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プロローグ
『洋介、男は優しくなければならない。特に女性には優しくしろよ。女性というものは、か弱き生き物だ。分かるか、洋介。』
また、この話か。父さんの口癖だ。今まで、何回聞かされたことか。女は弱いから、男は優しくするべきだと。そんなのあり得ないぜ。うちの母親や、姉貴を見て、か弱き女性なんて、全く感じない。クラスの女子だって同じこと。弱いどころか、男子をいじめることだってある。父さんは何を考えてるんだ。なんか女に対する勝手な理想像を押し付けているとしか思えない。まあ、適当に返事しておけばいいや。
『大丈夫だよ、分かってるって。』
捨て台詞のように返事をして、学校に向かって家を出た。