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Act7-61 ドラームス

 ……うん。


 まぁ、その、なんだ。

 

 黒歴史をみずから築き上げてしまったZ☆E。


 ……うん。


 ごめんなさい。


 特にサラさんにごめんなさい!


 なぜに俺はあんな暴走をやらかしましたかね?


 意味がわからないよ。


 というか、なんだよ、あのスケコマシキャラは!?


 オシオキってなにさ、オシオキって!?


 俺はいつからあんなドエスキャラになりましたよ!?


 あのままだったら、確実にサラさんに手を出していたよね、俺。


 最近、歯止めが利かなくなることが多くなっていないかな。


 歯止めが利かなくなること事態は、生きていれば往々にしてあるかもしれないけどさ、さっきまでの俺は明らかにやりすぎでしょうに。


 本当に自己嫌悪するよ。


 なんであんなに。まぁ、受け受けしいサラさんがかわいすぎたということもあるだろうけど、それでも理性を飛ばしすぎじゃない?


 旅客機でもあるまいし、ことあるごとにテイクオフなんてするなよ。


 ……なによりも一番きついのは、理性がぶっ飛んでいるところをほかの人に、ここの「住人」に見られてしまったってことだ。


 しかも相手に良識があったことが余計にダメージを与えてくれている。その「住人」さんとはいま一緒に行動してもらっていた。


「──我理解せし。息女、理性薄弱なり」


「まぁ、理性は薄弱でしょうねぇ~」


 サラさんが苦笑いしながら、「住人」さんと話をしていた。


 サラさんが話をしているのは、この廃棄場の管理人である竜族型のゴーレムことドラームスさんだ。


 竜族に似せた外見だけど、ゴレムスさんと同じでちゃんとゴーレムだ。


 竜族であれば、鱗に当たる部分が岩の装甲になっているし、ゴレムスさんと同じで目元はメカニカルだ。


 そのドラームスさんはいま地面に四つ足をついて、這いずりながら歩いていた。俺たちはその背の上に乗せてもらっていた。


「怪我か。であれば背中に乗るといい」


 それまで二足歩行だったのが、背中に乗りやすいように、横たわってくれたもの。それからは四つん這いになって移動してくれている。


 ゴーレムではあるけど、中身はだいぶ紳士の模様です。


 でも紳士然としているのだけど、その見た目はもうスクラップと言っていいほどに傷ついている。


 具体的に言うと、四肢はどうにかあるんだけど、装甲はほとんど剥げていて、中身が露出している。


 背中に大きな翼があるけど、その翼も中ほどから欠けてしまっていた。


 尻尾はやはり中ほどから千切れてしまっていた。


 そして目元はゴレムスさんと同じで、白い枠に覆われているのだけど、半分が壊れている。話すたびにその目元がチカチカと光るのだけど、それがかえって壊れかけているようで、哀愁を漂わせていた。


 そんな明らかにスクラップ同然のドラームスさんだけど、それはあくまでも見た目だけらしい。


「聖上定めし姿なり。ゆえに廃棄ではなく、もとよりこの姿なり」


 ドラームスさんが言うには、廃棄場の管理人らしい姿と母さんが定めたのが装甲等が剥がれたいまの姿らしい。


 ……母さんの考えることっていまいちわからないけど、さすがにドラームスさんの姿はひどすぎる。


 廃棄場の管理人だからといって、わざわざこんなボロボロの姿にしなくたっていいじゃないか。


 今回ばかりは母さんの理性を疑いそうだよ。


「息女。御母堂を悪く言うべきでない。聖上には聖上のお考えあり。そのお考え、我らには忖度できなくとも無理はない。我ら聖上ではない。ゆえに聖上のお考えをすべて理解せしこと不可能である」


 ドラームスさんが言うことは間違っていない。


 むしろ正しいのだと思う。


 理解することはできても、すべてを理解するなんてことは、どんなに仲を深めてもできはしない。それは親子の間であっても同じだ。


 だってその人ではないのだから、その人以外の人がその人のすべてを理解できるはずもない。


「とはいえ、すべてではなくとも、一部は理解できるようにはなれる。少なくとも親子の間であれば可能であろう。我はそう思う」


 ドラームスさんがフォローをしてくれた。気にしていないとは言わないけど、その言葉は救いでもあった。


「……ありがとう」


「気になさらずに」


 短い返答の後、ドラームスさんは再び歩き始めた。ドラームスさんが向かっているのは、廃棄場の出口だ。


 正確には廃棄場から出られるであろう場所だった。


「あそこであれば、無事に出られよう。少し距離はあるが、それは耐えていただきたい」


 ドラームスさんは背中にいる俺たちに向かって、穏やかな笑顔を浮かべてくれている。


「ドラームスさんは優しいですね」


「であれば、それは御母堂の影響である。息女、貴女の御母堂はとてもお優しい方。姉君は我らには興味を示されなかったが、御母堂は我らにも優しくしてくださった」


「姉君?」


「ゴレムスから話を聞いたのでは?」


 ドラームスさんは不思議そうな顔をしている。


「姉君」と呼ばれる存在が母さんにはいるみたいだ。


 でも母さんは母神だよね? なのに姉がいる? 


 そんな話はいままで聞いたこともない。そもそも創造神に姉がいるとかおかしくないか? 


「いえ、聞こうとしたんですけど、ゴレムスさんが急におかしくなって」


 母さんにお姉さんがいるという不思議さは置いておく。心あたりがいないわけじゃない。


 ゴレムスさんがおかしくなった時に言っていた「もう一人の管理者」という人。


 その人がたぶんドラームスさんの言う「姉君」なんだと思う。


 名前は不思議と聞きとることができなかったのでわからないけれど、その人がドラームスさんの言う「姉君」だとは思うんだよね。


 ……もしかしたら、その人が本当の「母神様」だとか? さすがにありえないか。この世界の母神は母さん、スカイストなのだから。


「理解。おそらくは禁則事項に接触したと思われる」


「禁則事項?」


「ゴレムスのTYPE-Gは禁則事項が多く設定されている。その禁則事項に息女は触れてしまったがゆえにエラーが出たのだろう」


「……ロボットみたいですね」


 ドラームスさんが語る内容は、この世界には似つかわしくないものだ。


 エラーとか、TYPE-Gとか、まるでロボットのようだ。


「ろぼっと?」


 サラさんが不思議そうに首を傾げている。


 ああ、こっちの世界ではロボットなんてものは存在しないから、無理もないのか。


 でもなんて言えばいいんだろう? この世界には機械文明なんて存在しないしなぁ。


「然り。ゴレムスのTYPE-Gと我ドラームスのTYPE-Dは息女の世界で言えばロボットとなる」


「へ?」


 ドラームスさんが不意に口にしたのは、思いもしなかった言葉だった。

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