【番外編】お盆休み(影楼・聖雷)
8月15日。宿のリビングにて。
聖雷「花と…差し入れと…。」
バッグの中に花束などを入れる聖雷。
聖雷「準備はおっけい?」
マーリン「えぇ。」
シユウ「にゃん!」
聖雷よマーリンは荷物を持った。
聖雷「胡蝶には伝えた?留守にするって。」
マーリン「えぇ。昨日言ったわ。」
聖雷「でも夕方から出かけるって。早く帰らないとね。」
マーリン「さ、行きましょ。」
聖雷たちは宿を出た。
*
小屋の地下室。
影楼は地下室の扉を開けて、中に入った。
影楼「…。」
明かりをつけ、石碑の前にたたずんだ。
影楼「愛…。」
影楼は石碑の前に花束を置いた。
影楼「…愛。兄ちゃんはな、友達がいっぱいできたんだ。…4人もできた。愛にも見せたかった…。」
すると、地下室の扉が開く音がした。
聖雷「失礼しまーす…。」
扉の方を見ると、聖雷たちが来ていた。
聖雷「あ、影楼くん。」
影楼「来てくれたのか、ありがとう。」
マーリン「少しでもお祈りしようと思って。」
影楼「あぁ。してやってくれ。」
聖雷たちは、石碑の前に立った。花束を置き、手を合わせてお祈りをした。
聖雷「愛ちゃんは、いま生きてたら何歳なんだろ。」
影楼「16。聖雷と同い年だ。」
聖雷「僕と…?」
影楼「生きてたら…仲良くなれたかもな。」
聖雷は愛の写真を見た。
影楼「まぁ、今言ってもなにも変わらないからな。」
マーリン「…お墓は、ここじゃないのかしら?」
影楼「あぁ。本当の墓は実家の近くにある。」
聖雷「今度、連れて行ってよ。」
影楼「え。」
聖雷「僕は行きたいな。…愛ちゃんに、挨拶したいから。」
影楼「わかった…。」
*
宿に帰ってくると、胡蝶と緋月がいた。
緋月「あ、おかえり。」
聖雷「ただいまー!ってあれ?補修は?」
緋月「休みだった。お盆だってことすっかり忘れてたよ。」
マーリン「ふふふ。やっぱり休みだったのね。」
緋月「え、わかってたの?」
影楼「お盆に学校開いてると思ってる方がバカだろ。」
影楼がやってきた。
緋月「かげろっち!?」
聖雷「連れてきたの。」
影楼「邪魔するぞ。」
聖雷「胡蝶はこれからお出かけ?」
胡蝶「あぁ。街に行ってくる。」
緋月「じゃあ、帰りにお菓子買ってきてよー。」
胡蝶「断る。」
帰ってきた3人とシユウはテーブルの周りに座った。
胡蝶「そっちは…墓参りか?」
聖雷「うん。」
影楼「あ、マーリンさん。」
すると、影楼は持っていた袋をマーリンに渡した。
マーリン「これね。手に入ったのね!」
影楼「あぁ。お盆休みで一気に在庫を処分してな。その時にもらってきた。」
聖雷「なあに?それ。」
マーリンは袋を開けた。
マーリン「ハーブよ。」
緋月「ハーブ?」
聖雷「何に使うの?」
マーリン「アロマを作るのよ。ずっとつくってみたかったのよ。何種類入っているの?」
影楼「5種類。それ以上は無理だった。」
マーリン「でも、ありがとう。」
ハーブは、5種類も入っていた。ミント、ローズマリー、レモンバーム。そして、バジルとパセリ。
聖雷「パセリとかは食べられるよね!」
緋月「僕も食べたい!」
胡蝶「単体で食べる気か?」
緋月「うまければいいの!」
胡蝶「やれやれ。」
みんなが宿に揃い、団欒を楽しんだ。
マーリンの宿は、お盆でも賑やかだった。




