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4.気が付いたら十字架を背負っていた

徐々に記憶が鮮明になる。


(屋根から雪が落ちてきて・・・それが最後の記憶か享年17歳短い生涯だった。・・・という事は凍死か?)

今となっては確認する手段はない。

(とりあえず現状を確認する。)



記憶にある登場人物から考えるに乙女ゲーム“大空の縁”の世界の様だ。

今まさに糾弾イベントの真っ最中であり、俺はこの国の王子、攻略対象者のレオポルドであるということが判る。


そして、その王子たる俺を張り倒したロザリー・ベルレアン公爵令嬢、美人で成績優秀であるが性格がきつい。

幼少期、人より少し成長が遅かった俺は完璧を求めるロザリーからダメ出しされる日々を過ごした。

その為、ロザリーにはいい印象を持っていない。


そして乙女ゲームの主人公、コゼット・オーランシュ男爵令嬢。

辺境の男爵の娘で貴族の習わしとして入学したが、類稀なる美貌と性格の良さ(の様に見える)とで接近する男が増える。

その一人が俺、レオポルドであったと言う訳だ。


俺は彼女達と共に入場していた。


彼女達と言うのはコゼットの他に、彼女の義理の妹、10才のセシリア・オーランシュ男爵令嬢。

取り巻きの五人、ベルレアン公爵の子息リシャール、ビニスティ伯爵の子息セザール、ベタンクール男爵の子息フェリクスとジョエル、騎士見習いアルベール・ブノワである。


(・・・確か糾弾イベントでは攻略した相手と一緒にパーティに出られるのだったか・・・。)

記憶にある乙女ゲームの糾弾イベントは(姉がやっているのを横で見せつけられていた。)は攻略できたかの確認でもあったのだ。


てことは、この女、6又、尻軽女ビッチか!!

記憶にある、このビッチの行動を思い出す。


(フェリクスやジョエルと腕を組んでいたり、セザールと部屋から出てきたとき服が乱れていたり、リシャールと朝帰りもあったか・・・。

その時は気のせいだと思っていたが何とお目出度いんだこの頭は。)


・・・・・・・・・すこし整理しよう。


1)ビッチたちと共に入場した。

2)婚約破棄をした。

3)ロザリーに張り倒されて階段から落ちた。


公爵家に対する婚約破棄という行為は問題になるが、ロザリーの王子に対する暴力行為で相殺されるだろう。

大勢の前で婚約破棄を行った以上、破棄は避けられない。



・・・・・・・・・・



不味い!!このままだとこのビッチを娶ることになる!

ロザリーとは婚約破棄を宣言してしまったし・・・。

さてどうしたものか・・・。


かといって、オーランシュ男爵は国でも1、2を争う剣豪であり国防の要の人物である。

その令嬢をないがしろにすると別の問題が発生するだろう。


ふとビッチに目をやると、ビッチの義理の妹のセシリアが心配そうに見ている。

確か大人しい少女でいじめを受けており、これを保護することでリシャールの攻略が可能になると姉が言っていたな。

保護した後は、放置しても問題が無いから楽だとも言っていた。


可憐で大人しい娘である、いじめも好きの裏返しだった可能性もあるな。

何となく、庇護欲をくすぐられる上、何か気にかかる。



(よし!)

俺は一計を案じる。



俺の意識がはっきりしたのを見て、ロザリーが

「では、あなたはそこのコゼット・オーランシュ男爵令嬢を選ぶというのですね。」

目に涙をためながら俺に詰め寄る。

無理もない、共に入場してきたのがコゼットだから彼女を選んだと周りの人々も思っていた。


「ふん!コゼットの様な尻軽女ビッチはこちらから願い下げだ!!」



「な!」

驚き目をむくコゼット。

それと同時にかたずをのんで事の成り行きを見守っていた周囲の人々がざわめき始める。


「私が何も知らないと思っていたのか。」

毅然とした態度で俺はコゼットの悪行も糾弾する。

「フェリクスやジョエル、セザール、リシャールと関係を知らないとでも?」


「そ、それは・・・。」

言い淀むコゼット。まさか自分が糾弾されるとは思ってもいなかったようだ。

周りに当の本人がいる為、うっかりしたことも言えない。


「まあいい。それは当事者同士の問題だ。私には関係のない話だ。」

この後、彼らがどうなるか、俺の感知することではない。

なるようにしかならないだろう。

「では、一体誰を???」

俺はため息をつきながら言う

「共に入場してきた令嬢は他にもいるだろう。」


「・・・・・え?」


「私は、このセシリア・オーランシュ男爵令嬢を新たな婚約者に選ぶ。」


「「「「「ええええええええええ!!!!!!」」」」」


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