Act8-19 もうひとりの変態←
サブタイがひどいですが、まぁ、そういうことです←笑
「う~ん」
昼休みが終わり、再び詰め所に戻ってきたのだけど、正直仕事どころではなくなっていた。
なにせお嫁様方から「態度で反省を示せ」と言われてしまっているんだ。言葉での反省なんて聞きあきたと言われたようなものだ。
言われた当初はどうすればいいのかわからなかっただけだった。
でも時間が経ってから、改めて考えてみるとあれって最後通告じゃね?と思い至ったんだ。
だってさ、反省していると言えば、大抵は許してもらえるだろうに、それを態度で示せということはさ、見捨てられる一歩手前だと思うんだよね。
逆に言えばそれほどにうちのお嫁様方の怒りは深いということだ。
それに気づいてからは、仕事なんてしていられる余裕はなくなってしまったよ。
仕事よりもどうやってお嫁様方を納得してもらえるのかを考えるのが重要だった。
「わぅ、パパってば本当に仕方がないの」
俺と組んで見回りを担当しているシリウスが呆れていた。
いつも呆れられているけど、今日はいつも以上に呆れられているようだ。パパ泣いていいですか?
「ダメ。キモい」
……泣いたらキモいと言われるのは初めてだね。
なんか最近パパへの当たりが強くないですか、シリウスちゃんや?
これもお得意のツンデレかな?
「じゃあ、キショい」
……キモいよりもダメージがデカい言葉ってあったんだね。
パパ、首をくくりたいよ。
「……本当にパパはどうしようもないの」
やれやれと肩を竦めるシリウス。でもその顔はとても自慢気ですね。
よく見ると「パパは私がいないとなにもできないんだから」と書いてあるようだ。
そういう自意識過剰なところもかわいいよ!と言うとまたキモいとか言われそうなのであえて黙っておこう。
うん。過度なスキンシップは好感度が下がるだけである。
これ以上の罵声を浴びせられて、ルルドのように新しい扉を開けたくはないのです。
……ルルドのお父さん、本当にごめんなさい。息子さんに嫁が来なかったら諦めてください。
「どうしたの、パパ?」
「どうやらまたご自分の世界に飛び込んでいるようですね」
「あー、またなの?」
「そうですね。まぁ主様らしいですが」
「わぅ。たしかにパパらしいの」
しみじみとシリウスとエレーンが頷き合って──ってちょっと待て!
「なんでエレーンがいるの!?」
うちのギルドで留守番をしてもらっていたはずだったのに、なんでエレーンがここにいるんだよ!?
「それはストーキ、けぶんげふん、あいのちからです!」
「おい、待て。ストーキってなんだよ? ストーキってなんだよ!?」
そのあとに続く言葉なんて、ングしか思いつかないんですけど!?
合わせてストーキングとしか思えないんですけど!?
この変態天使、また俺の影の中に入って俺をストーキングしていたの!?
「てへぺろ」
「かわいくないからな!?」
言葉だけじゃなく本当に「てへぺろ」したぞ、この天使!
この天使さん、本当になにを考えているんですかね!?
「まぁまぁ、短気は損気ですよ、主様」
「おまえが短気にさせているんだよ!?」
「おや、そうですか?」
「……本当にこの天使様はよぉ」
もう頭が痛いよ。誰のせいなのかは言うまでもありませんけどね!?
「それよりもパパ。エレーンママに相談するべきだと思うの」
「相談?」
「わぅ。どうせパパひとりじゃ決められないの。ならレアママたちと同じお嫁さんであるエレーンママの意見を参考にするべきだと思うの」
「む」
たしかに一理ある。餅は餅屋というし、嫁ズのことは同じ嫁であるエレーンに相談するのが一番なのかもしれない。
でもエレーンに相談して、まともな内容が返ってくるのかな?
「む。失礼なことを考えておりますね、主様。このエレーンは、真面目なときは真面目ですよ?」
「……逆に言えば、真面目じゃないときはふざけると?」
「……」
エレーンはなにも言わずに口笛を吹いた。不安だ。めっちゃ不安だ。それでも自分で思いつかない以上、エレーンに頼るしかなかった。
「……まともな回答をしてね?」
「心得ました。大船に乗ったつもりで安心してくださいませ!」
胸を張って、自信満々なエレーン。そんなエレーンとは対称的に俺は不安で仕方がない。エレーンは大船とは言うけど、俺には折り紙の船に乗せられたような危機感しかない。
でもいまはエレーンを信じるしかなかった。
そこはかとない不安を抱きながら、エレーンとシリウスと一緒になって、「ベルル」の街の見回りを再開した。
久々のエレーン登場です。
ティアリカさんの勢いに勝てるかな?←ヲイ




