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Act2-42 変わった笑顔

ああ、遅れました←汗

今日こそはと思ったんですが、体調があんまりだったので←汗

まぁ、明日からはまた仕事ですから、仕方がないのかな。

さて、今回は希望視点です。

もうキミたち、結婚しちゃいなYO~って感じかな。

 アルトリア。それが香恋を「旦那さま」とか言っている子の名前だった。


 名前からして日本人ではないし、見た目もそうだ。


 白い髪に白い肌、そして宝石みたいな紅い瞳。


 どことなく香恋のお母さんである空美さんに似ている。


 似ていると言っても、私自身は空美さんと会ったことはない。


 なにせ私と香恋が産まれてすぐにいなくなってしまったのだから、私が会ったことがないのも当然だよね。


 香恋はそのことをあまり気にしていないみたいだから、私もとやかく言う気はない。


 幼なじみとはいえ、私と香恋は他人でしかないから、他人様の家庭事情に首を突っ込むのはまずいからね。


 ただ私にとってみれば、なにそれってことになるんだよね。


 だって空美さんにどんな事情があったにせよ、香恋を捨てたことには変わりない。


 あの子の心に母親という影を植え付けたことには変わりない。


 だからかな。


 空美さんに似たあの子を見ていると、少し腹が立った。


 そんなあの子をそばに置いているあのバカにもひと言言いたい気分ではあったけれど、香恋のことをなにも知らないくせに、嫁だのなんだのと言っている、あの子に腹が立って仕方がなかった。


 香恋に対して恋愛感情はない。


 私は至ってノーマルだもの。


 だから別に特に香恋と恋人になろうとかは考えていないよ。


 ……そりゃあ、久しぶりに会った香恋に抱き着いてしまったことは事実だし。


 久しぶりに会った香恋は、以前までよりもずっと大人っぽくなっていた。


 時間が経っているのかなと思ったけれど、香恋がこの世界に来てからだいたい二か月と少しくらいになるらしい。


 地球と時間の流れはあまり変わらないみたい。


 それでも香恋は二か月前よりもずっと大人っぽくなっていた。


 なんていうか、大きなものを乗り越えてきたって感じなんだよね。


 それがどういうことなのかはまだ確認していないけれど、たぶん香恋はとても辛いことを経験したんだと思う。


 話をしていると私の知っている香恋そのものではあるのだけど、どこか違う部分が見え隠れしている。


 それがこの二か月で香恋が経験したことなんだと思う。


 香恋自身が話してくれない限りは、私から聞く気はない。


 だって無理やり聞いたら香恋が辛くなってしまうだけだろうから。


 だからそばにいる。


 香恋が話すまでそばにいてあげる。


 いつものようにそれをするだけだ。


 私と香恋の在り方は昔からそう。


 どちらかが辛い目に遭ったとき。


 無理に話を聞こうとはしない。


 ただそばにいる。


 そうしているうちに相手が自然と話をし始める。


 それまでずっと待ち続けるだけ。


 それが私と香恋の在り方。


 この十五年間で何度も繰り返してきた、想いを吐露し合う方法だった。


 今回もそれをするつもり。もっともそれはシリウスちゃんが眠ってからになるんだろうけれど。


 この世界で香恋と再会してまず驚いたのがシリウスちゃんの存在だった。


 だってシリウスちゃんったら、香恋のことをぱぱ上と呼んでいたもの。


 そしてアルトリアをまま上と呼んでいたから。


 てっきり香恋がアルトリアを妊娠させたのかと思ったもの。


 でも香恋は──。


「希望、おまえもか」


 とあるローマの人みたいなことを言い出してくれたから、この話題には辟易としているみたいだった。


 でも仕方がないと思うんだ。


 だってそこまでは香恋がこの世界に来てどれだけ経っているのかもわからなかったんだもの。


 まぁ、普通に考えれば妊娠して出産までがだいたい一年、シリウスちゃんの見た目は五歳児くらいだから、つまりもう五年。計六年はかかる計算になる。


 でも香恋の見た目は二か月前とさほど変わっていなかったので、妊娠させたってことはないかと思い直したよ。


 その後に「香恋は女の子だから無理か」と気づけたね。


 気づくのが遅いって香恋には怒られちゃったけれど。


 とにかくシリウスちゃんが香恋の本当の子供じゃないことはわかったけれど、なら香恋を「旦那さま」と呼ぶアルトリアとはどういう関係なのかなと不思議になったね。


 まさか嫁なわけがないし。


 だって香恋は私を嫁って言っていたものね。


 実際ネットゲームの中だけど、私と香恋はすでに結婚しているし。


 なのにほかの女に手を出すとかありえないし。


 いや、別に香恋のことをそういう目で見ているってわけじゃないよ。


 たださ、人のことを散々からかってくれたくせに、いざ別の世界に来たら自分はさっさと女を見つけたっていうのは、どうかと思っただけ。


 そうそれだけ。別に香恋が本気でアルトリアを好きって言うなら私はなにも言うつもりはなかったよ。


 ただね。香恋はぱっと見だけど、アルトリアに辟易しているようだった。


 というか、アルトリアを信じていないように感じられた。


 どうもアルトリアは香恋になにかをしたみたいだ。


 それも香恋を裏切るようなことをだ。


 だと言うのに旦那さまだ? 何様のつもりかな。


 香恋はあなたのおもちゃじゃないんだよ、と思ったら、うん、プッツンしていました。


 自分でもどうかなとは思ったけれど、一度上った血はそう簡単に降りてはくれず、結果アルトリアを精神的にコテンパンにしてしまった。


 加えてシリウスちゃんも私に懐いてしまったみたいだし。


 捨て台詞を吐いて、ひとり別の寝室へと赴いたアルトリアの後ろ姿を見て、さすがにやりすぎたかなと思ってしまったもの。


 うん、明日謝っておくべきかな。


 香恋を旦那さまと抜かすのは気に入らないけれど、シリウスちゃんがまま上って懐くくらいには、シリウスちゃんをかわいがっていることはわかる。


 このくらいの年齢の子は感情の機微に敏感だからね。


 もっと言えば、向けられる感情に敏感なんだよね。


 なのにシリウスちゃんはアルトリアをまま上と呼び慕っている。


 それが意味するのは、アルトリアはシリウスちゃんを本当の娘のようにかわいがっているってこと。


 まぁ、こんなにかわいい子を虐待する方がおかしいから、アルトリアがしたことが正しいってわけじゃない。


 むしろ当然だからあの子を褒める気はないよ。


「ノゾミまま?」


 おっとまずい。アルトリアへの対抗心が漏れ出ていたみたい。


 シリウスちゃんが不安そうな顔をしている。


「なんでもないよ?」


「ほんとうか?」


「うん、本当」


「そっか。ならいいや」


 そう言ってシリウスちゃんは私にぎゅっと抱き着いてくれた。


 いま私は香恋とシリウスちゃんと同じベッドに横になっている。


 シリウスちゃんを真ん中にして、左右に私と香恋が別れる形。


 いわゆる川の字になっていた。なんか家族って感じがするね、これ。


 ちょっと気恥ずかしけれど。


「わぅわぅ、ノゾミまま、あったかい」


 シリウスちゃんがにこやかに笑いながら、私の胸に顔を埋めていた。


 なんというか、本当にお母さんになった気分だね。


 となると香恋がお父さんってことなのかな。


 ……いかん、落ち着け、私。まだ慌てる時間じゃないよ。


 必死に自分に言い聞かせつつ、シリウスちゃんの頭をそっと撫でてあげた。


「ありがとう」


 本音を言うとあまり胸に触れてほしくないというか、この大きな胸は私にとってはコンプレックスの塊でしかないのだけど、そのコンプレックスがシリウスちゃんを笑顔にしていると思うと、意外と悪くないものだね。


「ノゾミまま」


「うん?」


「よんだだけ」


「そっか」


 シリウスちゃんのまぶたが少しずつ閉じていく。


 でも頑張って眠らないようにしているみたい。


 なんで眠りたくないのかは、少し前に聞いた。もっと私と話がしたいみたい。


「ノゾミままは、新しい「まま」だから、もっと話がしたい」


 目元をこすりながら、シリウスちゃんはそう言ってくれた。


 その言動に私の胸がきゅんとなったのは言うまでもないね。


 とにかく、そのときは明日も明後日もずっとシリウスちゃんと一緒だから、いっぱいお話はできるよと言ってあげると、シリウスちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。


 シリウスちゃん、まじかわいい。


「……希望も親バカになりそうだなぁ」


 香恋がひとり他人事みたいに言っていたけれど、私にとってみれば、一番の親バカはあんただよと言いたいよ。


 シリウスちゃんが備え付けの冷蔵庫に入ったジュースを寝る前に飲もうとしたから、飲みすぎたら夜中にトイレに行きたくなっちゃうから気をつけてねって言ったら、香恋ったらそのときは俺が一緒に行くから好きなだけ飲ませてあげてよと言っていたもの。


 その言葉にはアルトリアと一緒に呆れました。


 シリウスちゃんを誰よりも甘やかしているのは、ほかならぬ香恋なんだけど、本人には自覚がないみたい。


 なのに人を親バカとか言ってくれるんだから。鏡があったら見せてあげたいよ。


「ノゾミままともっとはなししたいのに」


 シリウスちゃんが閉じそうになるまぶたを頑張って開こうとしている。


 けれどもう限界みたいだ。閉じたっきりでもう開きそうにない。


「明日まだお話ができるから、今日はねんねしようね」


「わぅ~」


 間延びした返事をしてすぐにシリウスちゃんは寝息を立て始めた。


 シリウスちゃんの寝顔はとびっきりかわいかった。


「……かわいいなぁ」


 腕の中で眠るシリウスちゃんのおでこにおやすみのキスをしてあげると、シリウスちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。


 ノゾミまま、シリウスちゃんに夢中になりそうです。


「本当に親バカになるね、希望はさ」


 シリウスちゃんの寝顔を一緒に眺めながら香恋が笑った。


 その笑顔は私の知っている香恋よりもやっぱり少しだけ大人っぽく見えた。


 辛いなにかを乗り越えた大人のように見えてならなかった。

アルトリアのヒロインとしての牙城がどんどんと崩れていくこの頃。

アルトリアの巻き返しがあるのかは、まぁ、そのうちにでも。

……このまま希望が一気に攻め落とす可能性も大ですけどね←ぼそり

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