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Act8-50 ○○○たん

 本日六話目です。

 アイリスと俺が宣戦布告を交わしていると──。


「ふははは、どうだ神獣よ! 我が配下の力は恐ろしいであろう? 素晴らしいであろう!」


 ──件のアホエルフが背中を仰け反らせて高笑いをしていた。


「……存在を忘れていたよ」


 そういえばあいつがいたんだっけ。アイリスに集中していて、存在を忘れそうになっていた。


「さすがにそれはないと思うよ、カレンちゃん」


「わぅ。パパ酷いの」


 シリウスとモーレが非難じみたまなざしを向けてくる。


 いや、だってさ、あいつアイリスよりも格落ちだし、アイリスの方が総大将って感じがするんだもん。


 やったことは忘れないけど、事が終わったら存在事態を忘れそうなタイプなんだもん。


「……否定できないのがなんとも言えないわね」


「妹ちゃんって的を射ているよねぇ~」


 サラ様とジズ様も同意見のようだ。


 うん、やっぱりアレはどう見ても事が終わったら存在さえも忘れられるタイプだよね。


 ラスボスの城で量産型になる中ボスよりも哀れな存在としか俺には思えない。


「……言っている意味はわかりかねますが、ニュアンスはだいたい伝わってきます」


 ティアリカにとっては馴染みが薄いことだろうけど、ニュアンスは理解してくれたようだ。


 さっきも言ったけど、雰囲気というか風格がアイリスとは段違いだからね。それもはるかに劣る意味で。


 弱くてもせめて風格があれば、印象には残るんだけどなぁ。


 そもそも名前さえ知らんし。クルスさんも役職名は言っていたけど、名前は言っていなかったし。


 ……もしかしてクルスさん、あいつの名前忘れているとか?


 いやいや、まさかそんな、ねぇ?


「理解したのであれば、我アトライト・ホリネウス・エーデルバイト・ルーカス・プリズム三世に降るがいい!」


 ……うん?


「……えっといまあいつなんて?」


 なんかえらく長いというか、頭文字を取って、ちょいと弄ったら「アホエルフ」となるような名前を言ったような?


 いやいやいや、まさかね?


 そんなわけが──。


「聞こえんのか! 我 アトライト・ホリネウス・エーデルバイト・ルーカス・プリズム三世に降れと言ったのだ!」


 ……聞き間違えじゃなかったぜ。本名からして「アホエルフ」だったのね、あいつ。


 そうか、アホエルフと俺が呼んだときにクルスさんが納得したのはそういうことだったのか。


 名実ともにアホエルフであれば納得するのも当然か。


「略したらアホエルフか」


「き、貴様ぁ! ククルたんのようなことを言うんじゃない!」


 ジズ様がぽつりと呟いたことにアホエルフは過敏に反応した。


 でも過敏に反応した反応することはいいんだ。


 たぶん子供の頃から言われていそうだし。


 問題なのはだ。あいつが口にした名前だった。


「ククルたん」とあいつは言っていた。そう、「ククルたん」と。


 ククルという名前は、そこまでありふれてはいないだろうけど、=あの人というわけではないはずだ。


 なのだけど、「アホエルフ」と呼ぶ「ククルたん」となるとどうしてもあの人を思い浮かべてしまう。


 人を甚振るのが大好きなお方ですから。


 とはいえ聞くわけにはいかないし、というかどう聞けばいいのかと──。


「わぅ。ククルたんって、ハーフフッドとのハーフのエルフさんで「ベルル」の街の領主の娘さんの?」


 ──どうしたものかと悩んでいたら、シリウスが率先して聞いてくれました。その瞬間アホエルフの目がきらりと輝いた。


「そ、そなたククルたんを知っているのか!? 声しか聞こえぬが、なかなか見どころがありそうな少女よな!」


 アホエルフの反応からして、どうやら俺たちが知っているククルさんと同一人物のようだよ。


 しかしどういう関係で──。


「わぅ、私のばぁばなの!」


 ──シリウスが元気よく事実を口にした瞬間、アホエルフから表情か消えた。そして──。


「ば、ばぁば? ばぁばということは」


「わぅ。おばあちゃんということなの」


「おば、おば、おば、おばぁぁぁぁーっ!!?」


「へ、陛下、お気をたしかにぃぃぃーっ!」


 ──アホエルフは泡を吐きながら気絶してしまった。


 その反応でなんとなくの関係がわかってしまった。


「片想いかぁ」


 あの人に片想いとか、相当の変わり者だなぁとしみじみと思いながら、気絶してしまったアホエルフを眺めていた。

 まさかのアホエルフとの繋がりでした。

 続きは十二時になります。

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