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Act9-18 素直じゃないのは誰に似た?

 突発的な零時更新です。

 では、早速どうぞ。

 アルトリアがいた。


 ギルドの前には俯いたアルトリアが立っていた。


 シリウスに言われたことがよほど堪えているのか、俯いた顔は憔悴しているようにも見える。


 それだけアルトリアがシリウスに抱く愛情が大きいという証拠なんだろう。


「シリウス」


「……わぅ」


 後ろにいるシリウスに声をかけると、シリウスはなにか言いたげではあったが、たしかに頷いてくれた。


 プーレも「シリウスちゃん」と励ましている。いや、励ましているのはプーレだけではなく、レアやサラさん、ティアリカ、そして──。


「……シリウスおねえちゃん」


「……カティ」


「がんばって」


「……わぅ」


 ──カティもまた応援してくれていた。ママたちと妹から応援されたのだから、応えないわけにはいかない。


 それでもシリウスはまだ言いたげな顔をしていたが、意を決したのか。頬を叩いて気合いを注入したようだった。


「……もうできるかい?」


「わぅ」


「パパも手伝おうか?」


「……いらない。私は子供じゃないもん」


「そうだね、お姉ちゃんだもんな」


「わぅん」


 振り返らなくてもシリウスの表情はわかる。


 その証拠にアルトリアへとひとりで向かっていく背中は、背筋がまっすぐに伸ばされていた。


 その気合いの入りようを示すかのように尻尾もまたまっすぐに天へと向かうかのように屹立していた。


 ……またひとつ大人になってくれたようで、パパとしては嬉しい反面、ちょっぴり寂しいけども。


「アルトリアさん」


 シリウスは「ママ」でも「まま上」でもなく、アルトリアを「さん」と呼んだ。アルトリアは肩をわずかに震わせた。


 でもアルトリアは立ち去るつもりはないのか、「なぁに?」とだけ言った。


「……さっきも言ったけど、私はあなたを母親だとは思えない」


「……そう」


「でもあなたが私の「まま上」であったことは変わることはないの」


「……うん」


「だから言えるようになってほしい」


「え?」


 アルトリアが顔を上げた。信じられないものを見るように、アルトリアはシリウスを見つめている。


 シリウスはシリウスで、どこか照れくさそうにしていた。


 言っていることはさっきほど辛辣ではない。けど、かなり上から目線だった。


 ……アルトリアを下に見ているわけではなく、素直になれないからこその言葉であることには間違いない。


 本当にシリウスはツンデレさんだった。


 でもそのツンデレさんなシリウスがいま素直になっている。いや、なろうとしている。


 その証拠に尻尾がゆらゆらと揺らめいていたけど心の動揺を表すかのように、ゆらゆらと力なく振られている。


「またあなたを「ママ」と言えるようになってほしい。私はひどいことを言ったけど、言うのは当然だと思ってもいる。そう思った私が間違いだったと思えるように、以前のあなたに戻ってほしい。だからそれまでは「ごめんなさい」は言わない」


 それはシリウスなりの妥協だった。


 シリウスがなんでここまでアルトリアを嫌っているのかはわからない。


 でもシリウスはアルトリアが以前のアルトリアのようになってほしいと願っていることはわかった。


 いまのアルトリアを「ママ」とは言えないというのは、紛れもなくシリウスの本心なんだろう。


 だからこそ、アルトリアの厚生を願ったんだ。


 つまり後はアルトリア次第だった。


 アルトリアがなにも変わろうとしないのであれば、シリウスは躊躇なく切り捨てるはずだ。


 シリウスなりの最後通牒であり、同時にアルトリアへの救済でもある。


 シリウスらしいことだった。


「妙なところで意地っ張りなところは誰の影響でしょうね」


 レアが深いため息を吐いていた。


 誰の影響と言いつつ、俺を見るのはやめていただきたい。


 間違っていないけどさ?


 間違ってはいませんけどね!?


「……俺のことはともかく」


「「旦那様」のことだと言ってはいないですよ?」


「……レアの意地悪」


「夜は「旦那様」の方が意地悪ではありませんか?」


 ふふふ、と艶っぽい笑みを浮かべるレアに、思わず顔が熱くなる。


 いろいろと問題はあるけど、アルトリアがどう変わっていくのかを少しの間見守っていけばいいのかもしれない。


 俺はそう思いながら、シリウスの前で涙を流すアルトリアを見つめていた。そのまっすぐな涙を信じることにした。

 突発的な零時更新お付き合いありがとうございます。

 それでは、皆さまメリークリスマス!

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