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僕たちは  作者: 猫眼鏡
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【11話】小屋の散策


 森の中。

 聖雷を先頭に、影楼の家へ向かう。

 

緋月「あとどんくらいー?」

聖雷「まだまだ。影楼くんの家までは遠いんだよ。」

緋月「えー。」

 

 早くも、緋月が飽き始める。

 

胡蝶「歩くのが遅いと置いていくぞ。糞猿。」

緋月「んだと!誰が糞猿だ。」

胡蝶「誰とは言っていない。勝手に反応をしたのは貴様だろう。」

 

 睨み合う緋月と胡蝶。

 2人の間に割って入る小夜。

 

小夜「まぁまぁ。喧嘩は良くないよ。」

緋月・胡蝶「むぅ…。」

小夜「(しかし、森の中に池があるらしいな…。この森は不思議なことばかりだ。)」

聖雷「うーん。マーリンさんが言ってたけどさ、影楼くんは本当にどこにいるか分からないんだよね。」

緋月「そうなんだ。変な人。」

胡蝶「貴様ほどではないと思うが。」

緋月「なんだと!」

 

 胡蝶と緋月は睨み合ったが、その横の小夜の目を見てやめた。

 

胡蝶「影楼という人物は、どんな人なんだ。」

緋月「気になる。」

聖雷「うーん。身長が高くて、お兄ちゃんみたいな感じかな。」

緋月「すげぇ!会ってみてぇ!」

聖雷「ワルみたいな見た目ではあるけど、良い奴だよ。」

緋月「ワル?コンビニの前で屯ってるヤンキー?」

胡蝶「相当怖そうだな。」

緋月「お前が言うか?」


 4人は、雑談をしながら森の中を進んで行った。

 そしてしばらくすると池が見えてきた。

 

聖雷「着いたよ。」

 

 目の前に、濁った池があった。

 その奥に、立派な小屋。あれが影楼の家だろう。

 池と小屋の周辺は、木が全く生えてなかった。

 

緋月「おぉ!」

胡蝶「池があるな。奥にあるのは影楼の家か?」

聖雷「うん。久しぶりだなぁ…。」

小夜「(本当に池があった…。しかも、森の中なのにも関わらず、ここら辺は全く木がない。人の手で開拓されたとも考えられるな。まさか、影楼の庭か?)」

聖雷「とりあえず、影楼くんの家に入ってみよう。」

 

 小屋のドアの前に立つ4人。

 聖雷が恐る恐るドアを開ける。

 ………………………。

 ドアを開けると、中には誰もいなかった。

 

聖雷「いない…みたい。」

 

 影楼の小屋。

 中には、サバイバルに必要な武器、道具、資料がたくさんあった。

 壁には、自作であろうこの森の地図や、魚の調理法が書いたポスター、小さい女の子の写真が飾ってあった。。

 

胡蝶「サバイバル?」

聖雷「うん。影楼くんは森でずっと暮らしてるからね。僕よりも、森に詳しいんだ。」

緋月「資料がめっちゃある。漢字が多すぎて分かんね〜。」

小夜「ひっきー、それでも中学生なの?」

聖雷「仕方ないね。ここを出るしかない。影楼くんがいないんだから。」

 

 影楼の小屋を出た。

 

聖雷「うーん。」


 少し考えてから、胡蝶が喋り始めた。

 

胡蝶「小屋に影楼がいないなら、この周辺を探してみるのが妥当だ。手分けして捜索するか。」

聖雷「いいかもね。」 

緋月「バカにしてはいいアイデア。」 

小夜「ひっきー。」

 

 緋月の頭を軽く叩く小夜。

 

聖雷「じゃあ、周辺を探すために、二手に分かれよう。」

 

 4人がジャンケンをする。一発でペアが決まった。

 

聖雷「小夜と緋月、僕と胡蝶。これでいい?」

小夜「ああ。」

緋月「胡蝶と一緒じゃなくてよかった!」

胡蝶「それは俺もだ。糞猿。」

聖雷「絶対遠くに行かないでね。何かあったら言うこと。」

 

 二手に分かれて周辺を探し始めた。

 小夜と緋月は小屋の周辺、聖雷と胡蝶は池の周辺を捜索した。

 木があるところは見晴らしがいいので、森の中を探す2グループ。

 小夜と緋月のペア。散策をしながら駄弁っていた。

 

小夜「小屋の近くにはなにもないみたい。」

緋月「でもいいよなぁ。あんな立派な小屋。俺っちも欲しい。」

小夜「1人で暮らすの?」

緋月「ううん。小夜っちと一緒に暮らしたいなぁ。」

小夜「俺はやだ。」

緋月「えー。小夜っちひっどーい。」 

小夜「先いくからね。」

 

 小夜は緋月を置いて先に進む。

 あとからノロノロと緋月がついていく。

 

 

*

 

 聖雷と胡蝶のペア。

 

聖雷「やっぱり、今日は街にいるのかな。」

胡蝶「街にいるときもあるのか!?」

聖雷「まぁね。影楼くんはもともと街に住んでるから。森で一人暮らしみたいな感じかな。時々実家にも帰ってるらしい。そうなると森には来ないからな…。」

胡蝶「課題は明日までなんだぞ。」

聖雷「うーん。でも、マーリンさんに話せばなんとか許して貰えるよ。」 

 

 突然、2人の後ろから迫ってくる足音。

 聖雷が振り返る。

 

聖雷「誰?」

胡蝶「影楼か?」


 すると、小夜が後ろから走ってきた。

 

胡蝶「小夜?」

小夜「胡蝶!聖雷!」


 小夜が焦った様子で2人の前に現れる。

 

聖雷「どうしたの?あれ。ひっきーは一緒じゃないの?」

小夜「それが…いなくなっちゃったの!」

 

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