Act7-74 たとえ嫌われたとしても
本日二話目です。
母神様が言われたお礼は、私と母神様が為した「お芝居」についてのものでした。
具体的に言えば、「旦那様」の首を絞められた後くらいからのことは、すべて母神様からのご要望を受けて為した「お芝居」だったのです。
とはいえ、全力で私も抵抗しましたよ? なにせ母神様ったら──。
『サラちゃん、サラちゃん。母神様じゃなくて、お義母様って言ってちょうだい』
──なにやら戯言が聞こえてきましたが、とにかく「旦那様」の首を絞められてからのことは、すべて母神様のご指示によるものだったのですよぉ~。
『あら、反抗期? ひどいわ。私これでも母神様なのに。ちょっとは私の顏を免じて乗ってくれてもいいじゃない! どうせ今夜は香恋の上でライドオン(意訳)なんでしょう!? そのたわわなものをデュアルショックなんでしょう!?』
……意味がわからないのですよぉ~。というか言っていることがレンゲさんと同レベルすぎるんですけどぉ~。
この人本当に母神様なのですかぁ~? まぁ、「旦那様」のお母様だなぁとは思いますけどぉ~。
『あら、やだ。香恋にそっくりと言われちゃった。ふふふ、サラちゃんの大好きな香恋とそっくりって。ふふふ、そうよね、そうよね。だって私は香恋のお・か・あ・さ・んだもの!』
……「旦那様」がこの会話を聞いていたら、「まじうぜぇ」とか言いそうですねぇ~。というかノリが爺様に似ていますねぇ~。
『い、言わないもん! 私のかわいい、かわいい香恋はそんなことは絶対言わないモン! きっと「お母さんんをお嫁さんにしたぁ~い」とか言ってくれるに決まっているのよ!』
断定しましたね、この母神様。というか現実逃避しているような気もしますねぇ~。
そもそも「旦那様」のお嫁さんがこれ以上増えるのは勘弁願いたいのですよぉ~。
ただでさえ魔境かと思うくらいにレベルが高いというのに、これ以上増えるのは──。
『でも、香恋ってうかつだから、また増えそうよね? この世界の作法とか全然知らないから「詐欺だ」とか「弁護士を呼んでくれ」とか言い出しそうよ、あの子?』
……どうしましょう。まったく否定できる要素がありません。
むしろ「旦那様」なら確実にやらかしそうなのですよぉ~。
今度はエルフとかハーフフッドとかそのあたりの美形さん方を加えそうで怖いですよぉ~。
『こうなったら、一日ひとりお嫁さん制度でも作っちゃおうか? 一年間毎日新しいお嫁さんを迎えるって感じで。ほら、あの子ならやれそうな気がするのよ、私』
『それも否定できないのですよぉ~』
「旦那様」には非常に申し訳ないのですけどぉ~。否定できないのですよ。あの人そのうち本当にそういう状況になりそうで怖いのです。
まぁ、そうなったらそうなったで「旦那様」なら全員を幸せにしてくれるとは思うんですけどねぇ~。あの人優柔不断ですけどぉ~、不思議なほどに甲斐性がありますからねぇ~。
『そうね。そういうところは素直にすごいわよね、香恋は』
ふふふと自慢げに母神様は笑われました。さて話を逸らすのはここまでにしましょうかぁ~。
『それで「旦那様」には言わなくてよかったのですか? あのときおられたのは』
『いいのよ。あの子のためであれば、私はなんだってできるもの。だって愛娘のためだもの。なんだってしてみせる。たとえあの子に──』
嫌われることであってもね。母神様は変わらぬ口調で言われました。
けれどその言葉には隠しようのない悲しさがこもっていました。
続きは明日の十六時になります、たぶん!←




