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僕たちは  作者: 猫眼鏡
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【116話】和同道へようこそ

*

 

 和同駅。

 2時間にわたる新幹線での移動もついに終わりを迎えた。

 

緋月「ぷはー!」


 久しぶりの外の空気だった。

 

小夜「ひっきー、次はバスだよ。」

緋月「また乗り物!?」

小夜「しおりに書いてあるでしょ?」

 

 生徒たちは荷物を預けてどんどんバスに乗っていく。

 

緋月「次は…博物館?」

小夜「そうだね!」

緋月「楽しみ〜。」

 

 こうして、また乗り物に乗った。

 和同道の旅はこれからだった。

 

*

 

 

 バスに乗ってから30分。

 緋月は最初の観光地に訪れた。

 

担任「それでは、12:40までにここへ集合で。」


 担任が連絡事項を話すと、1度解散になった。

 

緋月「かなり時間あるね。ゆっくり回れそう。」

小夜「そうだね。」

 

 緋月たちはいるのは、貨幣博物館と和同博物館の前だった。

 貨幣博物館は日本で作られている貨幣が展示されている博物館で、和同博物館は和同道についての展示があるようだった。

 

円香「ねぇ、緋月くんたちはどっちに行くの?」

緋月「うーん、どっちにしようかな。」

小夜「俺は和同の方へ行く。」

緋月「ほんと?俺っちは貨幣の方かなー。円香っちは?」

円香「私も貨幣博物館!一緒に行こ!」

 

 円香と緋月は貨幣博物館、小夜は和同博物館へ行くことになった。

 

小夜「……すっかり仲良くなったな。」

 

 和同博物館へ入ると、入口には大きな立て札のようなものがあった。

 

小夜「大きいな…。」

 

 受け付けの正面にあるものも展示品らしい。

 小夜は受け付けを済ませると、ワクワクとしながら中へ入った。

 

──────────────────────


 貨幣博物館。

 展示品を見て回る緋月たち。

 

緋月「わー、すっげぇ。」

円香「えへへ、緋月くん、これ何だかわかる?」

緋月「え?」

 

 円香は日本でいちばん古い貨幣を指さした。

 

緋月「えっと…。なにこれ。」

円香「分かってないなぁ。」

緋月「えへへ…。」

 

 苦笑いで誤魔化す緋月。

 

円香「本当に勉強してるの?」

緋月「してるよ…!だって、高校行きたいもん。」

円香「そっか。…あっちもいってみようか。」

 

 円香たちは仲良く展示品を見ていた。

 すると、クラスメイトの生徒たちがなにやら噂をしていた。

 

生徒1「委員長、最近明るくなったよね。」

生徒2「藤本くんといつの間にか仲良くなってるし。」

生徒3「もしかして…。」

 

 噂をしている横を気にせず通っていく2人。

 

緋月「…この本、なんて書いてあるのかわかんないや。」

 

 ガラスケースの中に入った冊子を見る緋月。

 

円香「さすがに、私でも分からないな。昔の人の言語ってもっと難しいって聞いたことある。」

緋月「そうなの?」

円香「うん。お母さんが言ってた。」

緋月「円香っちってなんでも知ってるね。すごい。」

円香「そんなことないよ。」


 2人はまた会話しながら回って行った。

 

*

 

 

 集合時刻。

 生徒たちは指定された場所にきちんと集まっていた。小夜もようやく到着した。

 

緋月「おーい、小夜っちー!」

 

 緋月に呼ばれて列に並んだ。

 

緋月「バスの並び順だよ。俺っちの横!」

小夜「ありがとう。」

緋月「和同博物館どうだった?」

小夜「なかなか面白かったぞ。そっちはどうだ。」

緋月「金がいっぱいあったよ!あのね、円香っちがすごいの!」 

 

 緋月は貨幣博物館であったことを嬉しそうに話した。小夜はそれを見て微笑んだ。

 

担任「よーし、みんないるか?それじゃあバスに乗って今日お世話になるホテルに向かうぞー!あと、バスの時間が長いからお昼ご飯を食べるように。以上!」

 

 バスに乗り込む生徒たち。

 

緋月「今日はもう観光終わりだね。」

小夜「明日があるじゃない。がんばろ?」

緋月「そうだね。」

 

──────────────────────


 聖雷の部屋。

 モニターを眺めながら緋月たちの行った貨幣博物館を見ていた。

 

聖雷「へぇ、貨幣博物館かぁ。」

胡蝶「…まだ見てるのか?」

聖雷「すごいよ、飽きない。」

胡蝶「本当にいい発明品だな。」

 

 胡蝶はお茶を注ぐと、聖雷と一緒にモニターの前に座った。

 

胡蝶「貨幣…か。」

聖雷「小夜は違う方の博物館に行ったんだ。それで、ひっきーと“まどか”って人とまわってる。」


 時々映る円香の姿。2人は仲が良さそうだった。

 

胡蝶「…緋月の奴、ガールフレンドができたのか…?」

聖雷「そうみたい。前みたいにならないといいけど。」

胡蝶「琴平の時か。」

聖雷「そうだね。…でも、悪い子では無さそう。」

 

 モニターに映る円香。円香は笑顔で緋月と歩いていた。

 

*

 

 

 バスの中で昼食を済ませ、いよいよホテルに着いた。

 かなりの敷地面積を誇る有名ホテルは、すごく綺麗な外観だった。

 

 先生が受付を済ませ、生徒たちはホテルのフロアへ向かった。

 生徒たちが泊まる部屋へ行くことになっていた。


女子生徒1「キレイな部屋!」

女子生徒2「さすがホテル。」

 

 女子4人で1部屋を使うことになった小夜。

 円香も一緒だった。

 

円香「よろしくね、乱夢ちゃん。」

小夜「よろしく。」

 

 荷物を下ろすと、すこし休憩した。

 そこで、小夜は部屋の中を見てみることになった。風呂、トイレ、寝室。なんとなく偵察していると円香に話しかけられた。

 

円香「乱夢ちゃん、何してるの?」

小夜「…?。」

円香「同じ部屋ぐるぐるまわって、面白い。」

小夜「つい、癖でな。」

 

 小夜はソファに座った。

 

円香「…ねぇ、乱夢ちゃん。」

小夜「なんだ。」

円香「このあとのディナークルーズ、誰と一緒に行動するの?」

小夜「…まぁ、ひっきーがどうせこっちに来る。流れに任せる。」


 円香は少し考えた。

 

円香「一緒に、行動しない?」

小夜「まぁ…いいが。」

円香「ありがとう。」

小夜「ひっきーも来るかもしれないな。」

円香「そうだね、一緒にいこうね!」

 

 円香はご機嫌な様子だった。

 

*

 

 

 夕方になると、ディナークルーズが始まった。

 

 緋月たちは船の中に案内された。

 そして、円型のテーブルを囲うようにして生徒が座った。

 目の前にはバイキング形式のディナーが用意されていた。

 

緋月「うわぁ!!!」

小夜「ちょっと、ひっきーまだ早いよ。」

緋月「でも、絶対あれ美味しいよ。早く食べないとみんなに食べられちゃう。」

 

 緋月が見ていたのは、大きなギョーザ。油が乗っていて、湯気がたっていた。

 

緋月「焼きたてだぁ…。」

 

 釘付けになっている緋月を無視して先生たちが食事の挨拶の音頭をとった。

 

先生「せーの、いただきます!」

生徒「「「いただきます!!!」」」 

 

 挨拶が終わると、生徒たちは一斉にバイキングへ向かった。

 

緋月「おらおらー!」

 

 一瞬でギョーザをとってきた緋月。

 呆れる小夜。

 

円香「いこっか。」

小夜「あぁ。」

 

 2人もバイキングへ向かった。

 

 戻ってくると、緋月はいつの間にかまた皿に食事が盛られていた。

 

小夜「…なに、それ。」

緋月「ハンバーグとギョーザとフライドチキン。あとポテト。」

円香「すごく、健康に悪そうね…。」

緋月「いいの!」

 

 緋月が取られないようにして手を覆っている。

 

小夜「誰も取らないよ。」

緋月「小夜っちこそ、なにそれ。」

小夜「え。」

 

 小夜の皿には、甘いものが大量に乗っかっていた。別皿にはからあげもあった。

 

小夜「だ、だって、甘いもの…好きだから…。」

緋月「やーい、小夜っちの偏食ー。」

小夜「うぅ…。」

 

 馬鹿にされるが、少しづつ食べ始める小夜。

 

円香「緋月くんのは本当に量が多いね。男らしい。」

緋月「そう?でも俺っちよりもみんなの方がいっぱい食べるよ。」

小夜「まぁ、そうだな。男にしては少ない方だ。」

緋月「小夜っちに言われたくないー。」

円香「でも、あんまり食べなくても…私、好きだよ。」

 

 冗談半分なのか、緋月が軽くからかった。

 

緋月「俺っちはご飯食べられなくてもモテるもん。」

小夜「馬鹿はモテないと思うが。」

緋月「うるさい、小夜っち。」

 

 3人の間に笑いがおこる。

 


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