Act8-173 ただいま
本日二話目です。
戦が終わり、それぞれの部隊は各々の街へと帰って行った。
俺たちの部隊も「ベルル」の街へと帰ることになった。エルディード卿の部隊とは途中まで一緒だった。
エルディード卿の部隊はグラトニーさんの護衛を任せられたので、俺たちの部隊と一緒に行動していた。
エルディード卿の街は、首都からは遠いらしい。でも要地となっているそうだった。
つまりは要地を任せるに相応しいとグラトニーさんからの覚えがある人だからこそ、グラトニーさんの護衛を任せられたんだ。
そして首都には「ベルル」の街が一番近いということもあり、俺たちと一緒に行軍することになったということだった。
エルディード卿とは行軍中にいろいろと話をさせてもらった。
改めてククルさんとアトライトさんとのことでお礼を言われた。
結果は振るわなかったけど、精一杯やったことは認めてもらえたようだった。
その際、エルディード卿とククルさんの本当の関係も教えてもらえた。
本当のとは言っても隠し子というわけじゃない。
ふたりは正真正銘祖父と孫という関係ではある。ただし血の繋がりはないようだ。
なんでもククルさんのお母さんはエルディード卿の養子だったそうだ。
それも縁もゆかりもない相手であり、だからこそエルディード卿とククルさんには血の繋がりはないんだ。
でも血の繋がりはなくても子は子であり、孫は孫だとエルディード卿は言っていた。
そんな人の孫娘だからこそ、ククルさんもシリウスとカティを孫娘だと言ってくれているんだろうな。
そんな話をエルディード卿とは別れるまでさせてもらえた。
本来ならグラトニーさんといろいろと話すこともあっただろうけど、その当のグラトニーさんからはフラれてしまったというのも理由なんだろうね。
「……ひとりで考えたいことがあるとのことでした」
考えたいことがある。
それがアトライトさんのことなのか、それとも別のことであるのかは判断がつかなかった。
判断がつかないまま、エルディード卿の部隊とは別れて俺たちの部隊はまっすぐに「ベルル」の街へと向かった。
俺たちの部隊は基本的にはプライドさんたちが大暴れした結果、ほかの部隊とは違い犠牲はなかった。
ほかの部隊は大なり小なり犠牲が出てしまっていた。
戦に犠牲はつきものだった。
どんな名将や名軍師がいたとしても戦をする以上犠牲者が出るのは当然のことだった。
今回の戦で一番被害が多かったのはエルヴィス卿の部隊のようで、半数近くの被害があったそうだ。
まぁあくまでも被害であり、犠牲者はその半分だ。
それでも普通であれば壊走さえしてもおかしくない被害なのだけど、踏ん張って戦ったようだった。
戦下手ではあるが、闘魂はあるようだ。もっとも闘魂だけの大将なんて俺はごめんだけども。
まぁ、よそはよそ。うちはうちとも言うから、大して気にはしなかった。
亡くなった人たちにも家族はいたのだろうけど、会ったこともない相手をどうやって悼めと言うんだろう。
俺には無理だ。
ただせめてその冥福を祈ることしかできない。
エルディード卿たちと別れて一昼夜ほどで「ベルル」の街に帰りつけた。
街の前には今回の戦に出た衛兵さんたちの家族が待ってくれていた。そしてその中には──。
「わふぅ! ぱぱの匂いなの!」
シリウスと手を繋いでいたカティがいた。
その隣にはプーレとサラさんもいた。タマちゃんはいなかった。まだ体調が芳しくないのだろうね。
とにかくようやく帰って来られた。これで任務も終わりだった。
「ただいま」
ふたりの娘とふたりの嫁に声を掛けながら、俺は俺の帰る場所へと戻ってこられたんだ。
これにて第八章の本編は終了です。
次話より特別編です。




