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Act8-58 解説

 更新祭りの本当の敵は、更新作業です←

 本日二話目です。

「ジズ様。どうして」


 ティアリカは目を見開いていた。


 まぁ、「世界樹」の幹から、いままで登っていたはずの幹からいきなりジズ様が現れたんだ。驚くのも当然だよね。


「どうして。どうしてね。うん、それは妹ちゃんに聞いた方が早いかもだね。妹ちゃん。どうして私は「世界樹」の幹から出てきたのだと思う?」


 ニコニコと笑いながらジズ様が言う。どうして、か。


 確証はない。が、仮説ならあるんだよなぁ。


 というか、数時間登っても雲に達していないことと止まっていた俺と登り続けていたはずのティアリカの距離が最初と変わっていないというのが答えのように思えるよ。


「そもそも俺とティアリカは途中から「世界樹」を登っていなかったんだと思います」


「登っていなかった?」


 オウム返しをするティアリカ。これも無理はないと思うよ。登っていたはずなのに、それが登っていなかったなんて言われたら、誰だって理解できないのも無理はない。


 でもいまになって思うと、最初からヒントを出されていたんだろうね。それもとびっきりのヒントがさ。


「ヒント?」


「ふぅん? なにがヒントだと思うの?」


「命綱なしで「世界樹」を登れってあたりからですね」


「それがなんでヒントになるの?」


 ジズ様は笑っている。笑ってはいるが否定をしていない。


 それ自体がもう答えと言ってもいいとは思うんだけど、どうやら俺に言わせたいようだね、ジズ様は。


 ド級のシスコンと思えば、とんでもないスパルタですね。


 あれかな、かわいい子には旅をさせよってことか? どちらにしろジズ様らしいなと思えてしまう。


「「雫石」は特産品なんですよね?」


「うん。そうだよ」


「その特産品は「世界樹」の頂上にある。でもその頂上に至るまでの道のりがあまりにもハードすぎる。命綱もなしに雲よりも高い「世界樹」の頂上まで登れというのは、あきらかにおかしいです。遠まわしに死ねと言っているようなもの。でもジズ様はこれを試練と言った。俺は最初ふたりで協力して登っていくことが試練なんだと思いました。いや、普通はそう思うんでしょうね。でも試練にしては少しやりすぎだと思うんです。いくら神獣様の試練とはいえ、遠まわしに死を強要されるような試練なんて与えるのかなと。仮に与えた場合、それはもう神獣というよりも」


「邪神のようだ、かな?」


「……はっきりと言えば、です」


 この世界に邪神なんて存在がいるかどうかまでは知らないけれど、そんな死を強要させる試練を与えるのは邪神とかそういう類だろう。


 でもジズ様は邪神ではなく神獣だし、そもそもジズ様のご性格とこの試練はあまりにも乖離しすぎている。ジズ様が死の試練を与えるなんて、いまいち頷けない。あるとすれば、それは──。


「死の試練と思わせて、実際はこっちを使った試練だということかな、と思います」


 自分の頭を指差すとジズ様が楽しそうに笑った。どうやらまだ正解とは言えないようだ。


「数時間俺たちは登りつづけました。でもその割には全然進んでいなかった。数時間も進めば、雲の上に出なかったとしても、雲が近づいてくると思う。でもティアリカが言うにはそんな様子は一切なかった。雲よりも高い「世界樹」だとしてもそれはさすがにありえない。そう思ったからこそ、俺は周囲の様子を見ることにしましった」


「周囲を見る、ですか?」


「うん。目印として太陽の位置と「グラトニー」の位置を憶えたんだ。ちゃんと進んでいるのであれば、変化はあるだろうなと思ったんだ。でもそれを確かめるまえに、ティアリカが教えてくれたんだよ」


「手前がです?」


「うん。俺とティアリカの距離が広がっていないって言っていたじゃん? 俺あれを聞いたとき、数十秒くらい、もしかしたら一分くらいは止まっていたんだよ。ティアリカならそれだけあれば、数メートルくらいは離せるだろう? それが最初から変わっていないと言った。さすがにそれはありえない。であれば、俺とティアリカは途中から一切進んでいなかった。いや、途中から気づかないうちに移動させられていたんだと思う。ここに。「世界樹」の頂上であるここにさ」


「ここが頂上?」


 ティアリカはまた目を見開いて驚いていた。


 まぁ、見渡す限り空中にいるんだから、ここが頂上と言われても納得はしないよね。


 でもジズ様がいきなり出てきたことでわかったんだ。


「試練を出した本人がいるところなんて、スタート地点かゴールしかない。でもスタート地点であれば、モーレたちがいるはず。でもここにはモーレたちはいない。となれば、ここがゴールって考えるのが妥当だよ。まぁ、モーレたちがあえて席を外しているってこともあるから、確証はないけどね」


 これでどうだろうとジズ様を見やると、ジズ様は静かに拍手をしていた。


 どうやらいまの説明で正解のようだ。


 となれば、次はだ。どうしてこんな面倒くさいことをしてくれたのか。


 その理由を聞くとしますかね。さて、どういうことなんだか。

 続きは二時になります。

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