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Act5-62 わかる人にはわかる胃痛の種

 本日二話目です。

 思わぬ母さんからのプレゼント攻撃を受けてしまったけれど、今日も無事に一日が始まった。


 スパダイスさん特製のエレベーターに乗り込み、リビングに下りるとすでにスパイダスさんとご家族のみなさん、そしてサラ様たちがすでにリビングにはいた。


「少し遅かったな、カレンさん」


 スパイダスさんが定位置である岩に座りながら、声をかけてくれた。いろいろとあってと説明すると「いろいろとねぇ?」なんて、含みのある言い方をしてくださいました。


 その言葉の意味することはなんとなく理解できるけれど、変なことはしていません。というか、よそ様の家でそんなことができるわけがなかろうに。


「俺はてっきりシリウスの嬢ちゃんに「妹が欲しい」とねだられて頑張っているのかと思ったぜ」


 がははは、とスパイダスさんが朝から全開トークをしている。マモンさんも同じなのか、にやにやと笑っている。もう何度目なのかはわからないけれど、俺には物体Xはないんです。だから子供は作れません! そりゃあシリウスには以前から妹をねだられていますけど、俺の体は子供の元を生成する機能はないのだから、どうしようもないのです。いやあると言えばあるけれど、それはあくまでも俺自身が子供を産むという機能であって、俺が嫁に子供を産ませるための機能は存在していないのです。


 どうしてみんなそんな基本的なことがわからないんだろう? というか、どうしてみんなそんな当たり前のことを平然と忘れてしまうんだろうか? カレンちゃん、そこんところが本気でわからないよ。


「変なことはしていません」


「恥ずかしがらなくてもいいじゃないか」


 スパイダスさんは声をあげて笑っていた。でもその一方で娘さんが「パパ、下品」とか言っているけどね? たぶん都合の悪いところは聞こえないようになっているんだろうね。うん、俺の耳も不思議とそういう機能がついているから、ある意味お揃いと言ってもいい彼のかもしれないね。もっとも都合の悪いところを聞かないのは、誰だって同じだろうけどね。


 そうして俺は朝から余計に疲れさせられてしまったよ。ちなみにシリウスのリボンはみんな気づいたよ。ただそれはあくまでもシリウスの尻尾に昨日まではなかったリボンを結っているということにだ。そのリボンが神器というチートアイテムクラスの逸品だということには気づかれていなかった。


 いや気付いている人は気付いていたね。サラ様とライコウ様だ。おふたりはリボンを見て絶句し、それが誰によるものなのかを知って頭を抱えられていた。


「自重を知らんのか、あやつは」


「進化の祝いに贈るシロモノじゃないでしょうに」


 サラ様もライコウ様も口をそろえてため息を吐かれていたよ。……うん、「すけひと」のつなぎまで同じ性能だということは、やはり伝えない方が正解だったね。これまで同じチート性能だと知られれば、サラ様とライコウ様でさえも卒倒しかねない。


 しかし天使であるおふたりでも頭を抱えるほどに神器ってとんでもないシロモノなんだな。まぁ、俺のつなぎとシリウスのリボンはあくまでも神器相当ってだけで、神器そのものってわけじゃないけど、数百年後には俺のつなぎもシリウスのリボンも神器という扱いになっていそうだな。


 そもそも神器がどういう扱いなのかもわからないんですけどね。まぁ、それはおいおい調べて知ればいいかな? 大方伝説の武具ってところだろうし。……伝説の武具と言えば、終盤における最強クラスの装備品だから、どのみちチートアイテムであることには変わりないかな。


 本当にうちの母さんってば、なにをやらかしてくれますかね。サラ様とライコウ様が頭を抱えるのも当然だわな。


「私たちは事情を知ってなお、シリウスちゃんに渡してしまうあなたにも呆れているんですけどね?」


「欲がないと言えばいいのか。それとも価値を知らんからと言えばいいのか。よくわからんな」


 サラ様もライコウ様もそろってため息を吐かれました。今度は母さんに対してではなく、俺に対して吐いたみたいだけど、はっきり言おう。濡れ衣であると。俺はただ母さんのお小言攻撃から逃れるために、言われた通りリボンを渡しただけ。そう悪いのはそんなチートアイテムをくれた母さんであって──。


「どちらにしろ、あなたの意思によるものなのだから、大して変わらないと思うわ」


「もう少し物事を考えて行動した方がいいと思うぞ、カレン殿」


 サラ様とライコウ様にはなぜか呆れられてしまった。呆れられることなんて言っていないのに。そもそも状態異常が無効化になったのはいいことじゃないか。アンデッドなんてものは大抵状態異常を起こす攻撃をしかけてくるんだから、その備えができるようになったんだから、いいことじゃないか。なのになぜそれで文句を謂れにゃならんのだよ。意味がわからないよ。


「まぁ、アンデッドどもと戦うための備えになったことはたしかなんだが」


「それでも納得できないというか」


 サラ様とライコウ様はなんとも言えない顔をなさっていた。言いたいことはわかるけれど、それを俺に言われてもどうしようもないわけなんですけどね? だってやらかしたのは母さんだもの。俺じゃないもん! まぁ、言ったところでさらっとスルーされるのはわかっていますけどね? ほら親の責任は子供の責任って感じですよ。……本来なら逆なんだけど、まぁ、うちの母さんだから仕方がないかなって。

「本当にそれな」


「彼女にも困ったものよね」


 やれやれと最後にはお二人そろって肩を竦められていました。ちなみに俺との会話はすべて念話でしていたので、リボンのことはほかの人には知られていません。というか伝えられるわけがないというか。まぁ、胃痛に悩むのは少数だけでいいんじゃないという俺の気遣いです。その少数に選ばれたサラ様とライコウ様、それにレアには申し訳がないけれど、そこはまぁ我慢していただくということでひとつ。


「……天上から降りてこなければよかったと、これほど思ったこともないぞ」


「シリウスちゃんが進化したのを見られたのはいいんだけどね。それ以降が、ね」


 サラ様たちはそう言って何度めかのため息を吐かれたのは、まぁ、言うまでもないよね。とにかくおふたりのため息とともにアンデッド対策は始まったんだ。

 明日はできれば十六時更新できるといいなぁ。

 ……寝落ちしなければ、たぶん←汗

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