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Act7-64 ドアの先には?

 エレベーターが急に動き出した。


 少なくとも俺もサラさんもそしてドラームスさんも触れてさえいなかった。熱探知で自動的に動くタイプとか?


 それはさすがに地球でもまだ存在しないタイプのものなのだけどな。そう思いながらドラームスさんを見やるもドラームスさんは静かに首を振るだけだった。


「そんなものは導入されたとは聞いたこともない。誰かが使ったのかもしれぬ」


「誰かって、ゴレムスさんとか?」


「いや、ゴレムスはここには来ない。来るはずがない」


 ドラームスさんははっきりと否定していた。ゴレムスさんとあまり仲が良くないのだろうか?


 ゴレムスさんがここには来ないと言い切った口調はどこか硬い。それまでのドラームスさんの口調とはまるで違っていた。


「ゴレムスさんとなにかあったんですか?」


「……特にはなにも」


「なにもない、ですか」


 明らかに嘘だとは思う。嘘だとは思うけれど、それを確認している余裕はなさそうだ。


「とりあえず、隠れましょうか。ゴレムスさん以外の誰が使っているのかを確かめるためにも」


 エレベーターは動き出したばかりだった。


 いまであれば、物陰に隠れても気づかれることはないはずだ。ドラームスさんの巨体をどうすれば隠せるのかという問題もあるけれど、些事でしかない。


 いま大事なのは、エレベーターを使っている相手が誰なのかを確認することだ。なにせ相手が誰なのかもわからないということは、相手が敵対するかもしれない相手の可能性もあるってことだもの。


 そんな相手が使っているエレベーターの真ん前で突っ立っているなんてナンセンスだ。相手の動向を知るためにも隠れて相手を伺うのが一番いい。


「隠れると言っても、私や「旦那様」であればいいですがぁ~」


 ちらりとドラームスさんを見やるサラさん。言われずとも言いたいことはわかっている。それはドラームスさんも同じようだった。


「問題ない。こうすればいいだけのこと」


 ドラームスさんの目が不意に輝いた。次の瞬間にはドラームスさんの身体がみるみるうちに小さくなっていく。


 とっさにサラさんを抱えて飛び降りたときには、ドラームスさんは出会った頃のシリウスを思わせるほどに、とても小さく、子竜くらいの大きさになっていた。


「サイズ変えられるんですね」


「是。どこまでも小さくというのは無理だし、どこまでも大きくなるというのも無理だが、ある程度の大きさであれば伸縮可能である」


 ドラームスさんはそう言ってパタパタと岩の翼をはためかせるとサラさんの腕の中に降り立った。


「これであれば隠れることも可能だと思われる」


「たしかにこれくらいの大きさであれば、物陰に隠れることも可能ですねぇ~」


 ドラームスさんを抱きかかえながら、サラさんは頷いていた。たしかにこれくらいの大きさであれば、いくらでも隠れることはできそうだ。


 問題があるとすれば、真っ先にサラさんの腕の中に降り立ったってことだけど、些事だと思って我慢しようか。それにドラームスさんにはここまで連れてきてもらった恩もあるからね。


「とにかく、隠れましょう。そろそろ降りてきそうだ」


 エレベーターはさっきまで上昇していたけれど、いまは下降しているようだった。


 そろそろ隠れないとまずい。ドラームスさんを抱えたサラさんを抱きかかえたまま、俺は近くの物陰にゴレムスさんと同型のゴーレムたちの陰に隠れた。


 それとほぼ同時にエレベーターのドアがゆっくりと開いていった。

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