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Act0‐9 宴の始まりは、試練の始まり~「七王」について~

 昨日は唐突に、二本更新してしまい、申し訳ないです。

 元来いたずら好きなので、びっくりするかなぁと思ったので←笑

 そういえば、PVが300に届きそうな勢いです。

 このまま、すんなりと行ってくれればなぁ。

 今日はたぶん二本更新はしないと思います。詳しいことは、活動報告にでも。

「キーやん、大丈夫ですかね?」


 プライドさんではなく、エンヴィーさんに尋ねた。エンヴィーさんはなんともいえなさそうな顔をしている。


「ロードの字を持つ一頭ですから、死ぬことはないと思うのですが」


 自信なさそうにエンヴィーさんは言う。ロードの字を持つ。その言葉の意味がいまいちわからなかった。なので、ちょっと聞いてみることにした。


「ロードというのは、普通の魔物とは違う、特別な魔物ですね。特定の種族というわけではなく、その種族の中で特別な一頭をロードと呼んでいるのです。そしてロードはわれら「七王」の使い魔になる権利を有することになるのですよ」


「「七王」ですか?」


「ああ、そのこともまだお話していませんでしたね。「七王」というのは」


 エンヴィーさんは、まるで教鞭をとるかのように、俺にこの世界についてのことを、ラースさんが教えてくれたさわりではなく、もっと重要なことを教えてくれた。


 この世界「スカイスト」は、「聖大陸」と「魔大陸」。その間にある「群島諸国」で構成された世界だ。「聖大陸」には人間が、「魔大陸」には魔族がそれぞれ住んでいる。「群島諸国」は、半々というところらしい。ただ大陸の名に反して、「聖大陸」は荒れ果てた大地で、逆に「魔大陸」は肥沃な大地になっているそうだ。話によれば、大昔は「聖大陸」も「魔大陸」同様に緑に覆われていたそうだけど、「聖大陸」の人間は、どうにも好戦的な人種ばかりだったせいか、幾度の戦乱が起こり、その結果、死の大地とでも言うべき土地になってしまったそうだ。おかげで、「聖大陸」はほとんどの国が弱肉強食であり、よりよい土地を求めて、戦乱がいまでも絶えないそうだ。とはいえ、それは小国間のことであり、いくつかの大国は「魔大陸」ほどではないけれど、豊かな生活を送れる環境にあるということだった。


 勇ちゃんさんは、その「聖大陸」で生まれ育ち、エルヴァニアという大国の勇者としてたたえられているそうだった。


 その勇者さまが、なんで「魔大陸」にいるのかは、実に簡単で、ラースさんをはじめとした、「七王」を討伐するためだった。


「七王」とは、「魔大陸」の七つの国の王のことであり、総じて七人の魔族の王のことを指すらしい。獅子王プライド、蛇王エンヴィー、蝿王グラトニー、鬼王マモン、狼王デウス、翼王ベルフェ、そして筆頭の竜王ラース。その七人の名は代々受け継がれているそうで、いまの「七王」はこの場に全員がそろっているらしい。


 たしかにそれっぽい感じのする、まだ挨拶をしていない人たちがいた。短い角を額に生やした、北方異民族風ないでたちの、黒いつややかな毛皮のマントを着たお兄さんとか、白い翼を持った、いかにも元気っ子という感じのする金髪の女の子とか、ゴシック系のドレスを身に纏った、背丈は低いが、とんでもない胸部装甲を持った銀髪の女の子がいる。


 たぶん、お兄さんが鬼王マモンさんで、翼のある女の子が翼王ベルフェさんで、残るロリ巨乳、いや、ゴスロリさんが狼王デウスさん、なのだろう。鬼王と翼王はわかるけれど、狼王さんは、狼って感じがしない。むしろどこかの貴族かなにかかって思うような雰囲気がある。ん~、ヴァンパイアとかかな? ヴァンパイアは狼を眷属にするって話を聞いたことがあるし。まぁ、違うかもしれないけれど。


「よくわかりましたね、カレンさん。デウスは、吸血鬼です。しかも日中にも行動ができますよ」


「……吸血鬼って日中は行動できないのでは?」


「まぁ、できない吸血鬼もいるそうですが、デウスの場合は普通に日光浴しますからね。時々うちの国に来ては、海水浴を楽しんでいますし」


「……吸血鬼も海水浴するんですね」


「「最近のトレンドは、白い砂浜での日光浴じゃ」とか言っていましたね」


 いろいろとツッコミたいところはあるが、まぁ、地球の吸血鬼っていうのは、たいていはそういう伝承だったり、人伝になるうちに、変わってしまったりする場合が多いみたいだから、むしろ間違ったイメージが根強いのかもしれない。そもそも心臓に杭を打ち込まれれば、どんな生物だろうとまず死ぬだろうしな。


 しかしそんなイメージ云々よりも、デウスさんは、「のじゃロリ」なのか。「ゴスロリ」、「ロリ巨乳」と来ての「のじゃロリ」とは。いったいいくつのロリ要素を盛りこめば気が済むんだろうか。


「ちなみに見た目はああですが、年齢は私とそう変わらないですよ?」


「……エンヴィーさんって、おいくつですか?」


「私ですか? そうですね。まぁ、千年は軽く生きていますね」


「マジか」


 詳しくは聞かないけれど、っていうか、教えてくれないだろうが、それでもエンヴィーさんが千年は軽く生きているということは、デウスさんもそれくらい生きているということになる。つまり、「ロリBBA」だ。ロリ系をコンプリートする勢いだった。デウスさん、恐ろしい人だ。


「でも、意外とカレンさんとは話が合うかもですね。それにカレンさんが帰還する助力をしてくれるでしょう。私もできるかぎりのことはしますが、なにぶん値段が値段ですので」


 申し訳なさそうにエンヴィーさんは言う。でも、値段ってなんの話だろうか。そんな俺の心の声が届いたのか、エンヴィーさんは、とても言いづらそうに、しかし意を決したように口を開こうとした。そのとき。


「どうだ、カレン殿。楽しんでいるか?」


 ラースさんが勇ちゃんさんと一緒に、俺とエンヴィーさんのもとに来ていた。ラースさんは、赤ワインっぽいものが入ったグラスを手に、勇ちゃんさんは、口をもごもごと動かしている。この世界では、人間にも頬袋ってものがあるのだろうか。ハムスターの食事を見ているようだった。


「あ、はい。それなりには。エンヴィーさんにいろいろと教えてもらっている最中です」


「そうか。すまぬな、エンヴィー。本来であれば、我が教えるべきであろうに」


「いえいえ、私もカレンさんとお話ができて楽しんでいますので。なんだか、カレンさんとはいいお付き合いができそうですよ、ラースさま」


「あ、それは俺もですよ。なんだかエンヴィーさんって、理想のお姉さんって感じがしますから」


「ありがとうございます、カレンさん」


「カレンでいいですよ。本来なら、俺も様付けしないといけないはずなのに、さん付けで許してもらっていますし」


 そう、エンヴィーさんは気さくな人だけど、実際は王さまだった。本来であれば、陛下とか、様付けをしなければならない人のはずだ。その人をさん付けで呼んでいる時点で、エンヴィーさんの部下の人に見られたら、なにをされるかわかったものじゃない。そもそも「無礼者」と言われて、鞭で叩かれたとしても、文句は言えないはずだろう。なんで鞭なのかは、まぁ、なんとなく。


「いえ、そんな今日会ったばかりの方を呼び捨てにするなんて。それにカレンさんは、私の部下でもなんでもありませんので、当然ですよ」


「いや、やっぱり、なんか、こう年上の人にさん付けされるのって、違和感があるんですよ。なので、お願いします」


「は、はぁ、では、そうですね。せめて「カレンちゃん」でどうでしょうか?」


「あ、それでもいいですよ。ただ代りに俺もいままで同様にエンヴィーさんでいいですか?」


「はい、構いませんよ、カレンちゃん」


 ほんのりと頬を染めつつ、エンヴィーさんは言う。うん、素直にかわいいと思えた。年上だけど、かわいいと思った。見れば、勇ちゃんさんも、口をもごもごと動かしつつも、口元を押さえてあらぬ方向を見つめている。まぁ、それがあたり前の反応だった。が、ラースさんは相変わらず、微笑ましいものを見るかのような目しか向けていない。枯れているのだろうか。


「……なにやら、カレン殿から、あまり好ましくない視線を感じるが、まぁいい。そろそろ報酬を払うことにしよう」


「報酬ですか?」


「そなたが元の世界に帰る方法だよ。夕餉をともにすれば、教えると約束したではないか」


「ああ、そっか。なんだかいろんなことがあって」


「まぁ、無理もなかろう。世界を渡ってきたのだ。理解が追い付かぬこともあろうて。それに、これからが大変だしな、そなたは」


「え?」


 ラースさんは、気の毒そうに俺を見つめている。それはあの舞台にいたときにも浮かべていたものだった。だが、その表情はまるで伝播しているかのように、いつのまにか俺の周囲に集まっていた、大部屋にいたみなさん全員共通するものだった。えっと、これはどういうことだろか。非常に嫌な予感がする。背筋を冷たい汗が伝っていった。

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