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エピローグ
私は榊原洋介。
私の初恋物語から20年の月日が流れた。あの桜並木を通るたびに、あの日のことを思い出す。私は成長し、社会人となり、結婚もした。しかし、あのとき分からなかった、『男の優しさとは何か』という答えは、いまだに見つかっていない。ただ、はっきりしているのは、父の言っていたことは正しいということだ。
『男は優しくなければならない。』
私は、この言葉を、これからも胸に刻んで生きていくつもりだ。そして、伝えていくつもりだ。
『智洋、男は優しくなければならない。特に女性には優しくしろよ。女性というものは、か弱き生き物だ。分かるか、智洋。』
私は、口癖のように、何度も繰り返し語りかけた。愛する我が息子に、、、。