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Act0‐4 勇者さんと竜王さんが仲がいいんですけど、どういうことですか?

 なんだかPVが100を超えたみたいです。

 まぁ、そのうちの何割かは自分のアクセスなんでしょうけども←汗

 とにかく、お読みいただきありがとうございます。できるかぎり頑張ります。

「ふははは! その程度か、勇者アルクよ! 勇者だなんだと謳われようが、しょせんは人間という虫けらの範疇にすぎぬ! その程度の力で我が主竜王ラースさまと戦おうなどと片腹痛いわ!」


 高笑いしているのは、ゴンさんだった。さっきまでの間延びした喋り方ではなく、威圧的な口調だった。表情も穏やかさは欠片もない。そしてあの金髪のお兄さんが、勇者アルクさんか。普通にイケメンだった。が俺の趣味ではない。


「黙れ! 私は聖大陸、いやすべての人類のために、絶対悪である七王を討伐するのだ! その邪魔をするのであれば、たとえ至高の存在と謳われた、ドラゴンロードと言えども容赦はせん。死にたくなければ下がれ、風のドラゴンロードよ!」


 高笑いするゴンさんを睨み付ける勇者アルクさん。なんというか、テンプレな勇者だった。趣味ではないうえに、熱血漢とかテンプレ過ぎて、苦手な人種だった。対してゴンさんは鼻で笑っていた。


「容赦をせぬだと? 笑わせるな! 虫けらの相手など我が主はなさらぬ! 我が灼熱の吐息により滅びるがいい!」


 ゴンさんが大きく息を吸い込み、勢いよく吐きだした。その吐息は炎に彩られていた。どのくらいの温度なのかはわからないけれど、少なくとも俺が直撃したら、こんがり上手に焼けましたじゃすみそうにはない。


「待っていたぞ、その攻撃を!」


 勇者アルクさんが、目を見開いた。するとアルクさんが持っていた剣が緑色に輝いた。その剣をアルクさんは思いっきり振り抜くと、ゴンさんのブレスがゴンさんに向かって逆流していった。ゴンさんが慌ててブレスを止めて、逆流してきたブレスから身を守ろうと翼で体を覆った。同時にアルクさんは、人間ではありえない高さまで跳び上がった。


「必殺! ……真・竜滅聖光斬!」


 アルクさんは叫びながら、今度は白い輝きを放つ剣を振り下ろした。その際、妙な間があったように思えたけれど、たぶん気のせいだろう。気のせいのはずだ。目がわずかに泳いでいたようだったけれど、たぶん気のせいだろう。必殺と言ったはいいが、名前がとっさには思いつかず、もうなんでもいいや、ってあり合わせたように思えるのもきっと気のせいのはずだ。


「ぐ、ぐわぁぁぁーっ!」


 アルクさんの放った必殺技を聞いて、一瞬ゴンさんが唖然としたように見えた。いくらなんでもそのネーミングはどうよ、って顔をしていたように思えたけれど、たぶんそれも気のせいだろう。実際アルクさんの必殺技の直撃を受けて、ゴンさんは叫びながら倒れていく。アルクさんの必殺技はゴンさんの鱗を抜き、ゴンさんにダメージを負わせたようだ。ゴンさんの体に紅い線が走り、そこから血が迸っていた。かなりの量だ。


「……大丈夫なのか、ゴンさん」


 人間であれば出血多量だろうけれど、ドラゴンであるゴンさんにとっては、どうなんだろう。やっぱりドラゴンでも出血多量になるのかな。だとしたら心配だった。まだ会って十分かそこらだけど、俺はゴンさんを嫌ってはいない。嫌うほどに知っていないというのもあるけれど、それ以上にあの人の穏やかさはとても好ましかった。だからゴンさんが命を落とすという展開になるのは、できれば避けたかった。


「む、虫けらにやられるとは、我もその程度であった、か」


 がくりと力なく横たわるゴンさん。ゴンさん、と叫びそうになったけれど、ゴンさんは薄く目を開いて、俺にウインクしてくれた。


 あれ? いまやられたんじゃないのかな。だってあんなに血が出ているし、ドラゴンとはいえ、あの量はと思っていると、アルクさんがその場で跪いてしまった。


「……さすがは、風のドラゴンロード。道を誤ったとはいえ、その力は衰えていなかったな」


 アルクさんは、激戦を制したとでも言わんばかりに、肩を上気させていた。だがその視線はとても鋭い。まだ倒すべき相手がいるとでも言わんばかりの様子だった。


「前座は倒した。出てこい! 竜王ラース!」


 アルクさんの叫びがこだました。するとどこからともなく声が聞こえて来た。底冷えするほどに冷たく、そして静かな声だった。


「あやつを倒す、か。以前まみえたときは、ただの虫けらであったが、ずいぶんと強くなったものよ。どれ、ひとつ遊んでやろう」


 声とともに足音が聞こえてくる。アルクさんが周囲を見回した。俺ももう少しだけ扉を開き見回すが、アルクさんとゴンさんの死骸(?)があるだけだった。いったいどこから。もう一度あたりを見回すと、声が聞こえてきた。それも俺やアルクさんの頭上からだった。


「どこを見ている? 我はここだ」


 アルクさんが顔を上げた。俺も顔を上げると、そこには空中に佇む黒髪で紅い瞳をした男性が立っていた。見た感じ、アルクさんよりも年上だ。ちょうど毅兄貴と同じくらいに見える。だいたい二十七、八くらいだろうか。しかし兄貴とは違い、威圧的な雰囲気を感じるし、目がとても冷たかった。背筋が寒くなるのがはっきりとわかった。だがそれは傍から見ている俺以上にアルクさんは思っていることだろう。


「現れたな、竜王ラース!」


「勇者アルク、であったな。腕を上げたようだが、その程度では我にはかすり傷さえつけられぬぞ?」


「やってみなければわからない!」


「そうか。では無駄なあがきを見せるがよい。来い、先手は譲ってやろう」


 手招きをし、アルクさんを挑発する竜王ラース。アルクさんが歯を強く噛みしめ、竜王ラースと叫びながら、再び跳び上がった。竜王ラースは口元を歪めて笑いながら、どこからともなく黒い刀身の剣を取り出した。その剣目がけてアルクさんが剣を振りかぶった。次の瞬間高い金属音を奏でながら、ふたりの剣がぶつかり合った。そのまま鍔迫り合いになるかと思ったのだけど、なぜかふたりは即座に剣を引いて、そのまま床に着地した。そして──。


「真・竜滅聖光斬はどうかと思うぞ? 勇ちゃん」


「えー、だってドラっちが協力してくれないからじゃんかぁ」


 なぜか仲良く語りだしてしまう。え、さっきまでの敵対している雰囲気はどこに行ったの。っていうか、勇ちゃんとドラっちってなんだよ。なんで敵対者同士があだ名で呼び合っているんだよ。


「それは悪かったとは思っているが、まさかここまで勇ちゃんのネーミングが悪いとは思っていなかったのだよ」


「うわぁ、それひどくね? 俺だってない知恵振り絞って考えたってのにさ」


「そう言われてもな。おい、ゴン。おまえはどう思う?」


「ん~。私もそれはないでしょう、って思いましたねぇ」


 よっこいっしょと言いながら、ゴンさんが軽やかに起き上がる。あ、やっぱり死んでいなかったんだ。まぁウインクなんてしている時点で、大丈夫だからと言っているようなものか。うん、ちょっと状況が読めないけれど。


「えー、ゴンゴンもひどくねぇ? まぁ、このくらいのネーミングセンスの方が、あの強欲ジジイを騙すにはちょうどいいと思うんだけどなぁ」


「勇ちゃんも人のことは言えぬぞ」


「あははは、言えているね、それ」


 アルクさんと竜王ラースはそう言って肩を組んで笑い始めてしまう。本当にさっきまでの雰囲気はどこに消し飛んだんだろうか。あまりにも違和感たっぷりな光景に、俺の脳は理解するのをやめるどころか、思考を放棄してしまったようだ。現状をまるで把握できなかった。


「……どうなっているんだよ、これ」


 俺の疑問のこもった呟きは、アルクさんと竜王ラースの笑い声にかき消されてしまうのだった。

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