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Act8-59 及第点

 本日三話目です。

「ふふふ、さすがは妹ちゃんだ。いつから気付いたの?」


 拍手をしながらジズ様は、俺を見つめている。


 計られているというのがわかる。


 一見いままでどおりなのだけだ、目の奥にある光はいままでとは違って、どこか鋭い。


 もしかしたらいままでのジズ様の振る舞いは、すべてこのときのためのものなんじゃ──。


「あ、それは違うよ? お姉ちゃんが妹ちゃんにめろめろきゅんきゅんなのは本当のことです」


 ぽっと頬を染めながら、なんともうざいことを言ってくれるジズ様。


 まだほんわか美人であるジズ様だからこそ、うざいですむ。


 が俺みたいな無愛想のちんちくりんでは、きっと気持ち悪がられるだけだろうな。


「そんなことないよ! 妹ちゃんが言ってくれたら、お姉ちゃんはすぐにでも妹ちゃんをベッドまで運んじゃうよ!」


 目を血走らせながら、なんともおかしなことを言ってくれるジズ様。


 どうしてジズ様はこんなにも俺を捕食対象として見ているのだろうか。


 しかもレアを筆頭とする嫁ズとは、真逆の意味で。


 女としては魅力なんざかけらもないと思うんだけどなぁ。


「そんなことないもん! お姉ちゃんは妹ちゃんを見るだけで、動悸息切れ、はてはめまいのあげくのめろめろきゅんきゅんになっちゃうほどに、妹ちゃんが大好きなの! いまだって、はぁはぁはぁ、妹ちゃんを食べたくて仕方が──」


 背筋がぞくりと震えるようなことを言ってくれました。


 この人酔っているのかな?


「酔っている? ふふふ、ある意味ではそうだね。お姉ちゃんは妹ちゃんという極上の美酒に──」


「あ、そういうのはいいんで」


 話が進まないので、ジズ様の暴走はここらへんでやめてもらおう。


 ジズ様は「妹ちゃんのイケず」と言って唇を尖らせているけど、あえて無視です。相手をしていたら身が持たない。


「とにかくです。俺がおかしいなと思ったのは、ある意味では最初からですよ」


「本当に連れないなぁ。まぁ、いいか。で、最初からというのは?」


「「雫石」の採取は難しいと最初に言われたのに、アホエルフとのやり取りが終わったら、手のひらを返すように取ってこいと言われたあたりから、おかしいとは思っていました。まぁ、そこまでは矛盾しているなぁとしか思っていませんでしたが、本格的に違和感を覚えたのは、やはり数時間も登っていたのに、雲の高さにまで届いていなかったことです」


「ふぅん? 少し遅いんだね?」


「それまで必死に登っていましたからね。でも登りながらも違和感はありましたよ。後だしみたいでなんですが」


「ううん。それは問題じゃないから」


「そうですか」


「で、そこからヒントに気付いていまに至ります。さすがに満点とは言えないと思いますが、及第点くらいはもらえるかなと期待しているんですけど」


「そうだね。満点はすぐに気づくことだから、妹ちゃんの場合は及第点かな? でもちゃんと考えていたみたいだから、少しおまけはできるね」


「そうですか」


 シスコンではあるけど、それ以上にこの人は神獣様だった。それがよくわかる採点だった。


「それじゃあ、「雫石」の話をしようか」


 ジズ様が指を鳴らすと景色が一変した。


 そこは見覚えのある空間だった。


 ジズ様と会ってから真っ先に連れてこられた場所、「清風殿」の玉座の間だった。

 続きは三時になります。

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