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Act7-ex-1 ゴレムスとドラームス その一

 本日七話目です。

 今回より特別編となります。七章の特別編は「蠅の王国」へ転移するまでの間の話となります。

 緑豊かだった「禁足地」は見るも無残な姿に変わり果ててしまった。


 とはいえ、すべてが荒れ果てたわけじゃない。全体から見れば一部だけだ。


 でもその一部だけでも、十分すぎるほどに無惨と言える姿になっていた。


 カオスグールを倒した余波によって、いくつもの大木が折れていた。


 その大木を住処にしていた鳥たちの死骸が地面に散乱している。


 中には産まれたばかりのひな鳥の死骸もある。


 産毛すらまだ生えていない、本当に産まれたばかりの命さえも散ってしまっていた。


 その大木が倒れた影響か、地衣がめくれ上がり、その下の土肌さえも露出していた。そ


 れだけであれば、埋めればいいんだけど、カオスグールの影響なのか、土肌の色はどす黒く変色している。ただ埋めるだけでは決して元通りにはなりそうにはない。


 なによりもカオスグールが出てきたことで、地面は大きく割れてしまい、突如としてできた小さな谷のようになっている。


 その谷の底は見えない。深すぎて見えないわけではなく、液体状になったカオスグールの体によって変色してしまい、見通すことができなくなってしまっていた。


 これもやはり埋め立てた程度では元に戻すことはできそうにない。


 ここの惨状はあくまでも「禁足地」内の一部にしかすぎない。


 でも元の姿を知っているだけに、この姿は胸にくるものがある。そしてそれは──。


「うぉーん!」


「禁足地」の管理人であるゴレムスさんがもっとも思っていることだろうね。その証拠にゴレムスさんはさっきから何度も泣いていた。


 一部とはいえ、緑豊かだった「禁足地」が見るも無残な姿に変わり果てたことに胸を痛めているようだ。


 破壊された自然に、失われてしまった命に、ゴレムスさんの目からは涙がこぼれ落ちていく。


「あんまりだよ。なんでこんなことになってしまっただよ」


 しゃくり上げながら、ゴレムスさんは泣いている。そんなゴレムスさんの姿に俺たちは誰も声を掛けてあげることはできなかった。


「……はぁ、おまえは本当に変わらん」


 ただひとりを除いては。そう、ゴレムスさんと同じ「禁足地」の、廃棄場の管理人だったドラームスさん以外は、誰もなにも言えなかった。


 しかしドラームスさんは泣きじゃくるゴレムスさんを見て、ため息を吐いていた。そんなドラームスさんにゴレムスさんを叫んだ。


「こんな惨状を見て、笑っていられるわけがねえ! ドラ姉にはオラの気持ちにはわからねえだよ!」


「……では、おまえは廃棄場に数千年も閉じ込められ、その廃棄場すべてを失った我の気持ちがわかるか?」


 ゴレムスさんは普段のゴレムスさんらしくないことを言っていた。


 それはドラームスさんも同じだった。


 売り言葉に買い言葉という具合に、言い合っても仕方がないことを言い合っていたんだ。


「わからねえだよ! だってオラは」


「そうだな。おまえは廃棄場には来たことがない。だからわかるわけがない。そしてそれは我も同じだ。この数千年の間におまえがなしてきたことを我は知らぬ。お互いにお互いが知らぬ時間を過ごしてきたのだ。……言い合っても埋めることはできん。だが、泣いたところで意味はなかろう? もっと前を向け、ゴレムス。いくらおまえも女であっても、さすがに女々しすぎる」


「女だから、仕方ねえべさ!」


「普段は女っ気の欠片もないくせに、こういうときには言うのは卑怯だと思うがな」


「なんだっぺ、やるんか、ドラ姉!?」


「それを落ち着けと言っている!」


 ゴレムスさんとドラームスさんの言い合いは平行線を辿ってばかりだった。


 が、それよりも聞き捨てならないことをお互いに言い合っている。その始まりは、数分前のことだった。

 続きは七時になります。

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