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Act8-156 起きてしまった、悲劇……?

 頭の中が沸騰しそうでした。


 目の前には「旦那様」のお顔ががががが。


 なにをされているのかは考えるまでもなくて、でも考えているとどうにかなってしまいそうでした。


『やれやれこの程度で、このありさまとは。本当にこれだから万年生娘は』


 頭の中で駄剣がなにやら抜かしていますが、駄剣のことなどどうでもいい。


 い、いま重要なのは「旦那様」がしてくださっていることに対してですね。


『たかが接吻と抱擁ではないですか。特にこれと言って問題はないでしょう?』


『も、問題大ありに決まっているでしょう!?』


 ダメだ、この駄剣! 貞操観念がまるで存在していない! 


 あ、愛剣がこんなふしだらな存在だったなんて嘆かわしいにもほどがあります! 


 い、いったい最近の剣事情はどうなっているんでしょうか!


『いや、貞操云々ではなく、この程度のことでしたら挨拶代りのようなものではございませんか? そもそも主と「神子」様はご夫婦なのだから、この程度のことは日常茶飯事のようなもので』


『そ、そのような日常茶飯事などあるわけないでしょう!? だ、だいたい夫婦と言ってもあくまでも認めてもらっただけであって、まだ決定的なことはなにもですね。第一、こういうことはきちんと手順を踏んだうえでかつ、きちんとした場所で──』


『……拗らせた生娘はこれだから。本当にそういうところですよ? いまどきそんな古風どころか、古臭いことを言っているのは主くらいかと思いますが? だから行き遅れどころか、いい歳なのに「未開封」のままなのはそういうところが原因なんですよ? わかっていますか?』


 駄剣が上から目線で偉そうなことを言ってくれていますね。


 いや、問題なのはそういうことじゃない。そういうことじゃないのです!


 な、なんでこの駄剣はこんなにも貞操観念が狂っているのですか! 


 こ、こんなハレンチなことをなぜあたり前のように──。


『ですから、夫婦であればあたり前なんですよ。夫婦というのは公でそういうことをしています、と宣言しているような間柄のことをですね』


『そんなわけがありますか! 夫婦というのはもっとこう清く正しく美しくですね』


『昼間はそうかもしれませんね。でも夜になれば、以前の「蛇王」陛下と「神子」様のようにギシギシとですね』


『だ、黙りなさいぃぃぃ!』


 みょ、妙なことを思い出させないでください! 


 た、たしかにレア姉様と「旦那様」は以前そういうことをされていましたよ? 


 いましたけども、だからと言ってそんなことばっかりしているわけではないはずで──。


『ご自身と「蛇王」陛下を頭の中で入れ替えた妄想をしていた方がよく言うものですよ』


『ななななな、なんでそれを!?』


『おや? やはりそうでしたか。ふふふ当てずっぽうでしたが、言ってみるものですね』


『こ、この駄剣んんんんーっ!』


 い、いけません! この駄剣に好き勝手に喋らせるとあることないこと好き放題に言い募るに決まっています!


 い、いまは「旦那様」のご寵愛をいただけているのですから、下手なことを言われて、それをもし聞かれでもしたら──。


「ティアリカってそんなことを考えていたんだね? 幻滅だなぁ」


 ──まずい。まずいですよ、これは!? 


 て、手前の貞淑なイメージが臨終してしまうではないですか! そうならないためにもこの駄剣はいまのうちに叩き折って──。


『え? いまさらですよ? そうですよね、「神子」様?』


『……え?』


 時が止まりました。


 手前の時が凍りつきましたよ、いまの発言で。


 いや、待ちなさい、ティアリカ!


 いまのはこの駄剣のお得意の戯れ言に決まっています!


 いつもいつもいつも、こうして手前をからかうのです!


 ですが、いつもからかわれてばかりだと思わないことですよ、駄剣め!


 あなたの思惑などすべてお見通しで──。


『……そこで俺を出されても困るんですけど』


 ──時が再び凍りつきました。恐る恐ると「旦那様」を見やると、なぜか申し訳なさそうなお顔を。


『うそ、嘘ですよね? お願いだから嘘だと言ってください。お願いだから嘘だと言ってくださいぃぃぃーっ!』


『……ごめんなさい』


『い、いやぁぁぁぁぁーっ!』


 手前の絶叫がむなしくこだましました。

 脳内で悶々としていたことを知られたティアリカさんの明日はどっちだ?

 ちなみにこのあとちょっとこんな話もあったかも


 ティアリカ)違います、違います、違うのですぅぅぅ!(泣きわめく

 香恋)いや、別にそこまで気には(大汗

 ミドガルズ)そこまで、ということは多少は気にしているということですね?(日頃のうっ憤か徹底的な言葉攻め

 ティアリカ)いやぁぁぁぁぁぁーっ!(頭を抱える

 香恋)いや、俺は気にしていないからね!? ただカティが──あ(やらかしたと顏を青くする

 ティアリカ)カティ? カティちゃんがどうしたのですか? え、カティちゃんがどうしたというのですか!?(死んだような目で香恋に縋りつく

 ミドガルズ)ふふふふふ(とても楽しそう

 香恋)……えっとね。「ティアリカままがぱぱとレアままがギシギシしているのを羨ましそうにしていたから、ティアリカままともギシギシしてあげて」って(顔を反らす

 ティアリカ)あ、あははは(笑いながら崩れ落ちる

 ミドガルズ)ふふふ、よかったですね、主。ご息女からも神子様にお願いをしてもらえていますよ? くすくすくす(愉悦

 ティアリカ)シニタイ、シニタイ、シニタイ……(死んだような目で繰り返す


 というやりとりがあったとかなんとか

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