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Act7-75 強いからこそ弱い

 宣言通りに十六時更新できました。

 ……まぁ、あたり前のことではあるんですが←汗

 母神様が私に頼まれたこと。それは「旦那様」の中の封じられた力を解放するための手助けでした。


 具体的に言えば、「旦那様」の前で私が母神様の手でぼこぼこにされるというものでした。


 ……頼まれた当初は、なにを言っているんだろう、この人はと思いましたけどね。


 だって初対面の相手に「とりあえずあなたをボコボコにして、香恋の力を引き出すからお手伝いお願いするね」とか笑顔で言われたら、誰だってこの人正気かと思うでしょうし。


 そもそも実の娘の首を本気で絞める母親がどこにいるんだと思うわけですよぉ~。


 まぁ、実際にいたというか、目の前でその光景が行われていたわけなんですけどねぇ~。


 けれどそれも母神様曰く「愛の鞭」なんだそうですよぉ~?


『あの子は強いけれど弱いのよ。日常生活であればそれもいいでしょう。強さと弱さを同時に抱えるのが人という生き物だもの。むしろ強さと弱さは同じものだもの。一つの側面から見れば強さであっても、また別の側面から見れば弱さになる。強さと弱さは同じもの。それはどこの世界だろうと、どこの世界の誰であろうとも変わることはないの。強さと弱さは=で結ばれるものだから』


 母神様が言われたことは事実でした。強さと弱さは決して対極ではないのです。


 表と裏という意味合いであれば、対極と言っていいのかもしれませんけどね。


 でも強さと弱さは同じものだと思うのです。これは私が竜族であるからこそわかることなんですけどねぇ。


 竜族は最強の種族です。でも同時に種族としては弱いのです。


 力という意味ではなく、繁栄させていくという意味合いにおいて竜族は弱いのです。


 強いからこそその強さにあぐらを掻き、上昇志向がなくなってしまう。


 それは同時に種としての繁栄を目指さなくなるということでもあるのです。


 力という意味合いにおいて敵はいません。


 けれど一番の敵は常に自分の中にあるのです。


 そう慢心や油断と言った敵が私たちの中には常にあるのです。


 そのふたつがより種としての繁栄を妨げてくれるのですよぉ。


 おかげで竜族全体の出生率はとても低いのです。いえ出生自体は多いんですがぁ、無事に育ってくれる赤ん坊は出生した数の何分の一になってしまうのでしょうねぇ~。


 強いからこそ先細りしてしまう。ゆえに種としては、種の繁栄という意味合いにおいて竜族はとても弱いのです。


 だからこそ母神様が言う「強いが弱い」という言葉の意味もわかるのです。私自身その弱さを常に感じているクチですからねぇ~。


『その強さと弱さをあの子には知ってほしいの。日常生活を送るのであれば、いまのまま過ごすのであれば知らなくてもいい。けれどあの子が向かう道はそんな甘いことは言っていられない荊の道だから。だからその荊で怪我をする前に知ってほしいの。そして乗り越える力を付けてほしいの。だからこそあなたに協力をお願いするのよ、サラちゃん』


 母神様は「旦那様」の首を絞められながら、見えない涙を流されながら笑っていました。


 その見えないはずの涙を私は見てしまった。断ることはできませんでした。


 おかげで胸に大穴が開くということになりましたが、まぁ、結果オーライですから、問題ないですねぇ~。たぶん。

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