Act3‐26 蛇王さま、完全にご乱心?
ついにPV十万突破です!
いつもありがとうございます!
今回はレアさんが完全に暴走していますので、ご注意をば。
今日も元気に屋台の営業開始だった。
しかしこのままだと、希望はここで仕事を頑張るとか言い出しそうで怖いです。
俺としては希望がそう願うのであれば、構わないと思っている。……嘘です。長距離恋愛とか勘弁してくださいって思いますです、はい。
でもそれはあくまでも俺の気持ちであって、希望も同じだというわけじゃない。
希望はもしかしたらこのまま屋台を営業してお金を稼ぎたいと考えているのかもしれない。
正直な話、ここの屋台での仕事はわりとバカにならない利益をあげている。
一見さんはもうほとんどいない。
だいたいが見たお客さんばかりだった。
つまり固定客をばっちりと掴んでいた。
一見さんではなく、固定客を得る。それが商売における長続きをするために重要なことだ。
一見さんだからダメってわけじゃないけれど、一見さんはお金を落として行ってくれるのは一回だけになるかもしれない。
一見さんは多いけれど、固定客が少ないお店よりも一見さんは少ないけれど、一定の固定客がいる店。どちらが長続きするかなんて、火を見るよりも明らかだ。
なかには一見さんから固定客になってくれる人もいるだろうけれど、わりと一見さんっていうのは、一度行ってみようという人ばかりだ。
まぁ、固定客だって最初はあるんだ。続けてきてくれるか、一見さんで終わってしまうかはその店次第だと思う。
そして希望の屋台は、みごとに固定客をつかんでいる。そんな現状である程度稼いだら辞めるというのは、ちょっともったいない気はする。
希望がどう考えているのかまではわからないけれど、俺としては、俺個人ではなく、経営者としての目で見れば、希望はこのまま「エンヴィー」に滞在するのがいいのかもしれない。
希望に会えないのは、嫁に会えなくなるのはめちゃくちゃ寂しいけれど、同じ世界でかつ同じ「魔大陸」にいるんだ。
これっきりで会えなくなるってわけじゃない。なら希望をレアさんたちに預けるのはありっちゃありだ。
あくまでも希望がそう願うのであればの話だけどね。
希望が俺と離れたくないと言ってくれるのであれば、レアさんにこの店を任せて、俺たちはマバの缶詰を作るための費用を稼いだら手を引くってことでいいかもしれない。
って、あれ? そう言えばレアさんが初期費用を出してくれなかったのは俺の経営者としての手腕が見たいからだよな?
このまま店の客引き要員として働いたところで、経営者としての手腕って見せられるものなのかな?
「う~ん?」
客引きは重要な仕事だ。客引きというか、宣伝がと言った方がいいかもしれないけど。
どんなに優良店であろうとも、存在を知られていなければ、お客さんが来ることはない。
存在を知られているからこそ、お客さんは来るんだ。
まぁ隠れ家的な名店というのもあるけれど、宣伝をしていないだけで、あれだって知られているからこそお客さんが来ているわけだもの。
お客さんが来るということは、惹き付けるだけのなにかがあるってことだからね。
そのなにかを知ってもらうためには、宣伝は大事だ。
その大事な宣伝を引き受けている。そういう意味であれば、経営者としての仕事をしていると言ってもいいかもしれない。
……ええ、はい。無理があることは重々承知ですよ?
でもさ、そうでも思わないとやっていられないんだもん!
「さぁさぁ、「旦那さま」?」
「ひぃ!」
レアさんが後ろから俺を抱き締めてくれた。
圧倒的すぎるブツの感触はあれど、こらからされることを思うと、体が震えますね。
「今日もいいお天気ですね?」
細い指に頬を撫でられる。レアさんはとても楽しそうだ。
俺はちっとも楽しくなんかないけどね!
「そ、そうですね?」
震えつつ、空を見上げる。今日もきれいな青空です。
雲ひとつもないきれいな青空が頭上に広がっている。
なんの嫌からせかな? 雨であれば、雨が降ってさえくれれば、こんな目に遭うこともないのに!
「さぁ、今日も元気に──」
かわいく啼きなさいね?
背後から、そんな宣告が聞こえてきた。同時に──。
ぬるり。そんな擬音が聞こえてきました。
「ふやぁぁ!」
気づいたときには叫んでいました。むしろ叫ばずにいられるかってんだ。
「ふふふ、かわいい声、お姉さん興奮しちゃう」
レアさんが上ずった声でそんなことを言う。
もともとそうだとは思っていたけど、この人ドエスにもほどがないですかね!?
ドエスなセリフがヤバいくらいに似合っているんですけど!?
「れ、レアさん、やめ」
「違うでしょう、「カレン」? 私のことは──」
お姉さまと呼びなさいと教えたでしょう?
レアさんが明らかにヤバい。
明らかに暴走している。でも──。
「言わないと「オシオキ」しちゃうけど?」
くすくすとレアさんが笑っている。
下手なことを言ったら、確実に食われる!
俺のそれなんざ、いつ散らしてもいいけれど、こんな人前はさすがに憚れます。
「や、やめてよ、お姉さま」
恥ずかしいけど、我慢して言った。
これでやめて貰えると思ったのに、現実は非情だった。
「……「カレン」はダメな子ね」
ぽつりとレアさんが呟いた。
なにをと思ったときには、耳を食まれてしまう。
「な、なんで!? お姉さまって言ったのに!?」
「ちゃんと敬語は使わないとダメよ? 「お姉さま」にそんな言葉使いをしちゃダメじゃない」
「な、なら最初から──ひぅん!?」
「……言わなくてもわかると思ったの。なのに「カレン」ってば、私の期待を裏切るんだもの。これは「オシオキ」よりも──」
「躾」が必要かな?
レアさんが口元を歪めて怪しく笑う。
笑いながら俺の服の裾から手を差し込み、胸元に触れてきた。
「お、お姉さま!? なにを」
「「カレン」を女の子にしてあげる。かわいく啼いてちょうだい? お客さんをたくさん呼ぶためにも」
レアさんがうなじに唇を落としてきた。くすぐったいからやめてほしいのに、やめてくれない。
うん、これは確実にヤバい。
まず間違いなく捕食されてしまう!
逃げなくては。そう思うけれど、すでに後ろを取られて、なおかつ服の中に手まで差し込まれている現状でどうやって逃げろと?
お手上げじゃん、これ。
というかあきらかにやりすぎなんですけど!?
でもそれを言ったところでいまのレアさんが止まってくれるとは思えない。
捕食までの秒読み段階に入ったとしか俺には思えなかった。
誰か助けて。そう心の中で叫んだ、そのとき。
「ちょっとレアさん! 香恋に絡みすぎですよ!?」
嫁が、希望が助けの手を伸ばしてくれた。
これから忙しくなるというのにも関わらず、俺のために。
うん、やっぱり俺は幸せ者です。こんなにも素晴らしい嫁を迎えられたのだから。
「絡みすぎ? なぜです? 「カレン」をかわいがっていいと言ったのはノゾミちゃんですよ?」
「た、たしかに言いましたけど、それはあくまでも営業であってですね」
「ふふふ、営業だろうとなんだろうと、お姉さまになった以上は「妹」である「カレン」をかわいがるのがお仕事ですから。たとえノゾミちゃんがなにを言おうとも、私は止まりませんよ? 「カレン」を私好みのかわいい女の子にしてあげますから、黙って見ていてくださいね?」
レアさんがはっきりと言い切った。
そう、俺とレアさんが絡んでいるのはあくまでも営業である。
いわば百合営業って奴です、はい。ほら、アイドルとか女性声優さんがしているアレ。
百合好きっていうのは一定層いるものだから、そういうお客さんを呼ぶこむためにこうしてレアさんと絡まされているわけなんですが、レアさんの場合は完全にガチです。
いつお持ち帰りをされてしまうかわからないくらいにガチなんです。もう毎日がめっちゃコワイデス。
でもそんな営業努力はちゃんと数字として結果に現れているから、やめるにやめられないという困った状況に陥っています。
結果に現れてしまっているからこそ、レアさんが調子に乗ってしまっているのだけど、もう俺には止めようがないです。
「いいじゃないですか。「カレン」の初めてをこの場でいただくだけなんですから」
「それは決して「だけ」とは言えませんからね!? そもそもなんで公衆の面前でそんなことをしようと思うんですか!?」
「決まっているじゃないですか、そうした方が「躾」しやすいからですよ?」
レアさんがぺろりと唇を舐めとった。
アカン、この人マジだ。
レアさんのマジッぷりにさすがの希望もドン引きしているみたいだ。
というか寄りにも寄っての人を本気にしてしまったといまさらながらに気付いてくれたみたいです。
もう手遅れですけどね!?
「と、とにかくです。香恋から離れ──」
「おう! 責任者出せや!」
希望がレアさんに詰め寄ったそのとき、どこからともなくテンプレなセリフが聞こえてきたんだ。
レアさんと香恋のやり取りをノリノリで書いていたとあえて言ってみる←ヲイ




