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Act6-40 青い髪の天使

 ゴールデンウイークも終わりましたね。

 いいお休みだったぜ←しみじみ

 さて、今回は天使ですね。天使さんが出るというわけではないですが、天使ですね。

「──それで? タマちゃんはどうしてここにいるの?」


 もともと座っていた席に新しく椅子を一脚追加してもらった。その結果タマちゃんと向かい合う形になったけれど、別に問題はない。……タマちゃん側には問題は大ありなんでしょうけどね。


「わぅわぅ」


「えっと、ですねっ。デウス様に監視というか、助っ人として着いて行けと言われましてですねっ」


 タマちゃんはあはははと笑いながらも、痛みに耐えているようだった。実際地味に痛いだろうなと思いつつも、俺はあえて手助けするつもりはありません。


「助っ人?」


「わぅ~。わぅわぅ」


「え、ええっ。助っ人ですね。ほら、デウス様からの「依頼」ですよ。「依頼」を遂行するためにも少なからず手伝いはいるだろうから、と言われまして。そこでデウス様の忠実かつ有能なメイドであるこの僕がですね」


「でも、デウスさん。タマちゃんを駄メイドと言っていたけど?」


「あ、あれはデウス様なりのお茶目であってっ」


「わぅ!」


 タマちゃんは涙目になりつつも、現状の説明をしてくれている。そう説明をしてくれているのだけど、涙目です。無理もないかな? なにせタマちゃんは──。


「むぅ~。まだ根を上げないの?」


「ふ、ふふふ、このくらいで僕ののぞみさんへの愛は止まらないのですよ!」


「わぅ! ノゾミママはパパのお嫁さんなの!」


「がふっ!? ちょ、ちょっとシリウスちゃん!? お腹にパンチはダメですよ!? 女性のお腹はデリケートなんですよ!?」


「じゃあ、こっちならいいよね?」


「ごふっ! す、脛はもっとダメですよぉっ!? というか脛に戻らないでくださいっ!」


 あー、うん。説明する手間が省けたけれど、一応言っておくと、タマちゃんは現在シリウスからの攻撃を受けています。理由? そんなのタマちゃんが希望を俺から寝取るとか言うからに決まっているじゃないですか。さっきからシリウスが「わぅわぅ」としか言っていなかったのは、それまでタマちゃんの脛を一点集中で蹴り続けていたからです。


 よく見るとタマちゃんのメイド服のスカートから覗く脚。特に脛の部分は見事なほどに青あざができあがっております。


 タマちゃんが悪いとはいえ、シリウスは少々やりすぎかな? それだけシリウスにとってママたちは大切な存在だということなんだけどね。……もしくはもうママを失いたくないってことなんだろうけども。だからこそ徹底的な攻撃をタマちゃんに対して仕掛けているわけなんだろうね。


 こういうところはアルトリアに似てしまったのかもしれない。アルトリアも攻撃対象には熾烈なほどに攻撃を仕掛けるからなぁ。


 パパとしてはそういうところは似てほしくなかったのだけど、こればっかりは仕方がないかな。まぁ、相手はタマちゃんだから問題はないっちゃないんですけどね。


「ありますよ!? なんですか、僕だから問題ないって!? 意味がわからないですよ、レンさん!?」


 タマちゃんが言い放った。うん、たしかに意味がわからないかもね。俺自身ちょっと意味がわからなかったもの。でもまぁ、これもスキンシップの一環と思えばいいんじゃねと俺は思うわけでして。うん、総じて問題はなりませんね、はい。


「問題大ありですよ、このハーレム野郎!」


 タマちゃんがうがーと叫びながら俺の頭をぺしりと叩いてくれました。まぁ、うちの愛娘が粗相をやらかしているから別に頭を叩かれるくらいは問題ない。というかタマちゃんもスキンシップ程度に頭を叩いただけだから、なにも問題は──。


「……パパを殴った」


「へ?」


 おや? シリウスちゃんの様子がおかしいですよ? 見ればおめめが真っ黒に。あー、これ、アカン奴や。


「私からママを奪おうとするだけじゃなく、パパを殴ったの」


 ゆらりとシリウスから真っ黒なオーラが立ち上って。あー、うん、マジヤバいかも。見ればタマちゃんも冷や汗をだらだらと。どうやらシリウスのスイッチが入ってしまったみたいですね。


「おまえ、噛み殺されたいの?」


 シリウスの声が二重になり、縦に裂けた瞳孔がタマちゃんをロックオンしました。そしてシリウスの体は一気に膨れ上がろうと──。


「ダメだよ、シリウスちゃん」


 膨れ上がろうとしたところでプーレが後ろからシリウスを抱きかかえた。それも胸をちょっと強めに押し付ける形でプーレが抱きかかえたことでシリウスが発していた殺気は一気にしぼ萎えてしまった。


「わぅ~。プーレママのお胸なの~」


 シリウスはこの世の天国と言うかのように嬉しそうに笑っている。……本当にどうしてここまで胸好きになってしまったのやら。パパには本当にわかりません。


 まぁ、シリウスのそういうところもパパは堪らなく愛おしいですけどね。もっともその殺気を一身に浴びていたタマちゃんにとってみれば、堪ったものではないでしょうけど。


「ごめんなさい、駄メイドさん。うちのシリウスちゃんが粗相を」


 シリウスを抱きかかえたまま、プーレが頭を下げた。


 名前ではなく駄メイドと言われたことで、タマちゃんはシリウスに脛を蹴られていたとき以上に傷ついた顔をしていたけれど、プーレはそのあたりのことはまるっと無視していた。


 というか気にしていないと言いますか。プーレの天然さんなところが発揮していますね。


「あ、あのシリウスちゃんの件は別にいいんですが、僕は駄メイドではなくですね?」


「プーレママに口答えするの?」


 ゆらりとシリウスから再び黒いオーラが立ち上っていく。そのオーラを見てタマちゃんは立ち上がると、ほれぼれとするほどの見事な敬礼をして言いました。


「僕は駄メイドで合っております!」


 タマちゃんはすでに涙目です。でもシリウスは攻め手をゆるめるつもりは皆無なのか。真っ黒なオーラを依然として立ち上らせて──。


「こぉら、ダメでしょう? シリウスちゃん。おいたはダメです」


「め」とプーレに叱られると、シリウスは「わぅ~」と肩を落としてしまう。真っ暗なオーラは一瞬で消えてなくなりました。母は強しと言うけれど、これはなにか違う気がするのは俺の気のせいだろうか? まぁ、タマちゃんだからいいかな?


「だから僕だからというのは──」


「わぅ?」


「……問題ありませんです、はい」


 シリウスの目がちょっと黒くなったところでタマちゃんは再び敬礼をしました。うん、間違いないね。シリウスにとってタマちゃんは完全に敵対者として認定されてしまったようだよ。まぁ、俺から希望を寝取ると豪語したのだから、無理もないだろうけれど。


「それよりもプーレ。大丈夫だった?」


「はい。皆さん、感謝してくれましたですよ。あと失礼なことをしてすみませんでした、と謝ってくださいました」


 タマちゃんのことは置いておくとして、プーレにいままでしていたことを尋ねると、プーレはわずかにだけど震えつつも、笑っていた。実はプーレはいままで俺とシリウスが粛清したごろつきどもの手当てをしていたんだ。


「いくら危害を加えかけられた相手であっても、怪我をした人を放っておくことはできないのです」


 プーレは体をわずかに震わせながらもそう言った。俺とシリウスの制止を振り切る形でごろつきもどもの元へと向かい、一人ずつ治療してあげていた。


 その姿はまさに白衣の天使を思わせてくれる。白衣の天使と言えば、ナイチンゲール女史だけど、プーレの姿はこの世界でのナイチンゲール女史を思わせてくれたよ。


 ……実際のところナイチンゲール女史は、まぁ、その、ちょっとぶっ飛んだ方ではあるそうだけど、患者たちに対しては平等かつ真摯に対応していたという立派な人だ。


 プーレもナイチンゲール女史を思わせるような立派な姿を見せてくれた。それはきっとシリウスにとって誇らしい姿だと俺は思うよ。


 だからこそごろつきもども、プーレに感謝をしたんだろうね。


 治療とは体だけではなく心のケアまでしてこそ。


 たしかララおばあさんがそんなことを言っていたけれど、その精神はちゃんとプーレにも引き継がれているんだね。


「お疲れさまなの、プーレママ」


 シリウスはプーレに抱きかかえられながらも誇らしげに笑っていた。……プーレが治療せざるをえない患者を生産したことはすっかりと忘れている模様です。でもそういうところも堪らなくかわいいぜ!


「うん、ありがとう、シリウスちゃん」


 プーレはシリウスのねぎらいの言葉に笑顔で返事をした。まだ体はわずかに震えているけれど、その笑顔はとても穏やかなものだった。

 実際ナイチンゲール女史は、FGOのみならず、わりとぶっ飛んだ方だったそうです。

 でもそれだけ真摯に患者に対応し、病気や怪我と戦ったということなんでしょう。それが結果としてぶっ飛んだように見えていたというだけなんでしょうね、たぶん←汗

 だからと言ってプーレをそこまでぶっ飛んだ風にする予定というわけではないので、あしからず←笑

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