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Act3-27 憧れのお姉さん像が崩壊していきます(Byカレン

 レアさんの暴走が止まりません。

 まぁ、暴走しっぱなしでいいかな←ヲイ

「責任者出てこんかい! 誰の許可を取ってここで店を出しているんだ!? ああーん!?」


 どこからともなく聞こえてきたテンプレなセリフを言うのはあからさまなチンピラという風情のヤカラさんだ。


 あまりにもテンプレすぎて、俺と希望は思わず言葉を失ってしまう。


 レアさんは不思議そうに首を傾げている。どうやら俺と希望が固まっているのが不思議みたいだね。


 ただ、うん。正直まさかここまでテンプレなセリフを言うような輩が出て来るとはさすがに予想外なんですけど? 


 というか何ごとだよ、これ? 


 なぜにいきなりテンプレな輩が乱入してくるんですかね? 


 香恋ちゃん、そのあたりがまるでわからないんですけど?


「どうかしたんですか? カレンちゃんもノゾミちゃんも?」


 ヤカラのおかげでレアさんももとに戻ってくれたみたいだ。


 ただ元に戻ったにしては、俺の貧相な胸をまさぐり続けているけれど。


 変な声が出そうになるから、そろそろやめてはくれませんかね?


「カレンちゃんの小さなお胸が柔らかくて、つい」


 レアさんがテヘペロするかのように舌を出しつつ笑ってくれた。


 ただその言葉は確実に俺の心を抉ってくれるんですが? 


 どうせ小さいよ! 下手したらシリウスよりも小さい可能性があるサイズですよ! 


 幼女にも負けるかもしれないほどのサイズですよ。幼女とどっこいどっこいですよ!


「ふふふ、いいじゃないですか。掌サイズでも。むしろそれくらいのサイズだからこそ育て甲斐がありますもの。だから、ねぇ? いいでしょう? お姉さんに育てさせてちょうだい?」


 耳元で音が鳴る。唇が鳴る音。背筋がぞくりとする音。思わずごくりと喉が鳴ってしまったよ。


「カレンちゃんってば、本当にこれが好きなんですね? それともお姉さんの唇が好きなのかな? いいですよ? カレンちゃんが好きなお姉さんの唇で気持ちいいことをいっぱいしてあげますからね?」


 レアさんはねじが完全にぶっ飛んでいた。


 いやもうこれは完全にぶっ飛んでいるとしか言いようがないですよ? 


 なにせさっきから言っている言葉がすべてエロいですもん。


 なんで朝から痴女モードになっていますかね、この人。歩く公衆わいせつ物か!


「失礼ですね。お姉さんがえっちになっちゃうのは、カレンちゃんがかわいすぎるからですよ? カレンちゃんがかわいすぎてお姉さんのものにしてあげたくなっちゃうし、お姉さんもカレンちゃんの女になりたくて仕方がないの。ねぇ、いいでしょう? カレンちゃんの「初めて」を全部お姉さんにちょうだい? カレンちゃんを女の子にしてあげるし、「女の殺し方」を一から教えてあげるから」


 レアさんが耳にふぅと息を吐きかけて来る。


 吐息がめちゃくちゃ熱いんですけど、なんでこんなに興奮しているんですか、レアさんは!? 


 朝っぱらから痴女モードとか勘弁してくださいよ! 


 そもそもさっきのは営業なんだから、本気にしないでよ!?


「本気にしますよ? だってカレンちゃんはお姉さんの好みそのものなんですもの。お人形さんみたいにかわいいのに、とても強くて、ああ、ダメ。カレンちゃんに触れているだけで、お姉さん理性飛んじゃいそう。いいよね? カレンちゃん食べちゃっていいよね? もう我慢できないの。カレンちゃんを食べちゃいたいし、お姉さんもカレンちゃんに食べられたいの」


 上ずった声どころか、吐息が完全に興奮しきった人のそれじゃないですか! 


 おかげで振り向けないよ! 


 振り向いたらそのままキスされそうで怖いもの! 


 いくら希望が寛大であっても、目の前でキスなんかしているのを見たら確実にぶち切れるもの。


「ちょ、ちょっと落ち着いてください、レアさん!」


「落ち着いているよ? だってまだ──」


 カレンちゃんは処女のままだもの。


 あまりにも反論しづらいことをレアさんはぶっちゃけてくれました。


 いやたしかに処女ですけど。処女ですけどさ!? 


 少しはTPOというものを弁えてくださいよ!? 完全に発情しちゃっているじゃないですか!?


 そもそもなぜ俺なんかに触れているだけで発情しちゃいますかね!? 


 ちっとも理解できないんですけど!?


「カレンちゃんはカレンちゃん自身の魅力にまるで気づいていないんですね? いいですよ、お姉さんが手鳥足取り身を持って教えてあげる。カレンちゃんのかわいい声を、この広場中に響かせてあげるからね」


 そう言ってレアさんは無理やり俺を振り向かせた。そしてそのまま唇を奪おうと顔を近づけて──。


「だ、ダメだってばぁ! 香恋とキスしていいのは私だけだもん!」


 希望が叫んだ。もうそれこそテンプレなセリフを叫んでいたヤカラさんの声さえも掻き消すほどに。


 実際ヤカラさんはぽかーんとしている。


 うん、普通そうなるわな。


 希望も自分がなにを口走ったのかがわかったのか、顔を真っ赤にしてしまっている。


 めちゃくちゃかわいいんですけど、どうしたらいいかな?


「そうですね。とりあえずノゾミちゃんをカレンちゃんが食べて。そのカレンちゃんを私が食べるってことでどうでしょうか?」


 レアさんが解決策にもならないことを言ってくれた。


 うん、解決策のつもりなんだろうけどね? 


 それではまるで解決になっていないのですよ。


 というかですね。どうしてそこまで俺を食べたいんですかね?


「言ったはずですよ? カレンちゃんがお姉さんの好みだからです。ああ、食べたい。食べたいなぁ。カレンちゃんをめちゃくちゃにしたい。トロトロになるまで食べてあげたら、きっとすごくかわいいの。ダメ、想像しただけでお姉さん堪らなくなっちゃう」


 レアさんはメス顔を晒しながら言ってくれました。


 ククルさんがメス顔を晒すのって、レアさんの影響だったんだね。


 まぁレアさんをお姉さまと呼んで慕うくらいだから、似通ってしまうのも当然かな? 


 しかしますます俺にとっての憧れのお姉さん像が壊れて行きます。


 最初に会ったときはこんな人じゃなかったのに。どうしてこうなっちゃったのかな? 


 ふふふ視界が歪むぜ。


「……あ、あの?」


 聞きなれない声が聞こえてきた。


 誰の声かなとあたりを見回すと、さっきのヤカラさんがなんだかいたたまれなさそうに俺たちを見つめている。


 まぁ、普通はあんなテンプレなセリフを言えば、それなりの反応を示すだろうけれど、相手が悪すぎだったね。


 この王さまには常識は通用しません。出会ったばかりの頃は常識人っぽかったのに、どこでどう間違えてしまったのかな。香恋ちゃん、不思議でなりません。


「なにか?」


 とりあえずヤカラさんがかわいそうだから、相手をしようとしたのだけど、それよりも早くレアさんがヤカラさんを威嚇してしまう。


 ヤカラさんは悲鳴をあげて、体を振るわせていく。


 かわいそうに。いまのレアさんに声をかけるとか、自殺行為でしかないよ。


 まぁ、おかげで矛先がヤカラさんに向いたからよかったけれど、ちょっと憐れすぎるね。


「なんですか? せっかく私がカレンちゃんとイチャイチャしているというのに、それを邪魔するなんて死にたいの? ねぇ、あなた死にたいのかしら?」


 だけどレアさんは追撃の手を緩めない。


 まだ言葉を投げつけてしかいないけど、いつ本当に実行するかはわからなかった。


「あ、あのレアさま? 少し落ち着いては」


 するとまた聞きなれない声が聞こえてきた。


 今度は誰だよと声の聞こえた方を見やると、そこには背の高いひょろっとしたおじさんが立っていた。


 ナイスミドルとは言えない。あと二十年、三十年後に期待だね。


「あら、ムガルじゃないですか? どうかしましたか?」


 どうやらレアさんの知り合いのようだった。


 しかしこのタイミングで出て来るとなると、ヤカラさんはこの人の手下かなにかなのかな? 


 まぁさすがにそれはありえないかな。ただ無関係ではないだろうけれど。


 さてさて、どうなることやら。

 

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