Act8-73 愛娘からのパパ遊びに傷つく俺です。
本日十七話目です。
恋香のせいで変な空気になってしまったよ。
本当にあいつなんなの?
あいつこそ、そういうところだと思うのは俺だけですか?
……まぁ、あの脳内ピンクのことはいいや。
何度呼び掛けても、一切返事をしないからね。
ご丁寧なことに「私は現在眠っています。ご用のある方は、ピーという発信音のあとにお名前とご用件をお願いします」とかいう機械音を用意してくれていましたよ。
本当にあいつは、変なところで凝っているよね。
まぁ、そういうところは面白いよ?
でもその細やかさをもっと俺にも発揮してくれませんかね?
なんで変なことに全力なのよ、あの脳内ピンクはさ。
……そういうところも恋香らしいけどね?
本当に困った妹をもったもんだぜ。
「……あの変態チックな妹ちゃんはなんなの?」
ジズ様が非常に困惑した声を漏らされました。
ただ、それを聞かれても俺には答えようがないのですよ。
俺の別側面が意思を持った存在、なのかな?
でもそれだと俺はあれくらい変態だと言うことになる。
それだけは断じて認められん!
俺はあんな変態じゃねぇーし!
けどそれ以外でなんと説明すればいいんだろうか?
おのれ、恋香め! こんなところでも爆弾を用意してくれてやがって! 俺になんの恨みがあるんだよ!?
「あれはですね」
「パパの本性なの」
「妹ちゃんの本性?」
なんて説明しようかと考えていたら、シリウスがまさかの一言を。
えっと、シリウスちゃんや?
なぜにパパの威厳をご臨終させようとするのかな?
パパは意味がわからないんだけど?
そもそもあんな本性のパパなんて嫌でしょう?
キモいとかキショいとかウザいとか言って、パパに特大ダメージを与えるよね?
「パパはもともとキモくて、キショくて、ウザいからあんまり変わらないよ?」
……パパ、飛び降りたいの。
娘にここまで言われたら、人生からテイクオフしないとダメだよね?
ふふふ、俺はもう迷わないぜ。
「カレンちゃん。幸せにしてくれるって嘘だったの?」
あのバルコニーへと向かおうとした俺に、モーレが服の裾を掴んで止めてくれた。
そうだった。
俺はモーレをほかの嫁たち同様に幸せにするんだ。
だからまだ死ねない!
「……キリって顔をする場面が間違っている気がするの」
シリウスが呆れている。
だが些事よ!
いま大事なのはだ。シリウスのパパ遊びに耐えることなのだから!
「むぅ。パパのくせに」
ぷくっと頬膨らませて不満げなシリウス。ふふふ、そんなかわいい顔をしてもパパは動じないぜ?
あとでハグからのキス十連発だ!
「うぇ~。地獄なの」
「……地味にパパにダメージを与えようとするのはやめてくれないかい、シリウスちゃんや?」
地獄とか失礼じゃない?
いくらパパ遊びのためとはいえ、失礼じゃないかな?
でも実際には言えない俺。年頃の娘を持つパパは辛いよ。
「ふぅん。妹ちゃんの本性はああなんだぁ~? じゃあお姉ちゃんも本性を──」
「あ、そういうのはいいんで」
「お姉ちゃんに対して辛辣すぎだよ~」
ジズ様が不満げに頬を膨らます。かわいいけど、シリウスほどじゃないね。うん、というわけで問題はない!
「はぁ~。本当に親バカさんだねぇ~」
おかしそうに笑うジズ様は、言葉とは裏腹に怒ってはいないようだった。
俺もジズ様と同じくらいなストロングハートが欲しいなとつい思ってしまった。
その後、恋香のことを話している間に、すっかりと遅くなってしまったので、「清風殿」に泊まらせてもらうことになった。
「ふふふ~、寝たところを。ふふふ~」
……若干身の危険を感じることをジズ様は言っていた。
こうして「清風殿」での一夜は始まった。
続きは十七時になります。




