Act7-6 翼王ベルフェ
だいぶ遅くなりました←汗
ん~、お休みの日はなかなか時間を守れないですね←汗
気をつけているんですけどね←汗
次回は気をつけたいです。次回の休みは六日で誕生日ですけどねぇ←汗
……うん、余計に更新しなさそうな雰囲気がぷんぷんですね←超汗
ゴンさんは当代の風のドラゴンロードだ。
そしてゴンさんには最古の古竜の片割れである「風様」という実のおじいさんがいる。
その「風様」は孫娘であるゴンさんを溺愛している。
その溺愛っぷりは、普段温厚なゴンさんが嫌気を差すどころか、凶暴さを露にするほどの凄まじさ。
そしてサラさんはそんなゴンさんの実妹です。
となると「風様」ことトカゲジジイの反応がどうなるのかは言うまでもありません。
「おぉ~! ようやく、ようやく、ようやっっっく! じぃじのところに帰ってきてくれたのじゃなぁ!」
「……うぅ~、ウザいですぅ~」
トカゲジジイは感涙しながらサラさんに頬擦りしている。
サラさんはげんなりとしながらもされるがままになっていた。
百年も家出をしていたという負い目があるんだろうね。
ほかに理由があるのかはわからないけど、少なくとも家出の影響があることはたしかだと思う。
でなければイケメンなじいさんとは言え、ぼろぼろと泣いたうえで、鼻水垂らした状態で頬擦りなんて普通はされたくないよ。そういう趣味があるというのであれば、話は別だけども──。
「そんな趣味はないのですよぉ~」
──あ、やっぱりないんだ。
よかったよ。
嫁にそんな特殊な性癖がなくて。これで一安心──。
「……ちと待て。誰が嫁だと?」
──だと思っていた時期が俺にもありました。
しかし現実はかくも厳しいもののようだ。
うかつすぎという意見は聞きません。そんなことは百も承知ですから。
でもね。ひとつ言わせていただきたい。
「つい出来心で──」
「出来心でうちの孫娘を汚したと?」
トカゲジジイの体が震えていた。
目が血走っているし、人の口からは本来出ることのない炎が揺らめいていますね。
「いや、そういうわけではなくて──」
「では、どいういわけじゃ、ちんちくりん?」
トカゲジジイの目が据わっている。
下手なことを言うとやばそうです。
でもなにを言えばいいのやら。
まだサラさんには手を出していないと言えばいいのかな。
いや、そうするとこのじいさんのことだ。
ディアナさんのように「うちの孫娘に手を出さないとか、わしに対する侮辱」とか言い出しそうだし、もしくは「いまはまだ出していないだけでいずれ出す気なんだろう!?」とか言いそうで怖い。
うん。逃げ道がないね。
悲しいほどに逃げ道がないですね、はい。どうしたものか。
「なにか言ったらどうじゃ、ちんちく──」
「……誰の「旦那さま」を捕まえてちんちくりんなんて抜かしているんだ、クソトカゲ」
「誰がクソトカゲじゃ! いったいどこの、ど、い、つ?」
トカゲジジイが勢いよく振り返ると同時に固まりました。
なにせトカゲジジイの背後には、とてもきれいな笑顔を浮かべるレアさんが立っているんですから。
「久しぶりだなぁ、クソトカゲ。元気にしていたか?」
「こ、こ、これは蛇王様! おひさしゅうございます!」
トカゲジジイが勢いよく敬礼をしていた。
そんなトカゲジジイの頭をレアさんってば、「みしり」という音を立てて握りしめています。
トカゲジジイが「痛い、痛い、痛いですぞ!?」とか喚いていますね。
けれどレアさんってばまるで無視です。
「どうでもいいことを抜かすな。それよりもてめえ、いま誰の「旦那さま」にちんちくりんとか抜かした? あ?」
「だ、旦那さま?」
「そうだよ。おまえが威嚇していた方は私の「旦那さま」だ、コラ」
「ご、ご冗談で?」
「あ?」
「……大変素敵な「旦那さま」をお持ちですね」
トカゲジジイが、あのトカゲジジイが借りてきた猫状態です。
しかしなんでまたレアをこんなに恐れているんだろうか?
いやわかるよ? レアの本性がとんでもなく凶暴かつ凶悪なことは。
普段の清楚さが鳴りを潜めて、完全にレディース化するってことは。
それでもさ? あんた最古の古竜である風様でしょう? なのになんでそこまでレアを怖がっているんだろうか?
「あははは、それは簡単な理由だよ。マモマモから聞いていると思うけれど、ヴィヴィの本性が竜族さえ震え上がらせるっていうのは本当のことなんだよ。なにせその震え上がらせられた竜族こそがそこにいるふーふー、いや風の古竜なんだからさ」
聞いたことがない声が頭上から響いた。
ちなみに俺たちがいまいるのは、「スロウス」の城の中庭、正確には城の門を潜った先にある大門の前にいるのだかけど、トカゲジジイってばここでゴンさんを待ち伏せていたからね。
ゴンさんと一緒にいられることが相当に嬉しいみたいだ。
しかも今回は家出をしていた孫娘であるサラさんまでいるのだから、喜びが天元突破するのも無理はなかった。
その喜びもレアのおかげで消えてなくなったみたいだけど。
いやそれよりもだ。いま聞こえてきた声って誰のものだ?
大門を見たとき、たしか頭上にはバルコニーのようなものは存在していなかったはずなのだけど。
試しに顔を上げてみてもバルコニーのようなものはない。
そうバルコニーはないが、代りに人がいた。
正確にはゆっくりと下降してくる、これぞ天使と思えるような人だった。
「わぅ~」
「きれい、なのです」
シリウスとプーレが息を呑んで見惚れている。
無理もない。俺も見惚れてしまっていた。
陽光を浴びる金糸の髪に、はためく純白の翼に、そして日の光を瞳にしたような金の瞳に。
俺は見惚れてしまっていた。
それくらい目の前に現れた人物は美しかった。
それこそ、そうそれこそおとぎ話の天使が降臨したような──。
「いやぁ、ひっさしぶりだねぇ、ヴィヴィ。あははは、相変らずヴィヴィの本性は怖いなぁ~、あはははは」
──イメージがご臨終しました。
神聖な雰囲気さえかもちだしていたはずだったのに、神聖な雰囲気さんが急死された模様です。
なんなん? いや、誰なのかはわかっていますよ?
だって一度会っているもの。
ただそれでもこの登場を見たら、誰だって目を奪われてしまうというのに。
この人はなんだって残念なことを。
「……そういうそっちこそ、相変らずね、ベルフェ」
そう、この人は「翼王」ベルフェ。ここ「翼の王国」の王にして、「七王」のひとりである「翼王」ベルフェさん、その人だった。
レアさん=最恐の図式が着々と出来上がりつつあるけふこの頃。




