Act6-18 NTRなど許しません(Byカレン
本日十八話目です。
タマちゃん暴走回です←
「いやぁ~、まさかこんなところで、リアルのレンさんに会えると思っていなかったですよ」
タマちゃんは嬉しそうに笑っている。
とは言え、嬉しいのは俺も同じだ。
「俺もまさかリアルのタマちゃんに会えるとは思っていなかったよ」
論争から一転し、俺とタマちゃんはにこやかに笑いながら抱き合っていた。いくらかレアの目が怖いけど、浮気じゃありません!
「しかし、レンさんって女の子だったんですね」
「あれ? 言っていなかったっけ?」
「聞いていないですよ! ヒナギクさんが幼馴染みでお嫁さんだとは聞いていましたけど、女の子だなんて初耳で──は!」
タマちゃんがなにやら過剰に反応していた。うん、なんかすっごく嫌な予感がするね。
「まさか、ヒナギクさんが男の子!?」
「違うよ! ヒナギクは女の子だよ! ちゃんと俺の嫁だもん!」
「あ、そうなんですか。よかったですよ。ヒナギクさんってば僕の理想の女の子なので、それが男の子だったら僕の夢が破滅するところでしたので」
タマちゃんは何気ない一言をくれました。……この野郎、相変わらず希望を狙っていやがるのか。
「何度も言っているけどね、タマちゃんや。ヒナギクは俺の嫁だからね?」
「あははは、お嫁さんがいっぱいいるのに、戯れ言を。ひとりくらい、というか、ヒナギクさんをくださってもいいじゃないですか?」
「あ? なにバカ抜かしているんだ? ヒナギクは俺の正妻だっつーの!」
「現地妻を何人も作って、正妻もなにもないでしょう!?」
「違うもん! ちゃんとヒナギクからは許可貰っているもん! むしろ、ヒナギクが勧めて──」
「え? ヒナギクさんもこの世界にいるんです!?」
「あれ? 言っていなかった?」
「それこそ聞いていないですよぉ!?」
タマちゃんが叫んでいる。
けれどタマちゃんが叫んだところで、この場には希望はいないのです。だからなにを言っても無駄なのです。
「「旦那さま」、ヒナギクさんって、ノゾミさんのことですか?」
「のぞみ。それがヒナギクさんのご本名ですか!? あぁ、スクールアイドルと同じお名前ですね! 素晴らしい! 僕はKKEさんとのカップリング派ですが、タマノゾもいいですねぇ~」
「……それはタマちゃんと希望という意味かな?」
「ええ、NTRですよ」
にやりとタマちゃんが笑ってくれました。その言動に俺の堪忍袋の緒が盛大にブチ切れた。
「てめぇっ! ふざけたことを抜かしているんじゃねえ!」
「ふざけたことをしているのはレンさんの方じゃないですか!? なんですか、複数のお嫁さんって! どこのハーレムラノベですか!? だったらのぞみさんください! 僕の子供を産んでもらうのです!」
「タマちゃん、女の子だろう!?」
「iPS細胞があるから問題ないです!」
『その手があったわね! お母さん、忘れていたわ!』
……タマちゃんにツッコミたいところですが、なにやら幻聴がするね。
『ふふふ、のんちゃんとの間に、シリウスちゃんの妹ちゃんを作るための──』
それ以上言わせないために、「黙れ」と心の中で言っておいた。
『お、お母さんに対してなんてことを! 不良、不良になっちゃったの!?』
幻聴がなにやら戯れ言を言っているけど、相手するのが面倒だからあえて無視した。
幻聴はなにか言い募っているけど、相手せずに戯れ言を最初に言ったタマちゃんを見やる。
「あぁ、偉大ですよね、iPS細胞は」
しみじみと呟きながらもタマちゃんは、なにやら子供の名前を決め始めている。なんだろう、このすでにNTRしたあとな雰囲気は?
そんなことは俺の目が黒いうちは許すわけねえだろうに!
「そもそもタマちゃんみたいなちんちくりんを希望が相手にするわけねえだろう!?」
「ち!? それはレンさんだって同じじゃないですか!?」
「うっさいわ! 俺はまだ成長期が来ていないだけだもん!」
「成長期なんて戯れ言ですよ! 僕はそんな戯れ言なんて、十八歳の頃に捨てました!」
くわっと目を見開きながら、タマちゃんが叫んだ。そう叫んだのだけど──。
「……うん? 十八歳?」
「そうですよ? それがなにか?」
「えっと、タマちゃん何歳なの? ちなみに俺は十五歳だけど」
「え!? 僕と同じ二十歳じゃないんですか!?」
タマちゃんがショックを受けていた。どうにも俺は勘違いされていたようだ。となると希望も二十歳だと思われていたのか。まぁ希望は落ち着きがあるから無理もないだろうけどね。しかし二十歳。二十歳かぁ。
「成人した人が未成年を孕ませるとか、下手したら逮捕ですね?」
「くぅっ!? そ、それは」
タマちゃんは悔しそうな顔をしている。まぁ否定はできないよね? なにせ自分からそう言ったのだから。これで希望に手を出せば立派に淫行が成立しますね。よかった、よかった──。
「あ、愛に年齢差はない!」
と思ったら、この二十歳開き直りやがった!
そもそもそんな一方通行な愛なんて認められるわけがなかろうに!
というか素直に諦めろ!
「ううう、うるさいですよ!? のぞみさんは僕のお嫁さんなんですから!」
「違う! 俺の嫁だ!」
「違います。僕のです!」
「俺の嫁だ!」
「僕の!」
タマちゃんと顔を近づけて言い合う。けれどもタマちゃんは退かない。よろしい、戦争だ!
「覚悟しろよ、この駄メイド!」
「そっちこそですよ、このハーレム野郎!」
お互いにけなし合いながら俺たちはつかみ合うのだった。
続きは十八時になります。




