた、投票が始まった。
3人の投票が始まると、3人はそれぞれ別の人に投票した。
機械《3プレイヤーとも、同票でした。処刑された人はいませんでした。》
夜。
人狼、騎士、占い師は行動をした。
そして、運命の朝。
小夜「…これで、勝敗が決まる。」
緋月「ワクワクするね。」
聖雷「…うぅ、怖いよう。」
3人は息を飲んだ。
機械《朝になりました。昨晩の犠牲者は…“サヨ”さんです。》
緋月「えええええええ!!!!!!」
小夜「ってことは!!!!!」
機械《人狼プレイヤーの勝利。》
その瞬間、聖雷が立ち上がった。
聖雷「やったあああああ!!!!!!!」
4人は固まる。
聖雷「やったぁ!僕、勝ったよ!!!」
緋月「…え。」
小夜「まさか。」
人狼は、なんと、聖雷だった。
胡蝶「…聖雷だったのか。」
影楼「まじかよ。」
緋月「聖雷っちだとは思わなかった…。」
聖雷「えへへ。僕、がんばって演技した!」
嬉しそうな聖雷。意外すぎてびっくりする4人。
小夜「嘘…上手いね。」
聖雷「そうかな?でも、怖かった。」
胡蝶「…。」
なんだかんだでカードゲームに熱中して行った5人。
時間を忘れて何度も色々なゲームをした。
5人にとって、忘れられない一日となった。




