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Act2-66 幼なじみな嫁が大胆すぎるんですけど(Byカレン

 遅くなりました。

 六連勤だったから、ついだらぁ~としていたら気づいたらこんな時間に←汗

 明日はいつも通りに更新しますゆえ。

 

 アルトリアの卵黒玉子焼きをどうにか食べ終わった頃には、すでに希望以外は部屋に残っていなかった。


 アルトリアとゴンさんを連れて、シリウスが海に行ってしまったからね。


「今日も遊ぶの!」


 とはシリウスの言だ。


 まぁ、今日は海には入らず、磯遊びがメインみたいだけどね。


 三人とも水着ではなく、ハーフパンツのようなズボンにシャツというラフな服装で出かけてしまった。


 ハーフパンツというか脚を強調する服は基本的に脚に自信があるからこそと俺は思っている。


 シリウスは幼児体型なので、まだ脚が短かったけれど、見た目も相まってとてもかわいらしかったね。


 アルトリアは事前に脚の自慢をしていたのだけど、たしかに自慢できるくらいにきれいな脚をしていた。


 うん、まさに美脚だったよ。


 希望も美脚ではあるけれど、さすがにアルトリアには一歩劣る。


 希望もアルトリアの脚きれいだねと言っていた。そう、あれを見るまでは。


「ふふふのふぅ~、どうでしょうかぁ?」


 そう言って颯爽と登場したゴンさんの脚を見た瞬間、場の空気が変わった。


 ゴンさんは意外に美脚だったという問題ではなく、アルトリアが霞んでしまうレベルの美脚だったよ。


 いつも胸を強調していたから昨日までは気づかなかったけど。


 ドラゴンってなんなの? 

 

 なんで女性的な部分がすべてありえんレベルなのさ? 


 アルトリアも結構な美脚だというのに、ゴンさんには敵わないとか。


 どんだけ女性的な部分が高レベルでまとまっているんですかね、ドラゴンってさ。


「ゴンさんってスゴいですね。胸も大きいのに、脚もこんなにきれいだし。憧れちゃうなぁ」


「ノゾミちゃんさんも、なかなかじゃないですかぁ~。それにまだ若いですからねぇ~。そればかりは私も負けてしまいますねぇ~」


「そういえば、ゴンさんはおいくつなんですか?」


「ん~、千飛んで五十歳ですねぇ~。人間で言えば、だいたい二十二、三歳くらいですかねぇ~?」


「普通にお姉さんだ」


「お姉さんなんて歳ではないですけどねぇ~?」


 二十二、三歳。人間で言えば二十歳前後。思わぬ言葉だったね。


 でもたしかにゴンさんの見た目はそれくらいのお姉さんだった。


 人間で言えば、十五、六歳ですよと言われていたら、より一層アルトリアが落ち込んでいたかもしれない。


 そう、そのときのアルトリアは落ち込んでいた。なにせ──。


「胸ではノゾミには負けますが、脚の美しさであれば、誰にも負けません!」


 と豪語していたのが、ふたを開けてみればゴンさんの方がよりきれいだったとわかったら、ね。


 自慢の脚よりもきれいな脚の持ち主がすぐそばにいるなんて、そうそうはないことなのだろうけれど、そのそうそうにないはずのことが実際に起きてしまったんだ。落ち込むなという方が酷だろうね。


 だから希望もゴンさんもなにも言わないし、触れることもせずにふたりだけで会話をしていたもの。


 ただふたりとも、特にゴンさんは申し訳なさそうな顔をしていたよ。


「胸でも脚でも一番になれないなんて」


 傷つききった顔でアルトリアが呟いていた。


 その姿はとても哀愁が漂っていたよ。


 なんというか申しわけがないというか。


 そのうちいいことあるよと言ってあげたくなるというか。


 とにかく、不憫だったね。


 でもそんな不憫なアルトリアに俺はなにも言えなかったよ。


 なにせ卵黒玉子焼きとの死闘の最中だったもの。


 卵黒玉子焼きが一本であれば問題はなかった。


 どんなに炭の味がしていても、頑張ればすぐに食べ終えられたもの。


 でも残念なことに卵黒玉子焼きは一本じゃなかった。


 五本あった。


 それをすべて俺ひとりで食べさせられるという状況。


 正直なにこれと言いたくなったね。


 それでも食わないわけにはいかなかった。


 食べきれば希望が好物を作ってくれるって言ってくれたし。


 あと頬にキスもしてくれたからね。


 好きな子にそこまでしてもらって燃え上がらない女の子はいません。


 なので気合で食べきったよ。


 おかげで口の中は炭の味でいっぱいです。


「お疲れさま、香恋」


 くすくすと対面側に座っていた希望が笑った。


 俺が食べている間、希望はこの世界の言語の勉強と称して、シリウスの絵本を読んでいる。


 ちなみに絵本は俺が描いたものだ。


 実際は母さんが描いた絵本を俺がこっちの世界で描いたものだけど、きれいに装丁されていた。


 というのもジョンじいさんに頼んで、発行してもらったんだ。


 そのうち自分で出版社を探して話を付ける予定だったのだけど、ギルドの仕事が忙しすぎてそこまで手が回らなかったんだけど、ジョンじいさんのところでは本も出版しているという話を聞いて、俺の本も出版してほしいと頼んだらOKを貰ったんだ。


 まぁ、OKを貰うまえに見本用としてドルーサ商会が経営する孤児院の子たちに見てもらって好評だったからみたいだけど。


 でも実際に子供たちというテスターからOKを貰えたことは素直にありがたいことだった。


 この世界でも出版物すべてが売れるというわけじゃない。


 むしろ地球以上にシビアだ。


 なにせ地球ではネットがあるから、ネットの評判で良しあしが判断できるけれど、この世界にはネットがない。


 内容の良しあしを判断できる要素が少ないってこと。


 絵本であれば、せいぜいが絵のうまさとかくらいしかない。


 地球で言うパケ買いしか判断ができないから、よりシビアに出版物は精査されているみたい。


 そんななかでテスターの子供たちからOKをもらえたということは、同じくらいの子供たちにも受けるってことになる。


 つまりは母さんの絵本が世の中に広まるってことだ。


 とはいえ、いまさらなんだけどね。


 だって絵本を描いたのはこの世界に母さんがいるかもしれないと思ったから。


 母さんに会うための手段のひとつってだけだった。


 でも、いまはもう探す必要はない。


 相変らずどこにいるのかはさっぱりだけど、少なくとも神獣さまたちにお会いするたびに、母さんに会えることになっているんだ。


 だからもう探す必要はなかったし、絵本を広める理由もなかった。


 ただ、せっかく描いてみたんだから、一応は出版してみようかなと思った。


 それだけの理由でしかないんだよね。


 そんなこんなで装丁された絵本を俺は持っているんだよね。


 ただし持ち主は俺ではなくシリウスだった。


 シリウスは人の言葉を喋れるけれど、まだ読み書きができない。


 その勉強用にということで、絵本をあげた。


 最初はつっかえながら読んでいたけれど、いまはつっかえることもなく読んでいるうえに、かなりの数の字を憶えることができたみたいだ。


 そうしてシリウスが勉強した絵本をいまは希望が読んでいる。


 希望もなんだかんだで母さんの絵本のファンで、内容をすべて暗記しているくらいだ。


 だからこの世界の言葉で描かれていても、内容が同じだから読むことができているんだ。


 ただまだリーディングの段階であって、リスニング等はできていない。


 そのあたりはちゃんと読めるようになってからだから無理もない。


「希望もお疲れ。この世界の言葉って大変だろうに」


「ん~、そうでもないよ? ゴンさんの魔法じゃなくて、ちゃんと自分の力だけでシリウスちゃんやアルトリアと話をしたいからね」


「そっか。頑張ってな」


「うん。というか、香恋ってばずるいよね」


「うん?」


「なんで香恋は最初からこの世界の言葉を読めたり、喋れたりできるのかな? 私にもできてほしかったよ」


「ああ、それか」


 たしかに希望の言う通りだ。異世界に来たうえで一番困るのは言語の違い。


 地球でさえ、国が違えば言語も違うわけなのに、異世界となれば言葉ひとつを知るのだって大変だもの。


 その苦労がないって時点でたしかにずるいかもしれない。


 てっきり異世界人はみんな言語的なチートがあると思っていたのだけど、どうやら俺専用の特典みたいだね。


「私も香恋みたいな特典が欲しかったよ」


 唇を尖らせながら、希望が文句を言っていた。


 俺に言われても俺が決めたわけじゃないのだけど、と言いたいけれど言ったところで意味はない。


 実際自分でもずるいと思うから、希望がそう言うのも無理はないからね。


「ん~、楽に言葉を憶える方法ってないかなぁ?」


 じっとなぜか俺を見つめてくる希望。


 なにが言いたいのかはいまいちわからない。


 これは遠まわしに教えろと言っているのかな?


「教えられなくはないけれど」


 そう教えることはできる。


 けれど楽に憶えられるわけじゃない。


 こればかりは数をこなせとしか言いようが。そう思ったとき、なぜか希望が顔を近づけてきた。


 え、と思ったときには希望の唇と重なり合っていた。

 大胆な希望さん。

 さてさて、いったいなぜにキスしたんでしょうかね。

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