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Act8-23 プレゼントは?

 母の日のための料理とケーキについては、ある意味では問題がなくなった。


 けれど別の問題が、そう、あのいけ好かない女さんがなぜか参加するということになってしまった。


 ……本当になんなん? あのいけ好かない女さんは俺にどれほど喧嘩を売りたいん?


 いいよ、やってやろうじゃないか、と言いたいけれど、下手なことを言うと、カティからの「ぱぱなんてきらい」を言われかねないというね。


 ……俺がなにをしたのよ? ねぇ、本当に俺がなにをしたって言うのさ。マジ意味わからん。


 でもそんなことを言っても、カティはきっと話を聞いてはくれないだろうからなぁ。


 そういうところもパパは、とても愛らしいと思うわけで──。


「……つまり私はもう愛らしくないということだよね? 大っ嫌いなパパ」


 ──待って? 


 なんで? 


 なんでそうなるの?


 「大好きなパパ」と言ってくれることは嬉しいんだけど、誰もシリウスが愛らしくないなんてことは言っていないんだよ? 


 というか、これはこの前の繰り返しになっちゃうよ? 


 きっとこのあとはカティも参戦するに違いないし!


「わ、わふぅ? カティ、なにをいわれているのか、わからないの」


 目を逸らしながら、吹けていない口笛を鳴らすカティは、とてもかわいらしい。


 だけどね? それはもう認めたようなものなんだよ、カティ?


 ティアリカままのお胸に顔を埋めてもパパの目をごまかせるとは思わないことだよ?


「わ、わふぅ。ぱぱ、えっちなの! ティアリカままのおむねをじっとみつめちゃダメなの! ティアリカままのおむねは、カティのなの!」


「か、カティちゃん!?」


 ティアリカさんが慌てている。うん、シリウスの影響かな? カティもお胸が好きなんだね。


 ……なんでよりにもよっての部位が好きなんだろうね、カティもシリウスもさ。パパには理解できません。


「……パパだってお胸が大好きなくせに」


 ぼそりとシリウスが呟いてくれる。


 ちょっと待とうか? 


 なんでそうなるの? 


 カティならまだわかるよ? 


 でもシリウスは誰よりも大好きなパパと一緒だったんだから、パパのお胸嫌いは知っているでしょう!?


「だから言っているの。私もカティもパパの影響を受けて、お胸が好きなんだもん!」


「だもん!」


 えっへんと胸を張る愛娘ズ。


 言っていることは意味がわからないけれど、そういうところもパパには堪らなくかわいいっす。


 とはいえ、だ。


 ここまで風評被害が広まっているのは、さすがに勘弁願いたい。


 俺のどこが胸好きだというのか。


 そこんところをカティやシリウスとは少しお話をしないといけないかな?


「お話もなにもないの! パパ=お胸が大好きなのは、ママたちも公認! パパもさっさと認めるの!」


「めるの!」


 再び胸を張るシリウス&カティ。しかしシリウスの言葉を繰り返すカティが、無性にかわいいね。


 あ、もちろんシリウスもかわいいよ? 


 というかうちの愛娘ズは世界一かわいい子たちだよ! 


 そしてかわいい愛娘たちに愛されている俺。


 まぁ、無理もないよね。だって俺は愛娘ズの「大好きなパパ」だもん!


「……私大好きなんて思ったことないよ?」


「わふぅ? なんで? シリウスおねえちゃん、ねているときに「パパ、だいすき」って──」


「か、カティ!」


 シリウスがカティの口を慌てて塞ぐも、たしかに聞いたぜ。


 ふふふ、やっぱりシリウスはツンデレよな。


 そんなにもパパが大好きなのか。


 まったく困ったものだぜ。


 だけど、そういうところもパパには愛らしいぜ。


「う、うぅ~。違うもん。パパなんて嫌いだもん! ほ、本当だもん!」


 耳まで真っ赤にしながら叫ぶシリウス。


 ああ、愛らしい。


 恥ずかしがるシリウスを見るだけでご飯が食べられます。


 むしろ愛娘の恥ずかしがる姿を見て、ご飯を食べられない父親など存在しない!


「……相変わらず大将の親バカっぷりは凄まじいですね」


「ええ、さすがの主様です」


 ティアリカさんがドン引きしている。対してエレーンは褒めてくれているのか、貶しているのかわからないことを言ってくれていた。


「一応は褒め言葉ですよ? 一応は」


「……一応はいらなくね? そして二度言うなし」


「大事なことなので二度言わせていただきました」


「……さいですか」


 エレーンの言葉にがくりと肩を落とした。


「それよりも料理については問題ないとして、贈り物はいかがなさいますか?」


「あー、それか。どうしようか。どうせなら珍しいものを贈りたいんだけど」


「珍しいもの、ですか」


 ティアリカさんはカティを抱っこしたまま、考え込んでいる。


 考え込むほどにかなり大変なことだった。


 なにせ相手には王様であるレアもいるんだ。


 レアも知らないような、もしくはなかなか手に入らないような珍しいものなんて、そうそうあるわけがない。


 それでもサプライズのためには珍しいなにかをプレゼントしたいのが人情というものだろうね。


「……でしたら、「雫石」などどうでしょうか?」


「「雫石」?」


 エレーンが初めて聞くアイテムを口にしたんだ。

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